2020.11.22 Sunday

日本を壊した霞が関の弱い人たち 古賀茂明

元経済産業省の改革派官僚であった古賀茂明氏。

森友学園問題、加計学園問題で官邸の意向に対して忖度を行ったとされる官僚たちの思考回路や行動パターンを、古賀氏の長年の官僚経験を踏まえながら解説してくれている。

古賀氏は官僚を「消防士型」「中央エリート官僚型」「凡人型」という3パターンに分けていて、 「消防士型」は自分の利益などを顧みず人の命を救うために動けるようなタイプとのこと。

当然このタイプが一番好ましいのだが、このタイプの代表的な方であった赤木俊夫さんは自殺に追い込まれてしまう…

ちなみに「中央エリート官僚型」は、自らが一番優秀であることを証明したい方で、ちやほやされることを望むタイプ。

「凡人型」は安定を求めているタイプで、いわゆる世間一般で思い描く公務員のイメージである。

また官僚に関して「官僚性善説」「官僚性悪説」という分け方ではなく、古賀氏は「官僚性弱説」という考えで、国民の利益か自分の利益(自分の役所の省益)かの二者択一となった際に、自分の利益を選んでしまう弱さを持っているとのこと。

そのため政治的プレッシャーに負けてしまい、変な忖度に走ってしまうらしい。

読んでいて思わず「なるほどな!」と思えることが多く、古賀氏の想像によるフィクションによる政治家と官僚のやり取りの会話を再現しており、これがまたリアルな感じで面白い。



この本のテーマの本筋ではないのだが、古賀氏の指摘で妙に納得してしまったのが「謎の日の丸信仰」についてで、昭和の世代の方々、特に経営者層の方と話して「日本だから大丈夫」という何らエビデンスのない謎の自信については、私も日々うんざりしていたので、この点を指摘してくれており嬉しく思った。

先進国で平均年収が下がっている国って日本だけなのに…

官僚に関して幅広いテーマで分かりやすく自らの実体験も踏まえて解説してくれており、適度に笑いを取り込むなど、とても興味深く読める本だったので、ぜひ多くの方に手に取ってほしい。

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