2023.09.23 Saturday

問題はロシアより、むしろアメリカだ エマニュエル・トッド 池上彰

日本でも有名なフランスの知識人エマニュエル・トッドと池上彰氏の初対談本で、ロシアとウクライナの戦争が進む世界情勢について独自の視点から、鋭い指摘が出てきて面白い。

対談とは書いたのだが、実際はほぼエマニュエル・トッドの意見で(笑)池上さんが本音を話せるように上手く意見を引き出している。

序盤から「ウクライナ戦争の最大の責任は、ロシアやプーチン大統領ではなくアメリカとNATOにある」と、いわゆる西側陣営の国ではなかなか言いづらい指摘からスタートしている。

NATOの拡大化こそがロシアの暴走を引き起こしたという事なのだが、日本だと佐藤優氏がこれに近い指摘をしているが、他の一般的なメディアはなかなかこのような指摘はできないように思える。

「プーチンは狂っている」といった主旨の発言をされる専門家もいるのだが、それでは考えることの放棄に他ならない。

またロシア問題を考える際に「ロシアフォビア(ロシア嫌い)」に動かさられている地域があり、それがアメリカ以外にもバルト三国、ウクライナ、ポーランドとのこと。

これが情勢を不安定化させる要因の1つで、特にポーランドには要注意とのこと。

メディアにもロシア嫌いの傾向があるだけでなく、好戦的な傾向もあり、これらも世の中を混乱させる一因であるとのこと。



日本にいるとロシア批判の新聞やニュースばかりであるから「世界はみなウクライナ(アメリカ)を支持している」と誤解しそうなのだが、よく見てみると中立派はもちろん、ロシアに制裁を科していない国も結構多い。

アメリカの影響力の弱体化もあるのだろうが、それ以外には家族制度や宗教的な点によると指摘されている。

このあたりの詳細を知りたい方は、是非この本を読んでみてほしい!

2023.09.09 Saturday

最後の停戦論 ウクライナとロシアを躍らせた黒幕の正体 鈴木宗男 佐藤優

鈴木宗男氏と佐藤優氏というロシア専門家のコンビが、ウクライナ問題を解説しているのだが、日本メディアから見聞きする情報とは大きく異なっている。

「誰ですか?」逮捕された2人とか言ってる悪い子は(笑)

それは日本のメディアのニュースソースが、アメリカやイギリスからの情報に頼り過ぎているからである。

佐藤氏によると、モスクワにいる日本メディアの語学力が低く、ロシアにいれば普通に手に入る情報すら手に入れることができず、英語メディアに頼っているとのことである。

当たり前のことを敢えて言うが、ロシアがウクライナに攻め込んだことは、当然許されないことである。

ただそんなロシアの言い分を知らなければ「停戦」の提案すらできないし、ウクライナとロシア双方の情報を精査することで、真実がつかめるのではないか?

ウクライナがミンスク合意を守ったら、アメリカがNATOの拡大を目指さなかったら、この戦争は起きなかったかもしれない。

お二人とも政治家と元外交官であり、プーチン大統領とも面識もあり、やや国の損得勘定的な視点も感じてしまうのだが、こういう別の角度から見ることも重要だと思う。



また岸田首相が必勝しゃもじをウクライナのゼレンスキー大統領に持っていったり、一見すると日本外交は迷走しているようにみえるが、日本はロシアの飛行機に対して空路を空けていたり、JTがロシアのたばこ市場で40%という高いシェア率を維持していたままだったりと、何故か上手く回っているそうである。

最後に「武器の供与」と聞くと、一見良いことをしているのではないかと思うのだが、それは「この武器で戦え!」と言っているようなもので、このままでは停戦ができないという主張には納得させられてしまった。

2023.05.13 Saturday

政治はケンカだ! 明石市長の12年 泉房穂

暮らしやすい街づくりだけでなく、暴言問題なども含めて、良い意味でも悪い意味でも有名な元明石市長である泉房穂氏の考え方を知りたくて購入。

市長時代の日々のエピソードに加えて「議会論」「政党論」「役所論」「宗教・業界団体論」「マスコミ論」「リーダーシップ論」といった独自の斬新な考え方を聞けるのが面白い。

明石市の漁師の家庭に生まれ、東大に進学し、NHKに入社後テレビ朝日に移り、政治家秘書、弁護士を経て政治家に。

こう聞くと順風満帆なエリートの経歴にしか見えないのだが、幼少時代は貧困で苦労したそうで、世の中の不条理に抗いたくて10歳の時に「将来明石市長になる」と決心したそうである。

今の時代なら、貧困な家庭に生まれたにもかかわらず東大に進学し、政治家になるということはほぼ不可能なので、泉氏はこの時代に生まれたこので活躍できたのだと思えてしまう。

市長として市議会とのやり取りが大変だったそうで、vs自民党、vs公明党には苦労したそうなのだが、日本維新の会と日本共産党は賛成してくれることが多かったそうである(笑)

水と油の関係である維新と共産党に協力してもらった数少ない首長とのこと。

日本維新の会と言えば、橋下徹氏とは司法修習の同期らしく、考え方は違えど頻繁に交流しているそうで、パワハラ報道が出た際にも連絡を取り合う中らしい。

また立憲民主党に関しては、自民党に対して以上に手厳しかった(笑)

自分が進めたい政策を進めるにあたって、議会が障壁になったのはもちろんだが、それ以外にも副市長をはじめとする職員も大きな障壁になったそうで、自分の進めたい政策を進めるにあたって色々とやり合ったそうである。

この泉氏は社会人経験や行動力があり、なおかつケンカも辞さない覚悟がある方なので、議会や職員とやり合いながらも政策を進めることができたが、普通の首長ではなかなか難しいのではないか?

関西の某市で新しく若い市長さんが誕生したが、東大→ハーバードといった経歴は素晴らしいが、社会人経験はなくなおかつケンカなどしたこともなさそうなので、議会や職員に取り込まれてしまいそうでならない。



個人的には、泉氏の話を聞きたいのにインタビュアーの鮫島浩氏が前に出過ぎてしまい、飯島氏の考えに泉氏が頷くだけになってしまうところも見られ、その点がもったいなかった(特にマスコミ論)

2023.04.28 Friday

世界史を変えたスパイたち 池上彰

「世界史を変えたスパイたち」というのは見事なタイトルで、近現代世界史のさまざまな事件の裏でスパイがどのように暗躍したかを分かりやすく解説している。

まずはウクライナとロシアとの戦争について、その裏でスパイがどのような任務を担っているかについて紹介されており、それと併せて諜報活動の基本や各国の諜報機関の紹介、特にロシアについては詳しく解説している。

ロシアの情報に関しては、佐藤優氏からも情報を得ているように思われる。

第2章では、冷戦下におけるアメリカCIAの非人道的な所業の数々、社会主義に対抗するために暗殺も辞さない政権転覆活動には、正直まともな国とは思えない。

第3章ではヴェトナム戦争から始まり、イランアメリカ大使館人質事件やソ連のアフガニスタン侵攻といった現在の中東地域の混乱を引き起こす原因となったと思われる事件について紹介されている。

第4章では冷戦後のスパイ活動についてと、この時代はスパイ活動を取り上げるに際して欠かすことのできないサイバーセキュリティについて紹介されている。

最後の5章ではアジアのインテリジェンスについて少し触れている。



キューバ危機、ヴェトナム戦争など高校の授業では詳しく学べない近現代史の大きな出来事も分かりやすく解説しているので、世界史で大学受験を考えている高校生はゴールデンウィークや夏休みにでも読んでみると良さそう。

2023.04.01 Saturday

自民党という絶望

石破茂氏、鈴木エイト氏、白井聡氏、古谷経衡氏、浜矩子氏、野口悠紀雄氏、鈴木宣弘氏、井上寿一氏、亀井静香氏、浅羽通明氏という錚々たるメンバーが、今の自民党の問題点について各自の切り口で問題点を指摘している。

こう聞くと、各々の文章はあまり深い提案はできないのではないかと思いがちだが、その道の専門家が自分の得意分野、例えば石破氏は防衛問題、鈴木氏は統一教会問題といった具合で自民党の問題点を指摘しているので、斬新な視点が多く興味深い。

正直この本を読んでいると、何故に自民党が政権与党でいることができるのかと思えてしまうのだが、野党にはもう少し本気で政権交代に挑んでほしいと思う。


2023.02.25 Saturday

シン・日本共産党宣言 松竹伸幸

「日本共産党が党首公選を実施すれば日本の政治がマシになる」
「ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」

といったキャッチコピーを聞き、暴露本のようなものなのかと思いきや、安全保障面を中心としてかなり現実的な提案が多く、とても興味深い。

松竹氏の主張する「核抑止抜きの専守防衛」という考え方は、私は正直考えたこともなかったのだが、この考え方は日本にもそれなりの負担と覚悟が必要にはなるのだが、アメリカにおんぶにだっこではなく、本当の独立国になるために必要なことに思える。

現在の日本の防衛政策は、専守防衛とアメリカの抑止力との組み合わせの状態で、その抑止力は核抑止のことであり、ここからの脱却を目指すというものである。

こういう主張を聞くと「えっ?これは日本共産党の考え方と違うのでは?」と思ったのだが、松竹氏の解説によると、日本共産党は元々は「中立自営」を目指しており、そこから二転三転して、現在は自衛隊活用論をとっているらしい。

