2022.06.26 Sunday

独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったか 池上彰

この本は、池上彰氏が週刊文春にて連載してきたコラムの内容をピックアップして再編したもので、元々週刊誌に掲載されていたものなので文章は分かりやすい。

ただ同じような内容が何度も出てきたり、時代が行ったり来たりで、現在のウクライナ情勢から急に過去の話になったりと、やや混乱してしまいそうなところはあるが、ロシアとウクライナの関係を理解するには分かりやすいのではないか。

ロシアとはどんな国か、ウクライナの歴史などを把握した上で、今回のロシアの暴挙を考えると色々な背景が見えてくる。

ただあくまでも概要をまとめている感じの本なので、より深く知りたい方は併せて他の本を手に取ってほしい。

実際に池上氏も巻末で、より深く知りたい方の為にお薦めの本をいくつか紹介してくれている。


2022.06.04 Saturday

石原慎太郎伝 大下英治

東京都知事、運輸大臣などを歴任した石原慎太郎が2022年2月1日に亡くなった。

その石原慎太郎の生涯を、政治をテーマとしたノンフィクション作家として有名な大下英治氏が書き記す。

亡くなった方についての本という事で、やや美化しているところも多いのだが、大下氏は石原慎太郎とは2人で食事をする間柄だったようで、衝撃的なエピソードもあり面白い。

この本の帯にも書かれていることなのでネタバレを承知で紹介すると

石原慎太郎「日本人は、なぜこのように自ら責任を取ることにない、だらしない民族になり下がってしまったと思う」

大下英治「…」

石原慎太郎「最も国家に責任を持つべき天皇陛下が、昭和20年8月15日の太平洋戦争の敗戦の日、自ら割腹して果てなかったからだよ」

このような「えっ?」と思ってしまう天皇観を持っており、こういう考え方であったため同じ作家である三島由紀夫と激突してしまう。

ちなみに上記の会話は、編集者を帰して2人で食事に行った際に大下氏が聞いたもので、(石原慎太郎が)死んだあとは書いてもかまわないと承諾をもらっていたそうである。

石原慎太郎は好き嫌いが分かれる人物だと思うが、読み物としては面白いと思う。



都知事時代のエピソードで、防災訓練で銀座に装甲車を走らせたということが書いてあったのだが、それずっと前に裕次郎さんは西部警察で実行済みです。

やはり血のつながった兄弟ですね(笑)

2022.06.01 Wednesday

確執と信念 スジを通した男たち 松永多佳倫

門田博光、田尾安志、広岡達朗、谷沢健一、江夏豊

彼らに共通するのはプロ野球界で輝かしい結果を出したのだが、ややとっつきにくい感があったり、何故かユニフォームを再び着る機会に恵まれなかったりと、不遇な扱いを受けている感のある5人それぞれの確執と信念を取り上げた本。

私は以前にこの方の本を読んだことがあり(「善と悪 江夏豊ラストメッセージ」)著者の松永氏は近寄りがたい雰囲気を持つ方の懐に飛び込む技術に長けているように思える。

普通の会社でも、とっつきにくいお客様や、社内でとっつきにくい上司の懐に難なく入り込める人は重宝されるはずである。

江夏さんと親しいのは知っていたので正直驚かなかったのだが、やはり広岡さんの家にまで上がり込み、しっかり取材をしている点は、怖いイメージしか持っていない私からすると意外な一面に見えて驚いてしまった。

その取材で、元々は早稲田大学のムードメーカーみたいな役割も担っていた広岡さんが、川上監督との確執で少しねじ曲がった性格になってしまった点や、ONこと王貞治、長嶋茂雄の2人とは意外に仲がいい話、選手だった時代にゲッツーの際の守備に関して若手に「どこに投げても捕ってやるから遠慮せずにやれ」と言ってあげることで若手がのびのびプレーできるようにしてやったりと、世間のイメージとは大きくかけ離れている点が興味深かった。

そう言えば、ビッグボスこと新庄剛志が日本ハムの監督を受ける際に、批判的なメディアも多かったのだが、広岡さんは肯定的な発言をしてくれたのを思い出してしまった。

また広岡さんはヤクルトスワローズ、西武ライオンズという当時強くなかったチームを優勝させた監督であり、その後ロッテマリーンズでGMとして辣腕をふるった際の話も面白かった。



また著者の松永氏は中日ドラゴンズに熱い気持ちを持ちのようで、田尾さん、谷沢さんの章ではその気持ちが前に出過ぎの感があったのだが、まあそれは野球ファンなら仕方がない(笑)

Pagetop


Recommend










Calendar

<< June 2022 >>
SunMonTueWedThuFriSat
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

Search
このブログ内の記事を検索

Archives