2021.08.13 Friday

菅義偉の正体 森功

「叩き上げの苦労人」などと称される菅義偉総理だが、これは作られたイメージで現実とは大きく異なっている。

そのあたりを調査するため、まずは菅義偉のお父さんである菅和三郎さんの生い立ちから話はスタートする。

この菅和三郎さんは、太平洋戦争時に満州に渡り、かなり苦労をされた方である。

終戦後は秋田に帰り、自分の名前にちなんだ「ニューワサ」というブランドを立ち上げ、農協に頼らず自ら販路を開拓するなどやり手の経営者だったようである。

仕事の面だけでなく、周りの方々の面倒も見るようなリーダーシップのある方だったようで、「自助」「共助」「公助」でいうところの「共助」を重視する方のようである。

あれっ?某総理は「自助」を重視していなかったっけ?

このような家を飛び出し、東京に進学した菅義偉は、卒業後に小此木彦三郎の秘書になり政治家としての人生をスタートさせる。

この秘書時代に、地元の鉄道会社を中心とした人脈を構築し、横浜市議会議員時代にそれをさらに発展させ、その人脈を今日まで活かしているようである。

その中心となるのが藤木企業の代表である藤木幸夫氏なのだが、この方はカジノに大反対しており、菅政権が進める統合型リゾート(IR)計画が今後どうなるのか注目される。

そして国政へ進出していくのだが、小泉政権時に竹中総務大臣の下で総務副大臣になり、ここから表舞台に進んでいく。

悪名高き竹中平蔵に師事したため、新自由主義的な政策が多いのはこのためか?

その後、総務大臣や官房長官を経て総理の座を射止める。

こう書くと立身出世のきれいなエピソードのようだが、権力を得るにつれて利権の匂いが強くなっていく…

そのあたりはぜひ本書で確認してほしい。



著者の森功氏は、菅義偉の家族、後援企業の代表、菅義偉に近い議員、そして菅義偉本人といったところに取材を試み、ほかの方ではあまり聞けない内容を見事に取材している。

どちらかというと敵対している相手とその関係者に取材を申し込み、なおかつ的確なコメントを引き出す森功氏の取材力には脱帽させられる。

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