そのあたりの背景を知ると、野党はもちろん、いわゆるネトウヨではない本当の信念を持っている右翼の方なども賛同できるところは多いのではないだろうか。

松竹氏は安全保障が専門の方のようで、この分野でのご自身の考え方について語られている割合が多いのだが、それ以外にも日本共産党の仕組みやルール、そして改善した方がいいのではないかと思われる点を、党首公選制も含めて提案している。



松竹氏は、かなり建設的な提案をなされていて、日本共産党だけではなく、この国のためにもなりそうな政策提言をなされていた。

ところが…

日本共産党京都南地区委員会常任委員会は、2023年2月5日、松竹伸幸氏の除名処分を決定し、京都府委員会常任委員会が2月6日に承認し、除名処分が確定しました。


私はこれだけの頭脳を持っておられる優秀な党員を除名するのは、まったくもって理解できない。

本を読んだだけの印象で面識がある訳ではないので恐縮なのだが、もし私が党首だったら、松竹氏に政調会長みたいなポジションを依頼するだろう。

党首は、このような政策論だけでなく言葉は悪いがパフォーマンス的な役割も求められ(志位氏がそれができているかどうかは別として)、そう考えると政策論の専念できる重要なポジションを任せた方が、党は機能するように思える。

2023.02.24 Friday

ゼロからの『資本論』 斎藤幸平

カール・マルクスの「資本論」と聞くと、やはり難解でとっつきにくい印象を受ける。

とは言え、強欲なグローバル企業が世界で暴れまくり、想像できないくらい格差が拡大し、異常気象や大きな地震など地球環境が不安定な今、「資本論」は目を通して見たくなる。

そこでマルクス研究で有名な斎藤先生の解説で「資本論」の考え方を知ろうと思い購入。

資本主義的生産様式が支配的な社会の富は、「商品の巨大な集まり」として現れ、個々の商品は、その富の要素形態として現れる。それゆえ、われわれの考察は商品の分析から始まる。

このような一節から始まる「資本論」において、まずは「富とは何なのか」「商品とは何なのか」を理解するとことから始まる。

富は、貨幣では必ずしも計測できないけれども、一人ひとりが豊かに生きるために必要なものがリッチな状態のことを言う。

商品は、上記の社会の富を次々と商品化されたもののことを言う。

これを聞いた後で街に出ると、世の中はいかに商品化し金儲けをするかで溢れていると言うことがよく分かる。

資本主義社会における資本家と労働者の関係、資本家がどう考えるかについても触れており、それが分かると世の中の仕組みが見えてくる気がする。

ここに記載したのはあくまでも序章で、マルクスの考え方をさらに詳しく学んでいけ面白い。



また、私はオンラインでフィリピン人の大学生講師から英語を習っているのだが、彼らにマルクスの資本論について解説している本を読んでいると伝えると、彼らがある程度マルクスについて知識を持っていることに驚かされた。

日本の大学生で知識がある人がどれくらいいるだろうか?

大学生に限らず、多くの日本人にもっとマルクスに興味を持って欲しい!

2022.12.29 Thursday

ウクライナ「情報」戦争 佐藤優

ウクライナ「情報」戦争というタイトルなので、ウクライナ視点でのインテリジェンスについて本かと思うかもしれないが、そこはやはり佐藤優ということでロシア視点、クレムリンから見たインテリジェンスについて書かれている。

日本に住んでいると、どうしても欧米視点のウクライナ情報ばかりに触れることになるが、そこは冷静に見る必要があるとのこと。

とは言え、佐藤氏のようにロシアのメディアからの情報や、クレムリン筋からの情報を得ることは難しいので、ややタイムラグは生じてしまうが、こういう本で情報を入手するしかない。

佐藤氏によると、当たり前といえばそれまでなのだが、ロシアはアメリカの言動をかなり意識していて、アメリカによって「管理された戦争」という言い方を用いている。

アメリカはアメリカで、この紛争がウクライナの外に及んで、ロシアとNATOの紛争にならないように腐心していて、長距離兵器の受け渡しには細心の注意を払っている。

それに加えて、アメリカ国内ではウクライナ問題より中絶問題の方が重要マターと思われているようで、そのあたりの状況を打開するためにゼレンスキー訪米を強行したものと思われる。

今回の件でロシアから日本に向けて様々なシグナルが発信されているそうなのだが、外交センスのない岸田首相はとんちんかんな対応をしてしまっているようで、今まで積み上げてきた北方領土返還交渉などが台無しになってしまいそうでならない。



今回の戦争の背景を理解するために、2014年のクリミア併合について解説しているのだが、ウクライナの対ロシアの挑発的な行動からミンスク合意までの流れがさすがに分かりやすい。

最後に日本とロシアの今について解説していて(この本のタイトルはウクライナ情報戦争なんですけど…)その内容を見ると外交をとはいかに相手のシグナルを理解するかが重要だということがよく分かる。

2022.12.28 Wednesday

日本を腐らせたいかがわしい人々 適菜収

新書というより雑誌のような本で160ページしかないので、あっという間に読み終えてしまう。

ちょっとした空き時間、移動時間などに読むのがいい。

内容は自民党とそれにすり寄っている面々を楽しく紹介してくれている(笑)



「国葬は葬儀じゃない」ということと、統一教会に関わっていたのにあれこれ言い訳している人達のことがよく分かりました。

2022.11.07 Monday

長期腐敗体制 白井聡

「国体論 菊と星条旗」で有名な白井聡氏が、2012年に成立し現在まで引き続いている「体制(これを2012年体制と呼ぶ)」について分析している。

第二次安倍政権以降の自公連立政権のことなのなが、この見立てがただ批判するだけではなく、その切り口が面白い。

「この体制が何故続いているのか」という問いに対して、白井氏は無知や衆愚政治と手厳しい。

白井氏によると、悪い政治には3つの類型があり「不正」「無能」「腐敗」とあるそうなのだが、これら全部に当てはまるらしい。

それでもこの政権が維持されているのは「体制」と化してしまったからに他ならず、小泉政権や中曾根政権と言った固有名詞を関した〇〇政権とは異なり、共産主義体制や徳川幕府体制といったもののようにトップが変わってもその体制は維持される。

「体制」という言葉が出てきたので、1955年の保守合同から始まる「55年体制」をおさらいするのだが、当時の外交政策は「対米従属を通じた対米自立」、一見矛盾している言葉だが分かりやすく補足すると、東西冷戦下でアメリカに従属しつつ力を蓄え後に自立するといったものであった。

ところが、これがいつからかただの対米従属になってしまい、アメリカに物申す政権はどこからか横槍が入り倒されてしまい(田中角栄政権、鳩山政権など)、アメリカに媚びる政権は長続きする状況になってしまった(安倍政権、小泉政権、中曾根政権など)

個人的にはアメリカに媚びている政権ほど「保守」を掲げているのが不思議でならない…



個人的には腐敗体制についての分析も良かったのだが、アベノミクスの振り返りで「そもそも中央銀行とはどうあるべきか?」について具体的な事例なども踏まえてかなり熱く解説しており、こちらも興味深かった。

2022.11.06 Sunday

プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争 山田敏弘

2022年2月24日ロシアがウクライナへ軍事侵攻。

まさか21世紀のこの時代に、このような出来事ができるとは思ってもいなかった…

多くの方がテレビのニュースなどで空爆の様子などを目にしたと思うのだが、現代の戦争ではこういう表の戦いだけでなく、裏の戦いも重要になってくる。

その裏の戦争が「サイバー戦争」である。

私はサイバーセキュリティに関しては恥ずかしながらど素人なのだが、この著者の山田氏の解説は分かりやすくイメージをつかみやすい。

インテリジェンスのテーマに関して、普段から佐藤優の本をよく読んでいるので、リアルのインテリジェンス活動の基本は理解しているつもりなのだが、サイバーセキュリティに関しては、こういう専門家の意見を参考にすると理解しやすい。



上記のロシアに加えて、中国やアメリカの状況を分かりやすく解説してくれており、日本への提言などもあり大変有益な本だと思う。

2022.09.27 Tuesday

異論正論 石破茂

私は政策によっては、石破氏とは真逆の考え方を持っている。

ただこの人とは会話、議論はできるのではないかと思っていて、どこかの総理の"なんちゃって聞く力"ではなく、本当に聞く力を持っているように思える。

また言いづらいこと、政治家としては票につながりづらい内容についても持論を展開している点などは、バラマキ主義や風見鶏な政治家よりも評価できるのではないか。

専門と思える安全保障の問題以外にもご自身の意見を持っており、日々勉強されているのが分かる気がした。

そうやって勉強に励んでいるからか大きな派閥を形成できないということは、大きな派閥の頭領は普段は勉強していないのか?(笑)

