2021.05.25 Tuesday

流れゆくままに 渡哲也

「生まれつきのノンキモノでナマケモノ」で、俳優なんて興味がなかったのに、大学時代に空手部の仲間が勝手に応募してしまったことから、俳優への道がスタートする。

子供の頃から、人までに出るのも話すことも苦手で、口をきかずに黙々とこなす仕事を求めていたのに、真逆の職に就いてしまい、「俺は俳優に向いているのか?」という疑問を常に持ちながらの俳優生活。

そんな渡哲也さんの人生が本人の言葉で書かれている。

幼少期のこれぞ“昭和の男”な父からの厳しいしつけや家族のエピソードなど、あまり知られていない渡さんの子供時代の話が興味をそそる。

淡路島を出て、三田学園に進学、その後の青山学院大学入学あたりから、我々のイメージする俳優・渡哲也が完成していったように思える。

俳優としてスタートするも、その俳優の歴史は闘病の歴史に他ならない。

闘病は、渡さんご自身の闘病だけではなく、石原裕次郎さんの闘病をともに闘い、余命が残り少ない裕次郎さんから「こういう映画がやりたいんだ!」とアイディアを語られた際は、実現不可能なことが分かっているので辛かったと思う。



あまり乗り気ではなかった西部警察の話、高倉健さんや松田優作さんとの興味深いエピソードなど、今まであまり語られていなかった内容も多く面白い。

渡さんの人柄がよく分かる素敵な本だと思う。

2021.05.17 Monday

官僚と国家 菅義偉「暗黒政権」の正体 古賀茂明 佐高信

古賀茂明氏と佐高信氏という、ちょっと不思議な組み合わせにも思える2人が、現政権の問題点を鋭く指摘している。

第1章では、菅義偉のプレッシャーのかけ方について、実際にそのプレッシャーで「報道ステーション」を降板することになった古賀氏が自らの体験をもとに解説してくれている。

佐高氏も、首相になってはいけない裏の人間が首相になってしまったと手厳しい。

第2章では、「官僚たちの夏」のモデルとなった佐橋滋などを例に挙げ、現在の官僚の劣化について言及している。

もちろん異論を許さない政治家の器量にも問題があるのだが…

第3章では、官僚のタイプや思考回路について古賀氏が解説している。

古賀氏の著作「日本を壊した霞が関の弱い人たち」で語っている内容の概略といったところか。





第4章で、日本学術会議問題について述べているのだが、切り口が興味深い。

野党議員は「任命拒否」の理由を国会で質問しているが、そもそも「任命拒否」はできないのであるから、「任命拒否」の理由を聞くのはおかしい。

この流れだと、理由が正当であれば「任命拒否」できるという方向にっ持っていかれてしまうとのこと。

こういう考え方ができる古賀氏は鋭いなと思ってしまう。

第5章では、原発関連の話題で、橋下徹や河野太郎などが関係する面白い話題があったのだが、ここでは敢えて紹介しないので是非読んでみてほしい。

2021.05.07 Friday

沖縄から貧困がなくならない本当の理由 樋口耕太郎

沖縄が好きで年に何度も行く者として、この本に興味を持った。

那覇の中心地にあるデパートリウボウの書店でも目立つように置かれており、大変興味を持っていた本である。

「沖縄は、見かけとはまったく違う社会である」という興味をそそる見出しから始まるのだが、都道府県別の県民所得では11年連続で全国最下位、賃金は全国の最低水準で貧困率は全国平均の実に2倍とのこと。

正直これは各種統計で目にした人が多いと思う。

ただ自殺率、重犯罪、DV,幼児虐待、いじめ、依存症、飲酒、不登校などでも他の地域を圧倒しているのは初耳だった。

高校、大学進学率、中途退学率、学力、就職率などの数値も全国で最低水準らしい。

大学で教鞭をとる著者の樋口氏によると、大学生が無感動を通り越して無感覚に近いらしく、この点に問題の原因があるのではないかとのこと。

この無感覚は学生だけに限ったことではなく、都市開発も無感覚で行われていると指摘しており、某町の再開発について解説している。

私も何度か行ったことがある街なのだが、残念ながら雑然としている感が否めなく街並みに沖縄らしさがあまり感じられない。

これらの理由を知りたくて、樋口氏が始めたのが沖縄の人達と会話することだった。




また、この本の中のインパクトがあった内容で「沖縄の方はクラクションを鳴らさない」というのが、さまざまなメディアにも引用されている。

これは私も少し分かる気がしていて、沖縄でタクシーに乗ると確かにクラクションはならさない。

「あおり運転」が話題になっていた時だったので、「本当にあおり運転みたいなことする人が本土には多いのか?」とよく聞かれていたことを思い出してしまった。

2021.05.03 Monday

ニッポン 未完の民主主義 池上彰 佐藤優

本日は憲法記念日ということで、池上彰氏と佐藤優氏が民主主義について解説した本をご紹介。

「感染症が世界的に広がると、各国は国境を閉ざし、外国人を締め出す。
その一方、国内では厳しい規制を敷いて、自由な活動を抑圧する。」

このような民主主義を根本から否定するような書き出しから、この本は始まる。

第1章、第2章では日本の民主主義について解説していて、最初から舌鋒鋭く佐藤優氏が専門家の過度な登用の問題点を指摘している。

専門家会議はブラックボックスと化しやすく、代議制民主主義が相対的に軽視されていくことになるとのこと。

私自身は、普段から諮問会議の乱立の問題点を指摘しているにもかかわらず、新型コロナウイルス対策におけるこの問題点に気づいておらず反省しなくてはならない。

なお「自由なき福祉」という言葉を用いて、この例を含むさまざまな民主主義の危機について解説してくれている。

またSNS等で芸能人が賛同したこともあり大きな話題になった検察官の定年延長問題について、検察に民主主義を託そうとする危険性について、逮捕歴のある(笑)佐藤優氏が大きな問題である旨を指摘している。

ちなみに、これらは序盤の十数ページで扱っているテーマで、上記のような内容に興味があれば、絶対に面白い本である。

佐藤優氏につられて、池上彰氏まで政権に関してかなり手厳しい。

Go To トラベルを推進したとされる自民党の二階幹事長、政策提案をしようと思って説明しても、聞き終わると「だから何なんだ」と言ってしまうらしい(笑)

論理に対して論理で対抗するということをしないのである。

こんなのが与党幹事長で日本は大丈夫なんだろうか?



Pagetop


Recommend










Calendar

<< May 2021 >>
SunMonTueWedThuFriSat
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     

Search
このブログ内の記事を検索

Archives