2022.11.07 Monday

長期腐敗体制 白井聡

「国体論 菊と星条旗」で有名な白井聡氏が、2012年に成立し現在まで引き続いている「体制(これを2012年体制と呼ぶ)」について分析している。

第二次安倍政権以降の自公連立政権のことなのなが、この見立てがただ批判するだけではなく、その切り口が面白い。

「この体制が何故続いているのか」という問いに対して、白井氏は無知や衆愚政治と手厳しい。

白井氏によると、悪い政治には3つの類型があり「不正」「無能」「腐敗」とあるそうなのだが、これら全部に当てはまるらしい。

それでもこの政権が維持されているのは「体制」と化してしまったからに他ならず、小泉政権や中曾根政権と言った固有名詞を関した〇〇政権とは異なり、共産主義体制や徳川幕府体制といったもののようにトップが変わってもその体制は維持される。

「体制」という言葉が出てきたので、1955年の保守合同から始まる「55年体制」をおさらいするのだが、当時の外交政策は「対米従属を通じた対米自立」、一見矛盾している言葉だが分かりやすく補足すると、東西冷戦下でアメリカに従属しつつ力を蓄え後に自立するといったものであった。

ところが、これがいつからかただの対米従属になってしまい、アメリカに物申す政権はどこからか横槍が入り倒されてしまい(田中角栄政権、鳩山政権など)、アメリカに媚びる政権は長続きする状況になってしまった(安倍政権、小泉政権、中曾根政権など)

個人的にはアメリカに媚びている政権ほど「保守」を掲げているのが不思議でならない…



個人的には腐敗体制についての分析も良かったのだが、アベノミクスの振り返りで「そもそも中央銀行とはどうあるべきか?」について具体的な事例なども踏まえてかなり熱く解説しており、こちらも興味深かった。

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