本全体として口語体で書かれているので、政治的な話題が苦手な方にも読みやすいように思える。



この本の中で語られている地方創生、可処分所得から見た本当の豊かさに関しては、私も賛成で地方を元気にしないと日本が元気になるのは厳しいと思う。

石破氏の鳥取県の良いところ自慢を聞くと、私も一度足を運んでみたくなった。

2022.08.06 Saturday

歴史の予兆を読む 池上彰 保阪正康

池上彰氏と保阪正康氏が対談形式で、日本、世界が抱える問題点を読み解いていく本。

保阪氏の本は今まで読んだことがなく初めて目にしたのだが、斬新な視点が面白い。

序章の「ウクライナの運命」では、プーチン大統領の考えを分析し、どういう意図をもってウクライナ侵攻に至ったのか、プーチンの世界観などを分析している。
また現代の戦争は情報戦の重要度が高まっており、ウクライナの戦い方を例にとって解説している。

個人的には、ロシア分析に関して池上さんは佐藤優氏から大きな影響を受けているような気がする。

「日本の常識、非常識」では、世界の常識から遅れを取っているジェンダーに対する考え方、ジェンダーと言えば森喜朗会長が女性蔑視発言を繰り返し、世界から非難された東京オリンピックが思い出される。
世界のスタンダートから大きく逸脱している組織委員会に怒りを覚えたトヨタ自動車は、オリンピック開会式に参加せず、CMも流さなかったとのこと。
私は恥ずかしながらこの事実を知らず、この本で初めて知ることができた。

「時代転換の芽」では、過去と現在の忖度、旧日本軍とNHKの忖度に関して実例を交えて解説しており、それ以外にも天皇を軸に時代転換について考えている。

それ以外では、格差問題、環境問題、リーダー論といった多くの人々が興味を持ちそうなテーマを分かりやすく解説しており面白い。



個人的には、池上彰氏の本は何冊も読んでいるので、今度は保阪正康氏の他の本を読んでみたくなった。

2022.07.16 Saturday

プーチンの野望 佐藤優

現役の外交官を辞めたとはいえ、やはりロシアに関しては佐藤優氏の意見を知りたい。

ウクライナ侵攻に関してプーチンの真意を知りたいと思っていたところこの本が出版されたので即購入。

佐藤氏のプーチンとの初めての出会いは、まだプーチンがFSB長官(ロシア連邦保安庁長官)だった時にホテルで見かけたそうなのだが、インテリジェンスの世界を渡り歩いている佐藤氏が背筋に寒気が走ったとのこと。

ロシア大統領になる前から、独特のオーラを放っていたようである。

そのようなプーチンの経歴や考え方の特徴を、佐藤氏が独自目線で解説しており、プーチンがどのような人間なのか少し分かってくる。

その後、佐藤氏は北方領土問題で小渕恵三総理、鈴木宗男議員等とともにプーチンと交渉するのだが、その際の様子が分かりやすく記載されており、外交の現場独特の緊張感が伝わってきて興味深い。

もし上手く交渉できていれば、北方領土は日本領土として認められていたかもしれない。



その後ロシアはクリミア併合を強引に行い、それが今回のウクライナ侵攻へと発展していく。

プーチンの人物像だけでなく、ロシアとウクライナの関係性を分かりやすく解説していて、今読むべき本だと思う。

2022.06.26 Sunday

独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったか 池上彰

この本は、池上彰氏が週刊文春にて連載してきたコラムの内容をピックアップして再編したもので、元々週刊誌に掲載されていたものなので文章は分かりやすい。

ただ同じような内容が何度も出てきたり、時代が行ったり来たりで、現在のウクライナ情勢から急に過去の話になったりと、やや混乱してしまいそうなところはあるが、ロシアとウクライナの関係を理解するには分かりやすいのではないか。

ロシアとはどんな国か、ウクライナの歴史などを把握した上で、今回のロシアの暴挙を考えると色々な背景が見えてくる。

ただあくまでも概要をまとめている感じの本なので、より深く知りたい方は併せて他の本を手に取ってほしい。

実際に池上氏も巻末で、より深く知りたい方の為にお薦めの本をいくつか紹介してくれている。


2022.04.03 Sunday

永田町動物園 日本をダメにした101人 亀井静香

警察官僚から政治家に転身し、運輸大臣、建設大臣などを歴任した亀井静香氏が、独自の視点で政治家をぶった切る本。

厳しいことも書かれてはいるのだが、根はいい人である亀井氏は、与野党問わず𠮟咤激励の本になっている。

若手議員や敵対した議員にまで、あいつにはこういう良いところがあったみたいな書き方なので、そりゃあ亀井さん人に好かれるわと思ったものである。

この本を読んでいて、やはり昭和の時代の政治家の方が器が大きいというか、天下国家のために全力で取り組んでいた感がある。

もちろん右肩上がりの時代だったため、大きな事業を行いやすかっただろうし、明るい将来が見える状況では天下国家を語りやすい雰囲気もあっただろうが。

携帯電話の代金を下げるとか、貧乏くさい施策なんて出てこないよな(笑)

自分の派閥のメンバーの為にお金を集めて配った話や、警察官僚時代に西川口ソープランドに入り浸りで、記者たちにもおごってやり黙らせた話とか、おおらかな時代のエピソードも赤裸々に語っており、豪快過ぎて時代が違うなと思ってしまった(笑)



そう言えば亀井さんと言えば、以前に国土交通省の方々とお話しした際に、他の大臣は1から10まで説明しなくてはならなかったが、亀井さんだけは概要だけ伝えると内容を理解してくれ、「お前ら早く家に帰って休め」みたいな気遣いをしてくれたらしい。

やはりこういう人に議員、大臣を担ってほしいものである。

2022.03.05 Saturday

地政学入門 佐藤優

佐藤優氏による地政学に関する講義をテキスト化したもので、口語体で話しかけるようで読みやすい。

ちなみに2021年11月に発売された本と思って購入したのだが、2016年7月に晶文社より刊行された『現代の地政学』を改題のうえ、再編集を行い加筆修正したものとのこと。

そのためここで取り上げる事例が少し古いものなのだが、地政学の考え方を理解するには有益な本だと思う。

地政学というのは基本的にユーラシアの話で、もっと言うと東欧の話。

東欧を抑えることができればユーラシアを抑えることができ、ユーラシアを抑えれば世界を抑えることができるとのこと。

また現代の世界で地政学を基本として国家を動かしている国は、ロシアとドイツではないかとのこと。

そう聞くとロシアのプーチン大統領がウクライナ侵略するのも頷ける…

ナチスドイツも地政学を重視していたようで、少し恐ろしい考え方なのかもしれない。

イギリスの政治学者で地政学の発展に大きな影響を与えたマッキンダーによると、「ハートランド」という地政学上の要となる場所が2つあるらしい。

1つはユーラシア、もう1つはサハラ砂漠の下の南アフリカ。

このような理由から、ナチスドイツもロシアも東欧を抑え込もうとするのだが、東欧の国々からするとたまったものではない…

地政学からは話が少しそれるのだが、ロシア流の歴史教育は自国をかなり美化した教科書を完全丸暗記されるらしい。



ウクライナの宗教についての情報など、現在の国際情勢を理解するために読んでおいたほうがよい本だと思う。

2022.02.27 Sunday

激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972 池上彰 佐藤優

池上彰氏と佐藤優氏が、対談形式で左翼の歴史をさかのぼるシリーズの第2弾。

(第1弾の「真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960 池上彰 佐藤優」はこちら

1960年から1972年という純粋な学生運動から、過激派の象徴的な事件である"あさま山荘事件"あたりまでを振り返る。

TVで芸能人向けに穏やかに分かりやすく解説している池上氏が、学生運動が盛んな時期の話になると、ご自身の学生時代の大変なども交えて熱く語りはじめる。

私も含め、落ち着いた学生時代しか知らない身からすると、当時の学生の熱さはなかなか想像しづらい。

本の内容は

・序章 「60年代」前史
・第1章 60年安保と社会党・共産党の対立(1960~1965年)
・第2章 学生運動の高揚(1965~1969年)
・第3章 新左翼の理論家たち
・第4章 過激化する新左翼(1970年~)

となっていて、1960〜1972年の間の社会党と共産党との左翼内での主導権争いの歴史、そこから派生してきた新左翼とその分裂について語っている。

各種レビューなどでも指摘されているように、佐藤優氏は共産党に関してかなり手厳しい。

佐藤優氏と共産党との対談などを見てみたいと思ったのは私だけ?

