2022.05.05 Thursday

中堅手論 赤星憲広

元阪神タイガースで現在解説者として活躍している赤星さんが中堅手について熱く語る本。

野球ではよくセンターラインの重要性に注目されるが、キャッチャーやショート、セカンドと比べて、センターは「肩が強くて脚が速い」と身体能力を表す一言で片づけられることが多い。

実は私自身も外野手は身体能力が重要だと思っているほうなのだが、それ以上にポジショニング等が重要であるとのこと。

よくよく考えたら、あれだけ広い外野をたった3人で守るわけだから、どんなに身体能力が高くてもそれだけではボールに追いつけない。

キャッチャーのリード、打者の傾向、風向きなどから打球を予測することが重要なのだ。

そう言えば、BIGBOSSも同じようなことを言っているのだが、予測をすることでライトやレフトにポジショニングの指示を出していたそうである。

これに加え、本書でも詳しく解説してくれているのだがセ・リーグの各本拠地ごとの特性(芝の状況など)を頭に入れ、どう守るかを考えていたというのだから素晴らしい。

また個人的に面白かったのが「外野手しかやったことがない外野手」と「内野手からコンバートされた外野手」の違いには納得させられた。



これだけの知識があるのだから早くユニフォームを着て、タイガースに復帰してほしいとは思うのだが、デ〇リースポーツの方から聞いた話によると日〇テレビのギャラが高いらしく、給料が下がるコーチのオファーが出しづらいそうである。

でもやはりファンは実況席ではなく、グラウンドでユニフォームを着ている赤星憲広が見たい。

2022.05.04 Wednesday

野村克也全語録 野村克也

ノムさんの重みのある言葉を1冊にまとめた本。

選手としての野村克也より、監督・野村克也の言葉がメインなのだが、この本は448ページもあり「野村監督はこんなにも言葉を残したのか!」と改めて感心させられる。

第1章 志 夢を叶える心得

第2章 指導 リーダーの条件

第3章 戦略 組織を動かす極意

第4章 不惑 生涯現役の理念

これら4章からなるのだが、野球の域を大きく超えて、組織論というかリーダーとはどうあるべきかと、および人生論的な言葉が多い。

野球関係者以外が読んでも役に立つ本で、社会人として管理職的な立場の方はもちろんだが、新人の方も人生の目標を考えるような場面で役に立つと思う。



亡くなってもいまだに多くの本が出版され語り継がれるノムさんは、やはり偉大な野球人だと実感させられる。

2022.05.03 Tuesday

最高のコーチは、教えない。 吉井理人

日本プロ野球界で一番注目されている選手である佐々木朗希投手の指導にもあたり、現在は千葉ロッテマリーンズのピッチングコーディネーターを務める吉井理人氏。

メジャー経験もあり、体育学修士(筑波大学大学院)の学位も持つ吉井氏が、自らも経験も踏まえ「コーチング」とは何かを分かりやすく解説してくれている。

現役時代はやや血気盛んなところがあり(ご本人も著書の中で認めている)気合で投げ込むタイプだったのだが、コーチとしては完全な理論派でその代わりっぷりに驚きを隠せない。

吉井氏がコーチ稼業を開始するきっかけのエピソードが、現役続行か引退して指導者の道の岐路に立った際に、本人は現役にこだわったのだが、当時代理人だったダン野村さんがコーチ就任を強く勧められたとのこと。

ダンさんが特別なだけかもしれないが、プロ野球選手の代理人って存在感があってカッコいい!

投手コーチを引き受けたものの、選手に上手く指導することに苦労して、コーチングを本格的に学ぶ必要を悟り、筑波大学大学院に入学したらしい。
(同級生は工藤公康氏と仁志敏久氏)

肝心の中身はと言うと、第1章で「コーチは教えてはいけない」という考え方と、その理由を具体的な例を交えながら分かりやすく解説してくれている。

その1例を紹介すると、自分は瞬発力をつけたいからダッシュをしたいのに、指導者は一方的にスタミナをつけるための長距離走を指示するなどである。

ここで話し合いがあればまだいいのだが、それ以前に話し合いができる関係性が必要で、コミュニケーション能力も求められる。

私は、保守的な日系企業で働いているのだが、これって日本社会ではよく見る光景だなと思えてしまった。

ここから先はコーチングについて、専門的な内容を解説してくれているのだが、プロ野球チームだけではなく若手の指導に苦労している中間管理職の方にも役に立つように思える。



2022.05.02 Monday

なぜ人に会うのはつらいのか 斎藤環 佐藤優

精神科医である斎藤環氏と、元外交官である佐藤優氏の対談形式で、現代の我々が抱えるメンタルの問題に対してどう向き合うかを考える本で、特にコロナ禍の現状とどう向き合うかについてを扱っており面白い。

私は佐藤氏の本をよく読むのだが、他の対談では佐藤氏のペースで話が進んでいくのだが、今回は自分の専門外であるメンタルがテーマなので、精神科医の斎藤氏に教えを乞うような場面も多く新鮮な印象を受けた。

ただ自分の専門外のことでも知識を吸収しようという姿勢には、これぞ現代の知の巨人だと改めて確認できた気がする。

この本の中で、コロナ禍において「Stay Home!」ということでリモートワークが浸透したが、世の中には3つのタイプの方がいるそうである。

・人に積極的に会いたい人
・1人でいたい人
・その中間ぐらいの人

この中で「人に積極的に会いたい人」が「Stay Home!」でダメージを受けるそうである。

私は「その中間ぐらいの人」なのか、必要がある場合は会いたいが、そうじゃない場合は無理して会おうとも思わないで、正直あまりダメージはない。



また「優生思想」や「同調圧力」といったテーマについても結構詳しく触れており、それも興味深く新たな発見があった。

2022.05.01 Sunday

一軍監督の仕事 高津臣吾

2021年シーズン日本一に輝いたヤクルトスワローズ。

そのシーズンを振り返りながら、一軍監督とはどうあるべきかを分かりやすく教えてくれており、これがなかなか面白い。

野球選手の本というと、中学生の作文にしか見えないような本も多いのだが、高津監督は野球の戦略や技術の解説などを言語化(文書化)することに優れており、こういう点も野村監督から学んだんだろうかと感心させられる。

また文面の丁寧さから高津監督の人柄もうかがえる。

2021年の開幕シリーズで戦ったのは阪神タイガースだったのだが、ここで3連敗し現実の厳しさを痛感し、色々と見直す羽目になったらしい。

と言うことは、ここを阪神タイガースが2勝1敗くらいで抑えていたら、優勝は阪神タイガースだったかも!?(笑)

2022年開幕から9連敗した某球団も、色々と見直し巻き返すことを信じてます!!

それはさて置き、私がリーダーに必要だと思う資質の1つが、柔軟さ(臨機応変さ)である。

事前に立てた計画と現実が大きく乖離してしまった時、悪いリーダーは計画に固執してしまい失敗してしまうことが多いように思う。

ところが良いリーダーは、計画と現実が大きく乖離していることを認め、新たな方針を打ち出せる。

その良さが出たのが2021年の日本シリーズだと思うのだが、1戦1戦その状況を冷静に振り返っていて、これもまた面白い。



この本を読んで感じたことは、ヤクルトスワローズの選手だけでなく、他球団の選手の良い点も紹介してくれており、他球団のファンが読んでも"絶対大丈夫"だと思う。

また野村監督の教えを監督として実践している話や、天国の野村監督への弔辞は泣ける…

Pagetop


Recommend










Calendar

<< May 2022 >>
SunMonTueWedThuFriSat
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    

Search
このブログ内の記事を検索

Archives