2021.05.25 Tuesday

流れゆくままに 渡哲也

「生まれつきのノンキモノでナマケモノ」で、俳優なんて興味がなかったのに、大学時代に空手部の仲間が勝手に応募してしまったことから、俳優への道がスタートする。

子供の頃から、人までに出るのも話すことも苦手で、口をきかずに黙々とこなす仕事を求めていたのに、真逆の職に就いてしまい、「俺は俳優に向いているのか?」という疑問を常に持ちながらの俳優生活。

そんな渡哲也さんの人生が本人の言葉で書かれている。

幼少期のこれぞ“昭和の男”な父からの厳しいしつけや家族のエピソードなど、あまり知られていない渡さんの子供時代の話が興味をそそる。

淡路島を出て、三田学園に進学、その後の青山学院大学入学あたりから、我々のイメージする俳優・渡哲也が完成していったように思える。

俳優としてスタートするも、その俳優の歴史は闘病の歴史に他ならない。

闘病は、渡さんご自身の闘病だけではなく、石原裕次郎さんの闘病をともに闘い、余命が残り少ない裕次郎さんから「こういう映画がやりたいんだ!」とアイディアを語られた際は、実現不可能なことが分かっているので辛かったと思う。



あまり乗り気ではなかった西部警察の話、高倉健さんや松田優作さんとの興味深いエピソードなど、今まであまり語られていなかった内容も多く面白い。

渡さんの人柄がよく分かる素敵な本だと思う。

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