ところで1973年以降に関しては、左翼は急速に力を失っていく時代なのだが続編は出版されるのだろうか?(笑)

2021.12.07 Tuesday

戦後民主主義に僕から一票 内田樹

個人的に最近かなり興味を持っている内田樹氏の、過去のものも含めて民主主義についてまとめたもの。

ご本人曰く「変な本」とのことなのだが、興味深く面白い。

最初から、日本社会全体が「株式会社化している」という興味深いテーマから始まり、子供たちが知っている世界は、家庭も、学校も、部活も、塾も、バイト先も「じっくり時間をかけて合意形成を行う」ようなことをしない。

民主主義を経験していたことのない人たちが有権者なのであるから、国が民主主義ではないことは不思議ではないと手厳しい。

最近の政治の話題を見ていると、忖度する官僚が出てきて、彼らが出世していくのだが、そうすると統治コストは最小化できるが、国力まで最小化してしまうとのこと。

そしてここからが面白いのだが、締め付けが緩く、市民運動、労働運動、学生運動などが活発で、やや過激な動きもあった時期のほうが景気も良かったらしい。

そもそも景気がいいから金があるので活動できるとも言える。

その後バブルが弾け、日本人が貧乏くさくなっていくにつれて、政治意識も希薄化していく。



このような形で「民主主義」「政治」「憲法」「教育」といったテーマに関して、内田氏独自の鋭い切り口で解説してくれているので、ぜひ多くの方に目を通してほしい。

2021.11.25 Thursday

警視庁公安部外事課 勝丸円覚

警視庁公安部、それも外事課となると、我々一般人はなかなか接点がなくイメージが湧きづらい。

そんな部署を分かりやすく、具体的なエピソードも交えて分かりやすく解説してくれているのがこの本である。

インテリジェンス関連の本と言えば、外務省出身の佐藤優氏の本をよく読むのだが、勝丸氏は警察側からの視点で書かれているので、外務省視点との違いが分かり面白い。

公安の捜査員としての一部と、公安外事課の交換連絡担当としての二部とに分かれているのだが、問題を起こす外交官の後処理のエピソードが多い二部が個人的には印象に残った。

と言うのも、勝丸氏は各国大使の信頼を獲得することに優れていて、私も外国人と仕事をすることが多い身なので、学べる点が多かった。

もちろんこの本を参考にして、変な外国人勢力に取り込まれないように注意しないと(笑)



この本の中ではインテリジェンスのプロのテクニックの一部が紹介されているのだが、JR大塚駅のホームは、尾行をまく絶好の場所らしいので一度行ってみよう!

そこでキョロキョロしている人がいたら、尾行をまこうとしている人か、この本の読者だと思う(笑)

2021.10.26 Tuesday

新世界秩序と日本の未来 米中の狭間でどう生きるか 内田樹 姜尚中

内田樹氏の突拍子もない思い付きに、姜尚中氏が理論的な解説と肉付けを行う感じの対談形式。

とは言え、内田氏の斬新な指摘は興味深く面白い。

日本の国内状況の指摘で、安倍政権で重用されていた人たちは、日本の国力が急激に下がったことをデータとしては知っていたはずだが、自分が国内で相対的に高い階層に属しているので、国が貧しくなり国力が衰微することは気にならないという点を指摘している。

また安倍政権時のネポティズム(縁故主義)、能力ではなく政権への忠誠心で人々を格付けした点を、組織の管理コストは劇的に下がるとのことだが、私のいる会社(デジタル大臣などを接待して週刊文春にスクープされたところ)も半分国のような組織なので納得させられた。

他国の分析に関しては、中国に関する見立てが面白い。

習近平政権は盤石ではなく、その理由の1つが治安維持予算が急増しているとのこと。

これは当然国内で内乱などのリスクが高まっていることを意味し、日本国内からは国内情勢を見ることはできないが、一枚岩ではないのであろうことが推測できる。

もう1つの中国の問題は、意外だったのだが人口問題で、2027年を境に人口がピークアウトすると同時に、今の日本以上の少子高齢化が進むとのこと。

だからこそ余力がある今のうちに、香港だけではなく台湾も自分のものにしようと躍起になっているそうである。

そういう背景が分かると、対中国の交渉は引き延ばせば状況は改善するように見えるのだが、日本は中国以上に力を失ってしまいそうなので、この手法は厳しいか…



私はAIに携わる業務を行っているのだが、その私からするとAIに関する見立ても面白い。

2021.10.25 Monday

自民党 失敗の本質

石破茂、村上誠一郎、内田樹、御厨貴、前川喜平、古賀茂明、望月衣塑子、小沢一郎といった錚々たる面々が、現在の自民党の問題点を分かりやすく指摘している。

インタビューしたものを文字起こししている本なので、読みやすい本なのだが、読書好きにはやや物足りないか?

とは言え、2021年8月の取材に基づいた本なので、タイムリーな内容が多いので、雑誌だと思って読めば楽しめる。



個人的には東京大学の御厨貴先生のご指摘が鋭く、自民党議員である石破茂氏と村上誠一郎氏の自らの政党の分析が興味深かった。

2021.10.08 Friday

デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える 堤未果

2021年9月1日よりデジタル庁が発足するなど、デジタル化を加速させようとしている日本政府。

ただちょっと待って欲しい。このデジタル化は本当に日本の為になるのだろうか?

そのあたりを堤未果さんが分かりやすく解説してくれている。

本のプロローグで引用されているSF作家のアーサー・C・クラーク氏の

「技術はある地点から、専門家以外には魔法と区別がつかなくなる」

この言葉が私にはとてもインパクトがあり脳裏に焼き付いている。

私は、日系大手IT企業で営業やマーケティングを行っているのだが、正直最新のIT技術を完全に把握できているわけではない。

私に限らず、営業系やバックオフィス系だとIT企業勤務であってもすべてを把握できているわけではなく、いや技術者の場合でも自分の担当以外のソリューションは理解できていない場合も多々あるように思う。

一般の方々はもちろん、お歳を召された政治家の皆さんが正確に把握できているとは思えない。

そのような状況で急激にデジタル化を進めて、我々の生活に問題はないのであろうか?

例えばビジネスパーソンだけでなく、学生の方などもオンライン会議ツールZoomを利用したことがあるかと思う。

この会議の暗号キーが中国北京にあるサーバーを経由しているらしいのだ。

そうなると、政府や企業の重要なオンライン会議の内容が筒抜けになる危険性が高いので、アメリカやドイツ、台湾などではZoomの利用は控えるようにと指示がでているらしい。

またTikTokも同様のリスクがあるのだが、日本ではどちらも積極的に利用されている。



これに加えて、今の社会では重要な情報をクラウド化することは普通のことだとは思うが、外交や安全保障、そしてマイナンバーカードのような個人情報(資産情報や健康情報も紐づけられている?)が外資系企業のものだった場合に、何かあった際に国家として責任が取れるのだろうか?

普段やや右寄りの意見を主張されている政治家の方々が、これを許している理由が私には理解できない。

IT業界にいる方はもちろん、それ以外の方にも、日本の将来のために読んでほしい本である。

2021.08.13 Friday

菅義偉の正体 森功

「叩き上げの苦労人」などと称される菅義偉総理だが、これは作られたイメージで現実とは大きく異なっている。

そのあたりを調査するため、まずは菅義偉のお父さんである菅和三郎さんの生い立ちから話はスタートする。

この菅和三郎さんは、太平洋戦争時に満州に渡り、かなり苦労をされた方である。

終戦後は秋田に帰り、自分の名前にちなんだ「ニューワサ」というブランドを立ち上げ、農協に頼らず自ら販路を開拓するなどやり手の経営者だったようである。

仕事の面だけでなく、周りの方々の面倒も見るようなリーダーシップのある方だったようで、「自助」「共助」「公助」でいうところの「共助」を重視する方のようである。

あれっ?某総理は「自助」を重視していなかったっけ?

このような家を飛び出し、東京に進学した菅義偉は、卒業後に小此木彦三郎の秘書になり政治家としての人生をスタートさせる。

この秘書時代に、地元の鉄道会社を中心とした人脈を構築し、横浜市議会議員時代にそれをさらに発展させ、その人脈を今日まで活かしているようである。

その中心となるのが藤木企業の代表である藤木幸夫氏なのだが、この方はカジノに大反対しており、菅政権が進める統合型リゾート(IR)計画が今後どうなるのか注目される。

そして国政へ進出していくのだが、小泉政権時に竹中総務大臣の下で総務副大臣になり、ここから表舞台に進んでいく。

悪名高き竹中平蔵に師事したため、新自由主義的な政策が多いのはこのためか?

その後、総務大臣や官房長官を経て総理の座を射止める。

こう書くと立身出世のきれいなエピソードのようだが、権力を得るにつれて利権の匂いが強くなっていく…

そのあたりはぜひ本書で確認してほしい。



著者の森功氏は、菅義偉の家族、後援企業の代表、菅義偉に近い議員、そして菅義偉本人といったところに取材を試み、ほかの方ではあまり聞けない内容を見事に取材している。

どちらかというと敵対している相手とその関係者に取材を申し込み、なおかつ的確なコメントを引き出す森功氏の取材力には脱帽させられる。

2021.08.10 Tuesday

真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960 池上彰 佐藤優

佐藤優氏は「左翼の時代」が再び到来すると思っており、その前に日本の近現代史を「左翼の視点」から捉え直す作業を行なうことが、今後の時代を生き抜く道標になると考えているとのこと。

現在の社会の大きな問題となっている「格差の是正」「貧困の解消」は、左翼が掲げてきた論点そのものである。

そこで今までも多くの共著を出してきた池上彰氏と、対談形式で振り返る。

序章で「左翼とは何か?」について解説している。

日本のメディアで、野党側をリベラルと称しているのをよく目にするのだが、多くの人は「リベラル=左翼」と思っていないだろうか?

