2021.12.31 Friday

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか 鈴木忠平

中日ドラゴンズの監督時代の8年間を取材した鈴木氏が、2004年から2011年までを川崎憲次郎投手、森野将彦選手、荒木雅博選手など主力選手や関係者からの視点で、落合監督を描く本。

序盤で感じることは、落合監督は1人で取材に来る方には、たとえ相手が若手であっても意外にやさしいという事である。

と言うのも、この著者の鈴木氏は最初の落合監督との出会いはスポーツ新聞に入社してまだ4年目の若手だったそうだが、何度も取材するうちに色々とアドバイスをされるまでの関係へ。

もちろん鈴木氏の真摯な姿勢や取材力が、落合監督にそうさせたという一面もあるだろう。

かなり深くまで入り込んだ取材を行っており、監督交代時の球団の動きや、有名な日本シリーズで完全試合を狙えた山井投手交代の舞台裏、選手時代の落合選手と星野監督との関係など、中日ドラゴンズファンじゃなくても野球好きなら興味深い内容の連続である。

個人的には、落合監督と星野監督の対比、特にドラフト戦略に関しては両者の考え方の違いが表れており面白かった。



分厚い本だが、著者の熱量が伝わってくる良い作品で一気に読みたくなってしまう本である。

また鈴木氏の表現力やボキャブラリーの豊富さにも驚かされ、他の著作も読みたくなる。

これ読んだら落合さん好きになると思う。

2021.12.30 Thursday

シンプル思考 里崎智也

千葉ロッテマリーンズにて日本一(ペナントレースでは優勝していない)WBCで世界一とキャッチャーとして一時代を築いた里崎さんの考え方をまとめた本。

私が思う里崎さんのすごいところは

◆本音が言える

◆自分の考えを貫き通せる
(人と違う行動がとれる)

◆サービス精神旺盛

だと思う。

「本音が言える」に関しては、日々の里崎さんの解説などを聞いていても分かるが、当たり前のことができない投手に関してはかなり手厳しく、この本の中でもお金に関する考え方や重要性を説いており、例えば16年のプロ野球生活で稼いだお金は13億円などと赤裸々に語っている。

「自分の考えを貫き通せる」に関しては、現役時代はナイトゲーム終了後は夜の街に繰り出すことが多いプロ野球選手の生活に背を向け、スーパーに立ち寄り自炊していたとのこと。

プロ野球界で無理に交流を必要としていないらしく、連絡先を知っている相手も少ないとのこと。

また大学生時代も、休みの日に無理して外出などせず一人で寮の電話番を行ったり、教職課程を取ろうとしたりと、いわゆる一般の体育会系の学生のイメージとは真逆の行動をとっている。

「サービス精神旺盛」に関しては、現役時代は試合後に歌ったり、ディナーショーを開催したり、解説者としての日々の言動を見ていても、誰もが納得するのではないだろうか。

ここで指摘した3点は、一般的な日本人が苦手としているところであり、これらを得意としているからメディアに引っ張りだこなのだと思う。



球辞苑や野球解説で里崎さんに興味を持った方は是非読んでほしい本である。

2021.12.27 Monday

野球と漫才のしあわせな関係 塙宣之

インターネットのヤホーで調べてみたらナイツの塙さんの本が出てきてついつい購入。

塙さんの「極私的ジャイアンツ論」はめちゃくちゃだが(笑)それ以外の章は他球団のファンも楽しめ面白い。

芸人さんを野球選手に例えていて、ビートたけしさんは○○選手、松本人志さんは○○選手といった具合で、それぞれ理由を添えて解説している。

「あっ!なるほど!」と言える例えもある反面「なんじゃこりゃ!」って思える例えもあり、それはそれで面白い。

個人的には、笑福亭鶴瓶師匠を○○選手(レジェンドの盗塁王)にというのが一番納得できた。

また独断と偏見による塙さんの各球団のベストナインも笑えてしまう。



野球好きなら、普段から球辞苑などでよく目にしている芸人さんなので、親近感を持ちやすく楽しませてもらった。

2021.12.07 Tuesday

戦後民主主義に僕から一票 内田樹

個人的に最近かなり興味を持っている内田樹氏の、過去のものも含めて民主主義についてまとめたもの。

ご本人曰く「変な本」とのことなのだが、興味深く面白い。

最初から、日本社会全体が「株式会社化している」という興味深いテーマから始まり、子供たちが知っている世界は、家庭も、学校も、部活も、塾も、バイト先も「じっくり時間をかけて合意形成を行う」ようなことをしない。

民主主義を経験していたことのない人たちが有権者なのであるから、国が民主主義ではないことは不思議ではないと手厳しい。

最近の政治の話題を見ていると、忖度する官僚が出てきて、彼らが出世していくのだが、そうすると統治コストは最小化できるが、国力まで最小化してしまうとのこと。

そしてここからが面白いのだが、締め付けが緩く、市民運動、労働運動、学生運動などが活発で、やや過激な動きもあった時期のほうが景気も良かったらしい。

そもそも景気がいいから金があるので活動できるとも言える。

その後バブルが弾け、日本人が貧乏くさくなっていくにつれて、政治意識も希薄化していく。



このような形で「民主主義」「政治」「憲法」「教育」といったテーマに関して、内田氏独自の鋭い切り口で解説してくれているので、ぜひ多くの方に目を通してほしい。

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