2020.08.14 Friday

公安調査庁 手嶋龍一 佐藤優

手嶋龍一氏と佐藤優氏は、対談形式で国際情勢を解説する中公新書ラクレの人気シリーズを出しており、米中関係や日韓関係を取り上げていた。

その2人が公安調査庁を取り上げるということで、私はとても不思議に思えた。

というのも、公安調査庁はドメスティックな組織に思え、2人の専門とは違うのではないかと思えたからである。

ところがそれは私の誤解であり、公安調査庁は海外のインテリジェンス組織からも評価されているとのこと。

その一例として、2001年の金正男事件が挙げられている。

小泉政権が発足し、田中真紀子が絶大な人気を誇り外務大臣に就任したのとほぼ同時期に、金正男が偽装パスポートを使い日本に入国した事件である。

この時に、どこよりも早くこの情報を入手していたのが公安調査庁で、その情報源はイギリスのMI6から得られたのではないかとのこと。

MI6は、映画007シリーズでジェームズボンドが所属している組織だと言えば、分かってもらえるだろうか?

そこから情報を得るということは、お互いに信頼関係が構築されてないと難しいわけで「その信頼を勝ち得ている公安調査庁は有能なのではないか?」と思えてきた。

この公安調査庁だが予算規模は約150億円、人員規模約は1660人らしいのだが、この数字をどう解釈するだろうか?

私の本音としては「えっ?少なくない?」と思えてしまい、予算規模はある程度の規模の企業なら1事業部の年間売り上げ程度だし、人員も約30万人の警察官と比べて少なすぎる気がする。

ただこれでそれなりの成果を上げているのだから、少数精鋭で大したものだと思う。

それ以外には公安調査庁の歴史(意外なことに最初はGHQの指示で右翼側の行動を監視するのが主たる目的だったそうである)や、そもそもインテリジェンスとはについての解説をしてくれている。

外交や安全保障に興味がある方にはぜひ読んでほしい本である。



ちなみに最後の章で「日本を代表する企業のトップが自社のCMに登場してはしゃいでおり、それを止める人が社内にいないのが恐ろしい」と書いてあったのだが、これはトヨタ自動車のことだろうか?(笑)

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