本来の意味では、リベラルは自由主義者であるため左翼とは対立的な概念なのである。

また共産党と社会党の違いを、お2人の独自の視点で解説している点も面白い。

このように序章にて、左派の概要を予習したうえで本編へ。



第1章 戦後左派の巨人たち(1945-1946年)

第2章 左派の躍進を支持した占領統治下の日本(1946-1950年)

第3章 社会党の拡大・分裂と「スターリン批判」の衝撃(1951-1959年)

第4章 「新左翼」誕生への道程(1960年-)

このように時代ごとに細かく区切って、太平洋戦争終了後からさかのぼっていくのだが、戦後の混乱期に日本社会党と日本共産党それぞれに大物がいて理論武装をしていった。

正直初めて聞いた名前も多く読み終えるのは大変だったが、とても勉強になる1冊だった。

ちなみに池上さん148ページの朝鮮戦争は1952年ではなく、1950年開戦です。

2021.07.31 Saturday

枝野ビジョン 支え合う日本 枝野幸男

立憲民主党の代表を務める枝野氏の政治理念をまとめた本。

「本当の保守とは何か?」
「新自由主義は限界なのではないか?」
「今後の日本の成長戦略は?」
といった内容について、1人の政治家としてその打開策を語っている。

この本を読んでいて「昔の自民党の良識ある政治家って、こんな考えを持っている人が多かった気が…」と思ってしまったのは私だけだろうか?

現在の自民党の"なんちゃって保守"に不満を抱いている方は納得してくれる気がするのだが、いかがだろうか。

明治維新以来の「規格化×大量生産社会」を成功事例として、そればかりを目指しているが、その考えはすでに限界を迎えているという点には納得させられた。



個人的には至極当然の考え方と思うのだが、枝野氏というか立憲民主党には実行力が伴うことが重要に思える。

コンサルタントが正論の解決策を提案してくるが、「この企画はどうやって実行するのか?」と問いただすと黙ってしまうといった展開にならないことを期待したい。

2021.07.14 Wednesday

悪の処世術 佐藤優

ウラジーミル・プーチン、習近平、ドナルド・トランプ、金正恩、バッシャール・アル・アサド、エンベル・ホッジャ、アドルフ・ヒトラー、毛沢東、ヨシフ・スターリン、カダフィ大佐、金日成。

現代の政治を動かしている政治家から、歴史上の人物と言われる政治家まで、「独裁者」と言われる彼らを、佐藤優流の視点で人物像か手腕までを解説している。

恐怖によって人心掌握を実行しているのかと思いきや、意外な一面のエピソードに驚かされる。

ロシアのエキスパートとしてプーチン大統領とお会いしたことある経験を踏まえたエピソードで、お世話になった人を決して裏切らない、日本の某政治家のことで涙する話など、日本でいう「浪花節」なところがある。

日本とロシアは意外に相性がいいのではないか、とも思えるのだが、ここは少し割り引いて考えた方がいいだろう。

また習近平、毛沢東という2人の中国の政治家を知ることで、中国政府の考え方が見えてくる。



個人的にはシリアのアサド大統領の部分が、政治手腕と同時にシリアの現状を理解するのに役に立ち、頑固おやじ感が溢れるアルバニアのホッジャについてが興味深かった。

2021.06.08 Tuesday

鳴かずのカッコウ 手嶋龍一

手嶋龍一氏と言えば、NHKのワシントン支局長だったこともあり、外交ジャーナリストというイメージが強い。

佐藤優氏との共著を何冊か読んだことがあり、特に「公安調査庁」について書かれた本は、知られざる官庁である公安調査庁について知ることができた。

そんな手嶋氏が公安調査庁を舞台に描いた小説がこの本である。

プロローグは、ウクライナ、根室、ロンドンのまったく関連性があると思えない3つのストーリーが描かれており、最初はその繋がりが分からないため「買う本間違えたかな(手嶋さんすみません…)」と思ったのだが、話を読み進めていくうちにその繋がりが分かって面白い。

公務員が安定しているからという理由で、公安調査庁に入った冴えない青年が、裏の世界で蠢くインテリジェンス情報をものにする。

インテリジェンスがテーマの映画や小説は、主人公はカッコいいのがセオリーのはずが、なんとなく入った青年が世界が驚く情報を入手する。

神戸の小さな公安調査事務所が、日本と北朝鮮、日本と中国といった1on1の関係だけでなく、複数のステークホルダーとなる国々が関係しており、このあたりの描写は報道機関の最前線で本当の外交を見ていた手嶋さんならではといったところか。

また関西在住の方や、関西に縁のある方にとっては、神戸を中心とした街の描写が丁寧で、すぐに街並みが浮かんでくるであろう。



読んでいくうちに主人公に肩入れしてしまい、最後の結果に関してはちょっと残念なところもあったが、いい意味でお役所とは思えないいいチームワークが、自分もそのメンバーになったかのごとく話に引き込まれてしまう。

手嶋氏の人を引き込む文章に圧倒されてしまった。

政治や外交に関心のある方には、絶対にお薦めしたい本である。

2021.05.17 Monday

官僚と国家 菅義偉「暗黒政権」の正体 古賀茂明 佐高信

古賀茂明氏と佐高信氏という、ちょっと不思議な組み合わせにも思える2人が、現政権の問題点を鋭く指摘している。

第1章では、菅義偉のプレッシャーのかけ方について、実際にそのプレッシャーで「報道ステーション」を降板することになった古賀氏が自らの体験をもとに解説してくれている。

佐高氏も、首相になってはいけない裏の人間が首相になってしまったと手厳しい。

第2章では、「官僚たちの夏」のモデルとなった佐橋滋などを例に挙げ、現在の官僚の劣化について言及している。

もちろん異論を許さない政治家の器量にも問題があるのだが…

第3章では、官僚のタイプや思考回路について古賀氏が解説している。

古賀氏の著作「日本を壊した霞が関の弱い人たち」で語っている内容の概略といったところか。





第4章で、日本学術会議問題について述べているのだが、切り口が興味深い。

野党議員は「任命拒否」の理由を国会で質問しているが、そもそも「任命拒否」はできないのであるから、「任命拒否」の理由を聞くのはおかしい。

この流れだと、理由が正当であれば「任命拒否」できるという方向にっ持っていかれてしまうとのこと。

こういう考え方ができる古賀氏は鋭いなと思ってしまう。

第5章では、原発関連の話題で、橋下徹や河野太郎などが関係する面白い話題があったのだが、ここでは敢えて紹介しないので是非読んでみてほしい。

2021.05.03 Monday

ニッポン 未完の民主主義 池上彰 佐藤優

本日は憲法記念日ということで、池上彰氏と佐藤優氏が民主主義について解説した本をご紹介。

「感染症が世界的に広がると、各国は国境を閉ざし、外国人を締め出す。
その一方、国内では厳しい規制を敷いて、自由な活動を抑圧する。」

このような民主主義を根本から否定するような書き出しから、この本は始まる。

第1章、第2章では日本の民主主義について解説していて、最初から舌鋒鋭く佐藤優氏が専門家の過度な登用の問題点を指摘している。

専門家会議はブラックボックスと化しやすく、代議制民主主義が相対的に軽視されていくことになるとのこと。

私自身は、普段から諮問会議の乱立の問題点を指摘しているにもかかわらず、新型コロナウイルス対策におけるこの問題点に気づいておらず反省しなくてはならない。

なお「自由なき福祉」という言葉を用いて、この例を含むさまざまな民主主義の危機について解説してくれている。

またSNS等で芸能人が賛同したこともあり大きな話題になった検察官の定年延長問題について、検察に民主主義を託そうとする危険性について、逮捕歴のある(笑)佐藤優氏が大きな問題である旨を指摘している。

ちなみに、これらは序盤の十数ページで扱っているテーマで、上記のような内容に興味があれば、絶対に面白い本である。

佐藤優氏につられて、池上彰氏まで政権に関してかなり手厳しい。

Go To トラベルを推進したとされる自民党の二階幹事長、政策提案をしようと思って説明しても、聞き終わると「だから何なんだ」と言ってしまうらしい(笑)

論理に対して論理で対抗するということをしないのである。

こんなのが与党幹事長で日本は大丈夫なんだろうか?



2021.04.22 Thursday

賢慮の世界史 国民の知力が国を守る 佐藤優 岡部伸

産経新聞論説委員の岡部氏と、佐藤優氏が現在の国際情勢を解説。

岡部氏は産経新聞の方なのに落ち着いた方で、自らの海外赴任時の実体験による解説が分かりやすい。

最初の書き出しで、モスクワ滞在時のホテルにてルームサービスのボルシチに睡眠薬を入れられて財布からドル札だけ抜き取られた話で、ロシアの怖さを教えてくれている。

当たり前だが「睡眠薬ではなく毒だったら死んでいる」訳で、ある種の警告である。

このようなロシアの怖さを踏まえて北方領土問題について解説してくれている。

佐藤氏の解説によると、ロシアはINF全廃条約の失効により中距離弾道ミサイルが日本国内に配置されるのを懸念しているとのこと。

マスコミがこの点について触れないのが不思議で仕方がないらしい。

次にヨーロッパに関して、ブレグジット問題、ゴーンの国外逃亡問題、そして最近注目されているインテリジェンスアライアンス"ファイブ・アイズ"へ日本が参加するかについてメリット、デメリットも踏まえて紹介してくれている。

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、 ニュージーランドというアングロサクソンの5カ国の"ファイブ・アイズ"に日本が参加し、"シックス・アイズ"となる日は来るのだろうか?

