2019.07.31 Wednesday

刑事弁護人 亀石倫子 新田匡央

2017年に「令状なきGPS捜査は違法」の最高際判決を勝ち取った亀石弁護士。

その亀石弁護士が事件を受任して、生い立ちなどを交えながら、最高際判決で「令状なきGPS捜査は違法」を勝ち取るまでを描いたノンフィクションドキュメント。

読者を引き込む文章で、まるで自分も弁護団の一員になったかのような感覚で楽しめる。

地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と、控訴、上告して裁判をしていくなかで、それぞれの裁判所の反応の違いなども興味深い。

国家権力に対して戦わなければいけない刑事弁護士の苦労も分かったが、同期の弁護士仲間の熱さでそれに立ち向かうところが何とも言えず感動する。



ただ参議院議員選挙の直前にこの本を出すのは、少し狙いすぎかと…

2019.07.05 Friday

闘将野村 弱小企業を一流へと導く新経営理論 野村克也 藤田精

本のタイトルも表紙も野村監督なのだが、この本はノムさんというより、藤田氏の本である。

藤田氏の持っている考え方に対し、ノムさんが野球理論やエピソードを交え補強していくという形で話は進んでいく。

とは言え、野球のエピソードも数多く出てくるので、野球好きの方が当然楽しめる。

基本的に中小企業の経営者向けの本だと思うのだが、中小企業で管理職をしていて、斬新な手法で成果を出したいような方にもお勧めだと思う。

逆に大企業の方には、細かいルールや制約が多い環境だと思うので実践できることが少なく、あまり読んでも使えないと思う。



また、この本では野村監督の発言が口語体で書かれており、他の本では当然ながら文語体で書かれているので、その点が新鮮に思えた。

対談の相手が年下であるにもかかわらず、ノムさんは真摯に丁寧に答えており、マスコミに引っ張りだこになる理由も分かる気がする。

2019.07.04 Thursday

同調圧力 望月衣塑子 前川喜平 マーティン・ファクラー

新聞記者である望月衣塑子氏、元文部科学省の事務次官である前川喜平氏、ニューヨークタイムズのマーティン・ファクラー氏の3人が、同調圧力について語る。

また巻末にて3人の座談会が掲載されている。

私が現在働いている会社は、元々は国営の古い保守的な価値観が蔓延している企業なのだが、かなり強い同調圧力を感じる。

会議では役職が上のものに反論NG、前例のない試みはNG(仮に行って成功しても白い目で見られる)といった雰囲気で、取締役は社外取締役を除いて生え抜きのプロパー社員しかいないような会社である。

前川氏が文部省に入省した際に「何もするな」という同調圧力を感じたそうなのだが、うちの会社と同じで笑ってしまった。

私は外資系企業で働いた経験もあるのだが、この同調圧力というものは日本特有のものに感じられる。



日系企業、特に古い日系企業と外資系企業の両方で働いた経験のある方は、日系企業で同調圧力を感じた方は多いのではないだろうか?

2019.07.01 Monday

日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年 井上久男

私が普段読むテーマの本ではないのだが、買って正解と思えた本である。

自動車業界を長年取材してきた井上氏は、「日産・ルノー提携」の頃から20年間も日産を取材してきたそうである。

そのため日産の細部まで分かりやすく解説しており、今回の事件で露になった問題点だけでなく、技術面での日産の問題点なども指摘している。

多少ではあるが日産の良い点なども紹介している。

日産の設立時からの歴史も紹介されているのだが、この会社は20年周期で大きな問題が起きるらしい。

経営が立ちいかなくなってルノーと提携して20年で、今回のゴーン逮捕が起こってしまった。

今回の件はクーデターとも言われ、その首謀者が現社長である西川廣人氏とも言われるが、この西川氏はゴーン氏に取り入って出世したらしい。

社内で取締役同士で対立があったりと、複雑な人間関係がある会社のようである。



ゴーン氏の単独インタビュー(もちろん今回の事件前)が掲載されていたりと充実した内容で、自動車業界外の方にも分かりやすい書き方をしてくれており、興味がある方は是非読んでほしい。

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