日本とイギリスが連携するなると、日英同盟を思い出す方も多いだろう。



もちろん日本の外交戦略の基軸である日米関係についても触れられているが、ヨーロッパ、特にロシアやイギリスの今を知りたい方にお薦めしたい。

2021.01.30 Saturday

菅義偉 不都合な官邸会見録 望月衣塑子+特別取材班

官房長官としての菅義偉、総理大臣としての菅義偉の今までの会見をまとめたもの。

官房長官時代の「森友・加計学園問題」や「桜を見る会」、総理大臣時代の「日本学術会議」や「新型コロナウイルス」に関する答弁を見てみたのだが、どれもまともに回答していないのがよく分かる。

会見内容を本にしているので、口語を文語にしている点は考慮してやるべきなのだろうが、あまりにもひどすぎて、論点ずらしで何らまともに答えていない。

「公文書管理」に関してのやり取りは、特にひどく思えた。



数多くの歯切れの悪い答弁を読むことになるため、結構ストレスになるためあまりお勧めしない(笑)

菅総理の記者会見を聞いていると、あまり賢くない子が教科書を読んでいる姿を思い出してしまうのは私だけ?

2020.12.31 Thursday

菅政権と米中危機 手嶋龍一 佐藤優

大人気の中公新書ラクレ、手嶋龍一氏と佐藤優氏の対談形式の人気シリーズの最新作。

外交のスペシャリストであるお2人の対談なので、やはり内政(菅政権)についてより、米中関係についての方が当然ながら内容は熱い。

内政については、佐藤氏が仰る"天皇機関説ならぬ首相機関説"を菅政権が上手く引き継げるか次第とのこと。

そんな菅政権の最大の地雷原になりそうなのが、対中国政策に他ならない。

中国が推進する巨大経済圏構想で、現代のシルクロードとでもいうべき「一帯一路構想」を今まで以上に支持していくか否かの判断を迫られるというのである。

もちろん中国を支持すればアメリカとの関係は悪化し、逆に中国を支持しなければアメリカとの関係は良好に保てる。

菅総理が中国とアメリカに対して、官房長官時代に見せたようにのらりくらりかわせればいいのだが、2つの大国に挟まれるとさすがにそれは難しい。

また、この本のメインテーマでもあるのだが、アメリカと中国との関係は我々日本人が思っている以上に悪化しており、その点でも菅政権の外交は厳しい船出になってしまうとのこと。

米中対立は米ソ冷戦時代に例えられることもあるが、佐藤氏が言うには「とんでもない!」とのこと。

米ソ冷戦時代には双方に知恵のあるブレーンがいて、核ミサイルを使えないような工夫をしていたのだが、今はそんな知恵などなく、もし台湾海峡にて有事が発生した際にどういった事態が起きてしまうのか?

この際に日本はかなり厳しい環境に置かれてしまうのだが、そういうことを考えている政治家はいるのだろうか?



ちなみに本の中で、手嶋氏は佐藤氏を色々といじっているのが何とも言えない。

2020.12.22 Tuesday

ブラック霞が関 千正康裕

霞が関の官僚の日々を分かりやすく解説してくれているこの本を、私は感慨深く読ませて頂いた。

実は就職活動の際に、霞が関の役所はインフラ整備を担う役所をいくつか受けたのだが、朝9時ころから深夜終電ぎりぎりまで某役所にいて、何度も色々な方々と面接させて頂き帰宅時に「また明日も来てください」と言われて、どっと疲れが出てしまったことを思い出してしまった。

夜中でも多くの役所の誰も帰らない職場を見ていて、「ダメだこりゃ」と思ったものである。

大手企業を中心に“働き方改革”が進んでおり、私が働いている企業でも、やや形だけな感はあるがログインの記録などから労働時間を人事が把握できるようになっていて、休日にPCにログインして仕事していると人事に呼び出されるようなこともあったりするのだが、霞が関ではいまだにガムシャラな働き方が基本のようである。

そのため多くの有能な若手官僚が転職してしまい、中途採用なども積極的に行っているようだが、人手不足で悩まされているとのこと。

そう言えば私の知っている方で官僚になった方も、多くの方が辞められ、外資系コンサルティング会社や地元の首長になった方までいたりする。

若い頃は、気力と体力で乗り切れるのだろうが、ある程度の年齢になると一日職場に拘束される生活はやはりツラい。

また時間的な拘束だけでなく、無駄が多いところも改善が必要と千正氏は指摘しており、質問の事前通告の徹底やペーパレス化など、やる気さえあれば今すぐにでも実行できるようなことも多いように見えるが、前例主義の文化だとなかなか難しいのだろう。



私はこの環境を改善しないと、優秀な人材が官僚になってくれなくなり、アホな2世、3世の国会議員の思い付きの政策ばかりになってしまう。

えっ?Go To トラベルの二転三転など、すでに思い付きばかり?

2020.12.02 Wednesday

知事の真贋 片山善博

前鳥取県知事で総務大臣も務めた片山氏が、日本の新型コロナ対策の問題点や、各知事の言動を評価している。

他の方が言うと「後出しじゃんけんじゃないか!」となりそうなのだが、片山氏の場合はTBSの「ひるおび!」などでリアルタイムでコメントなされており、それらをまとめた感じの本になっている。

また自治省(現総務省)の官僚だった方なので、法解釈に関しては厳しく、安倍首相が行った一斉休校の要請には法的根拠がなく、これは教育委員会に権限があることである。

にもかかわらず、この件に関して「何の根拠があるのですか?」と言える知事さんがいなかったことが残念とのこと。

これは会社でもよくあることで、経営企画本部長に決裁権があるのに、社長が「いいからやれ!」とやらせてしまうのは誰でも想像できるのではないか。

法解釈に関して、12月となり感染者が増加しており、都道府県によっては飲食店などに自粛要請を出しているのだが、この自粛要請ってどういう法的根拠があるのだろうか。

新型インフルエンザ等対策特別措置法の第24条9項では、

「都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。」との条文がある。

ただこの条文の前後を読めば、これは医師会や感染症の専門家への協力の要請のことであり、飲食店への休業要請のことではないのである。

飲食店の方々からすると「え〜!間違った法解釈で自粛要請されているのか!」と愕然とするのではないだろうか。

官僚の方々にも、この問題点に気づいている方もいるのだろうが、その旨に関して声を上げられないのだろうなと想像してしまった。



法解釈に関しての部分が長くなってしまったが、各知事さんたちの新型コロナウイルス対策に関して、片山氏が良い点や悪い点を解説しているのだが、断トツの高評価なのは和歌山県の仁坂知事で、県内の病院で発生したクラスターを国の基準ではなく、独自で戦略をたてて迅速に行動した結果、県内での新型コロナウイルスの拡大を防いだのは確かにお見事だった。

また和歌山県と和歌山市の連携もスムーズにできている点も素晴らしいとのことだが、私からするとパフォーマンス型の知事ではなく、実務スキルの高い知事を選んだ和歌山県の有権者も立派である。

逆にあまり評価が高くないのは、東京都の小池都知事と大阪府の吉村知事なのだが、どういう所が問題なのかはぜひこの本を読んでほしい。

2020.11.22 Sunday

日本を壊した霞が関の弱い人たち 古賀茂明

元経済産業省の改革派官僚であった古賀茂明氏。

森友学園問題、加計学園問題で官邸の意向に対して忖度を行ったとされる官僚たちの思考回路や行動パターンを、古賀氏の長年の官僚経験を踏まえながら解説してくれている。

古賀氏は官僚を「消防士型」「中央エリート官僚型」「凡人型」という3パターンに分けていて、 「消防士型」は自分の利益などを顧みず人の命を救うために動けるようなタイプとのこと。

当然このタイプが一番好ましいのだが、このタイプの代表的な方であった赤木俊夫さんは自殺に追い込まれてしまう…

ちなみに「中央エリート官僚型」は、自らが一番優秀であることを証明したい方で、ちやほやされることを望むタイプ。

「凡人型」は安定を求めているタイプで、いわゆる世間一般で思い描く公務員のイメージである。

また官僚に関して「官僚性善説」「官僚性悪説」という分け方ではなく、古賀氏は「官僚性弱説」という考えで、国民の利益か自分の利益(自分の役所の省益)かの二者択一となった際に、自分の利益を選んでしまう弱さを持っているとのこと。

そのため政治的プレッシャーに負けてしまい、変な忖度に走ってしまうらしい。

読んでいて思わず「なるほどな!」と思えることが多く、古賀氏の想像によるフィクションによる政治家と官僚のやり取りの会話を再現しており、これがまたリアルな感じで面白い。



この本のテーマの本筋ではないのだが、古賀氏の指摘で妙に納得してしまったのが「謎の日の丸信仰」についてで、昭和の世代の方々、特に経営者層の方と話して「日本だから大丈夫」という何らエビデンスのない謎の自信については、私も日々うんざりしていたので、この点を指摘してくれており嬉しく思った。

先進国で平均年収が下がっている国って日本だけなのに…

官僚に関して幅広いテーマで分かりやすく自らの実体験も踏まえて解説してくれており、適度に笑いを取り込むなど、とても興味深く読める本だったので、ぜひ多くの方に手に取ってほしい。

2020.10.31 Saturday

沈みゆくアメリカ覇権〜止まらぬ格差拡大と分断がもたらす政治〜 中林美恵子

テレビなどで、アメリカ情勢の解説や、最近ではアメリカ大統領選挙の解説でよく見かける中林美恵子氏。

的確なコメントを見て、この方の本を読んでみたいと思い購入したのだが、なかなか面白い。

まず最初に驚かされるのが、中林氏のアメリカ人脈のすごさである。

共和党側で働いていたにもかかわらず、日本と比べて政党の垣根が低いのもあるだろうが、民主党側の人脈も豊富で現場の生の声を聴き、それをもとに解説してくれているのには驚かされる。

トランプ陣営、バイデン陣営を分かりやすく解説してくれており、それぞれの候補の日々のエピソードなども交えて人間性などに関しても触れており、個人的にはバイデン氏の人柄に好感を抱いた。

また両候補の紹介だけではなく、共和党、民主党の内政・外交政策について解説しており、外交に関しては特に中国との関係や、中東との関係はかなり深く解説してくれている。

共和党、民主党ともに一枚岩ではなく、特に民主党に関してはかなり左寄りの方もいて、そことの調和、特に環境問題での対応では意見が大きく異なるようで、内部分裂の懸念もあるそうである。

もちろんアメリカ大統領選挙が日本に与える影響も解説してくれているのだが、どちらが大統領になっても日本には厳しい現実が待っているようである。

アメリカ大統領選挙に興味がある方は、結果が出る前に読んでみてはいかがだろうか?



私は前から思っているのだが、アメリカに豊富な人脈を持っている中林氏や、ロシアに豊富な人脈を持っている佐藤優氏のような方々を、日本政府はもう少し有効活用できないものだろうか?

佐藤優氏の場合、古巣の外務省がかなり嫌がるだろうが…(笑)

2020.10.24 Saturday

なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか 望月衣塑子 佐高信

望月氏と佐高氏の対談を文字に起こしている感じなので、口語体で読みやすく1日で読み終えてしまう。

日本のジャーナリズムというテーマなのだが、過去の政治家や官僚と、現在の政治家や官僚を比べて、最近は器が小さくなったなと思わざるを得ない。

映画「新聞記者」とその作品で主役を務めた松坂桃李さんの覚悟について、昔の自民党政治家の人としての器の大きさ、読売新聞の主筆でもあるナベツネこと渡辺恒雄氏の「新聞記者は、火付け、盗賊、殺人以外は何をやってもいいんだ」 発言などから、森友学園問題と財務省近畿財務局の職員であった赤木俊夫さんの本物の公務員としての姿などが書かれており興味深い。

ナベツネの意外な一面はとても笑えるのだが、赤木さんの話は泣けてくる…





ちなみに、この二人は慶應出身なのだが、どちらも正統派ではない塾員って感じがしてならない(笑)

そういう私も正統派じゃないかも!?

2020.10.04 Sunday

長期政権のあと 佐藤優 山口二郎

安倍内閣は9月16日午前の臨時閣議で総辞職し、長かった安倍政権についに終止符が打たれた。

それを予想していたのか、佐藤優氏と山口二郎氏という意外に思える組み合わせの2人が、安倍政権後のさまざまな問題をテーマにしたのがこの本である。

対談形式ではなく、それぞれが1つのテーマに関して小エッセイのような感じで執筆しており、それが交互に続いていくような形式をとっている。

第一章では「安倍政権の正体」というテーマで、安倍政権の権力構造や、他の長期政権との比較をしており興味深い。

また面白い発想として「天皇機関説」ならぬ「首相機関説」といった考えを佐藤優氏はお持ちらしい。

第二章では「長期政権が変えた世界」として、民主主義から見た安倍政権や、新自由主義について解説している。

第三章では「なぜ、自民党は強いのか」で、中曽根政権が「生活保守主義」として生活水準を維持するような政策を勧めたため、支持層をリベラルな市民層にまで広げることに成功。

山口二郎氏に言わせると、自民党の賞味期限が伸びたとのことである。

第四章、第五章では、「安倍政権後に訪れる国難」「もはや先進国ではない」として、今後の日本が抱える厳しい現実を解説しており、ちょっと暗い気分になってしまうが、国難を乗り切るために色々と考えなくてはならない。

とてもタイムリーなテーマで、ぜひ読んでみてほしい本である。



この2人でも“踏みつけられたパンケーキみたいな顔をした人”が総理になることは、さすがに予期できなかったようである(笑)

2020.08.31 Monday

知らないと恥をかく世界の大問題11 池上彰

世界が新型コロナウイルスで苦労している中で、各国でどのようなことが起きているのだろうか?

そのあたりをアメリカ、ヨーロッパ(特にイギリス)、中東、東アジアと地域別で池上彰さんが分かりやすく解説してくれている本。

最近の日本のテレビのニュースでは、国内の新型コロナウイルス関連のニュースばかりで、世界情勢に触れていることが少ないので、こういう本で少しでも情報収集しようとして購入したのだが、想像以上に興味深い内容が多かった。

例えばアメリカ国内において、トランプを支持していたキリスト教福音派の一部がトランプ不支持を打ち出した話、ロシア憲法改正の話に加え、中東の章で各宗教の話をかなり分かりやすく解説してくれていたのが、私がどこかで説明しなくてはならない際に使えるなと思ってしまった(笑)

私がよく読む佐藤優さんの本だと宗教の項目が少し難しくついて行きづらい…

また日本の問題点についても触れられており、安倍政権の終焉を迎えた今こそ目を通してはいかがだろうか?



新型コロナウイルス感染者が拡大する直前に、キューバに取材に行った際にキューバ人女性たちに指をさされ「コロナ!コロナ!」と言われたそうなのだが、これテレビ東京で放送した松井秀喜さんと行ったキューバ野球を取材に行ったときですね。

2020.08.14 Friday

公安調査庁 手嶋龍一 佐藤優

手嶋龍一氏と佐藤優氏は、対談形式で国際情勢を解説する中公新書ラクレの人気シリーズを出しており、米中関係や日韓関係を取り上げていた。

その2人が公安調査庁を取り上げるということで、私はとても不思議に思えた。

というのも、公安調査庁はドメスティックな組織に思え、2人の専門とは違うのではないかと思えたからである。

ところがそれは私の誤解であり、公安調査庁は海外のインテリジェンス組織からも評価されているとのこと。

その一例として、2001年の金正男事件が挙げられている。

小泉政権が発足し、田中真紀子が絶大な人気を誇り外務大臣に就任したのとほぼ同時期に、金正男が偽装パスポートを使い日本に入国した事件である。

この時に、どこよりも早くこの情報を入手していたのが公安調査庁で、その情報源はイギリスのMI6から得られたのではないかとのこと。

MI6は、映画007シリーズでジェームズボンドが所属している組織だと言えば、分かってもらえるだろうか?

そこから情報を得るということは、お互いに信頼関係が構築されてないと難しいわけで「その信頼を勝ち得ている公安調査庁は有能なのではないか?」と思えてきた。

この公安調査庁だが予算規模は約150億円、人員規模約は1660人らしいのだが、この数字をどう解釈するだろうか?

私の本音としては「えっ?少なくない?」と思えてしまい、予算規模はある程度の規模の企業なら1事業部の年間売り上げ程度だし、人員も約30万人の警察官と比べて少なすぎる気がする。

ただこれでそれなりの成果を上げているのだから、少数精鋭で大したものだと思う。

それ以外には公安調査庁の歴史(意外なことに最初はGHQの指示で右翼側の行動を監視するのが主たる目的だったそうである)や、そもそもインテリジェンスとはについての解説をしてくれている。

外交や安全保障に興味がある方にはぜひ読んでほしい本である。



ちなみに最後の章で「日本を代表する企業のトップが自社のCMに登場してはしゃいでおり、それを止める人が社内にいないのが恐ろしい」と書いてあったのだが、これはトヨタ自動車のことだろうか?(笑)

2020.07.22 Wednesday

この不寛容の時代に ヒトラー『わが闘争』を読む 佐藤優

佐藤優氏のナチズム、ヒトラーについて解説する新潮講座を書籍化したのがこの本。

かなり難しいこの内容を2日間で集中講義したらしく、講師の佐藤優氏も受講者の方々も大変だろうなと思う。

内容に関しては、不寛容に関しては第1章で深く扱っているが、その後はヒトラーの考え方を紹介している。

ヒトラーは賢いなと思う点とそうではない点とを持ち合わせていると思っており、ヒトラーの「我が闘争」は色々な思想のパッチワークに過ぎず混合物に過ぎないとのこと。

そして「我が闘争」の中で、ヒトラーは自らの持つ危険な思想を公言しており、当時のドイツの世論がもっとこの内容を吟味していたら、ナチス政権は存在しなかったのではないかとも思えてしまう。

ただそれを天才的な演説でカバーし、無理をして憲法改正しなくても解釈改憲すればいいじゃないかという形で、独裁を推し進める。

麻生太郎ではないが、安倍政権はヒトラーを模している点が多いように思う

ヒトラーは、たとえ相手がインテリ層であっても、文章よりイメージの方が訴えかける力があると考えていた感があり、日本の現在の選挙を見ていると納得させられるところもある。



またファシズムとナチズムの違いなどにも触れられており、とても面白い本なのだが、読むのに結構パワーがいるので、じっくり読める時間がある際に購入したほうがいい。

2020.06.21 Sunday

女帝 小池百合子 石井妙子

6月18日に東京都知事選が告示されたこの時期にぜひ読んでほしいこの本。

元検事で弁護士の郷原信郎氏や、多くの政治家の方々がお勧めしており興味を持ち購入。

芦屋で育った幼少期のエピソードから始まるのだが、小池氏の父親である小池勇二郎氏がなかなかの曲者で、少しでも利権があると感じるとそこに食い込み、有力政治家に対しても乗り込んでいき強引に人脈を築こうとするような人であった。

その後に金儲けのために議員になろうとするも選挙で落ちてしまい、小池家の家計が苦しくなってしまった等々、少し同情したくなるようなエピソードも多い。

この幼少期のエピソードを細かく取材しており、著者の想いには圧倒される。

甲南女子高等学校から関西学院大学へ進学し、その後カイロへ。

私はここで思うのが、甲南女子高等学校に通える程度の財力や、関西学院大学へ進学できる学力はあるので、家庭は最低限の財力を、本人は最低限の学力を持ち合わせてはいるのかなと。

関西学院を中退しカイロに向かうのだが、カイロ大学を良い成績で卒業できたかについて色々と騒がれているが、私はこの本にあるように卒業していないと思う。

仮にもし私が公的な立場につく人間で、学歴詐称に関する問題が出た場合、私なら当時の同級生(著名な人なら特に好ましい)にコメントを出してもらうし、卒業証明書を自分のサイトで公開するだろう。

卒業証明書には生年月日など個人情報が掲載されているが、公人ならそれはすでに公にされている内容なので今更隠す必要などもない。

それをしない時点で明らかだと思うのだが…

その後帰国し、カイロ大学を首席で卒業したという触れ込みでメディアに売込み、そこから駆け上がっていく。

この段階でメディアが経歴の裏どりをしていれば今の小池百合子はないのだが、「カイロ大学を首席で卒業した才女」としてのPRに協力してしまったメディアは、自らのミスを認めることになるので学歴詐称の件に触れられない。




マスコミで働き始めたのちに、さらなるステップアップで政治家への転身を画策する。

細川護熙氏の日本新党から比例代表の下位で出馬する予定だったのを、うまく取り入り名簿2位まであげ見事当選。

その後は小沢一郎氏に、小泉純一郎氏にと、その時々の風を読みうまく立ち回るのは誰もが知っていることだと思う。

こういう話の詳細を知りたい方や、都知事選を控える東京都民の方はぜひこの本に目を通してほしい。

2020.04.29 Wednesday

知らないと恥をかく東アジアの大問題 池上彰 山里亮太

東アジアの大問題というタイトルなのだが、扱っているのは韓国&北朝鮮問題と、中国問題の2つである。

池上さんが山里さんに対し分かりやすく教える感じの本なので、とても分かりやすい。

知識豊富な方には少し退屈かもしれないが、こういう風に説明すれば理解してもらえるんだといった視点で読めば、かなり役に立つ。

社会人はもちろんだが、高校生や国際政治(主にアジア政治)を学ぶ大学生が読んでも面白いのではないだろうか?



新型コロナウイルスの影響で、家にいる時間に手に取ってほしい本である。

2020.03.31 Tuesday

ヒトラーの正体 舛添要一

前から気になっていた本だったので、新型コロナウイルスによる外出自粛の際に読みたいと思い購入。

第一次世界大戦で負けたドイツが、ベルサイユ条約による多額の賠償金で苦しむ中に出てきたオーストリア人のヒトラー。

抜群の政治センスで少しずつ政権掌握を実行し、景気浮揚策で失業率を下げ、さらに公的扶助の充実で高い支持を得ていく。

外交の面でも抜群の政治センスは発揮され、相手が譲歩することをか確信した強気の交渉術など、その政治センスには改めて驚かされた。

ポピュリズムだなとは思うが、当時のドイツで支持を集め、戦後でも「ヒトラー時代のドイツはよかった」という国民もいたという点は理解できる。



もちろん反ユダヤ主義によるホロコーストは絶対許されないのだが、当時のヨーロッパには反ユダヤ主義の風潮が強かったということは驚きを隠せなかった。

この高い能力を良い方向に使ってもらえれば、この悲劇的出来事など起こらず、名宰相として名前を残せたのにと思ってしまうのは私だけだろうか?

オリンピックの聖火リレー、年末調整制度の確立、ヘリコプターの実用化などは、すべてヒトラーが始めたものである。

2020.03.30 Monday

イスラエルとユダヤ人 考察ノート 佐藤優

我々日本人からすると、遠い存在に思えてしまうイスラエルとユダヤ人。

そのイスラエルとユダヤ人について佐藤優氏が解説してくれている本なのだが、内容は新書のレベルを越えており、私のように宗教の知識に乏しいとユダヤ教やキリスト教に深く入り込みすぎると、ついていくのが厳しかった…

とは言え、佐藤優氏がイスラエルを好きな理由、イスラエルと連携を強化するメリット、特に日本にとってはロシア情報をイスラエルを通じて入手することができ、北方領土交渉に関して有利な情報を得ることができる可能性が高いのである。

それに加えて、アラブ諸国と関係強化している今の日本のお金がアラブ諸国経由で北朝鮮に入ってしまっている状況を改善できる点もメリットである。

ただイスラエルは「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る」という国是を持っているので、そのような考え方を持つ国と協調路線でいくのは怖い気がするのは私だけだろうか?



2015年2月に出されたものに加筆されてでたものなので、少し古い内容も扱っているのだが、国際政治や外交に興味がある方には読んでほしい本である。

2020.01.26 Sunday

日韓激突「トランプ・ドミノ」が誘発する世界危機 手嶋龍一 佐藤優

手嶋龍一氏と佐藤優氏が対談形式で国際情勢を解説する中公新書ラクレの人気シリーズ。

2017年の「独裁の宴」、2018年の「米中衝突」と来て、今回のテーマは「日韓激突」と少しテーマが小さくなったような気はするが、そこはご安心を。

日韓問題だけにとどまらず、中東情勢、アメリカとイランの関係などについても触れられており(ちなみにこちらのテーマのほうが扱いが大きいような気が…)今の国際情勢を理解する手助けになる本である。

GSOMIA、徴用工問題などで日韓が衝突しているのだが、やはり過去の植民地支配が影響している。

韓国は「日本は植民地支配の反省が足りない」、日本は「すでに解決済みみじゃないか」と思っており、意見は平行線なのだが、佐藤優氏に言わせると旧宗主国としてふさわしい振る舞いがあるとのこと。

具体例として、イギリスは旧植民地に対し就労ビザで優遇したり、ヒースロー空港を通関する際も扱いが違うとのこと。

正直、今の日本にそのような大人の対応は難しいように思えてならない。

また国民一人当たり名目GDPが、国交樹立した1965年には8倍だったのが、今ではそんなに差がなくなってきた。

経済面での差がなくなってきたことで、自信が芽生えたことで、低く見られることに不満が募っているのではないかとのこと。

さらに言えば「生活水準に差があった時代に結んだ日韓基本条約は不当なもの」と思ってもおかしくないとのこと。



このように外交の最前線で活躍していた方の考え方は、私たちではなかなか想像できず面白い。

2019.11.25 Monday

国体論 菊と星条旗 白井聡

Wikipediaによると、国体論とは「国体論は、幕末に水戸学によって打ち立てられ、明治の帝国憲法と教育勅語により定式化された。国体の観念は近代日本を呪縛した。国体は、天皇が永久に統治権を総攬する日本独自の国柄という意味をもち、不可侵のものとして国民に畏怖された」と書かれている。

そう聞くと「現代社会には関係のない言葉じゃないか?」と思えるのだが、著者の白井氏によるとそうではないらしい。

アメリカが象徴天皇制を上手く利用し、アメリカ主導による軍国主義を抜き去った天皇制、その下に戦後民主主義があるとのこと。

これはアメリカを頂点とする戦後の国体を意味し、政権がアメリカの顔色ばかり窺うのも納得がいく。

まるでいまだに占領された国家のようである。

このような内容の本なので、興味深く面白い本なのだが、読みこむのにかなり気合がいる。

ただ生前退位で平成から令和に元号が替わり、さまざまな即位に関する行事が行われている今だからこそ読んでほしい本に思える。



2019.09.26 Thursday

新・リーダーのための教養講義 佐藤優

佐藤優氏と同志社大学の優秀な学生さんたちの合宿の様子を実況中継風に収録。

以前に佐藤優氏と灘高校の生徒さんの対談の本を読んだことがあるのだが、佐藤優氏の学生への接し方が、将来日本を担う優秀な人材を育てたいという気持ちが表れていて、とても興味深い。

私は学生ではないが、佐藤優氏の授業は受けてみたいと思っており、講演などがあれば話を聴きに行きたいと思っている。

それはさておき、本のタイトルにあるようにリーダー論にも触れているのだが、個人的にはロシア外交に携わった佐藤優氏と上司である東郷和彦氏による北方領土問題交渉について、当事者の実体験を踏まえて解説している点が興味深い。

「上手く交渉していれば、今頃北方領土は日本に返ってきていたのでは?」「日本とロシアで平和条約が締結できていたのでは?」と思えるエピソードが紹介されており、もう少し政治家や外務省がしっかりしていればと思えてしまった。

またこの交渉をテーマに「あなただったらどういう交渉をしたか?」という課題に学生さんたちに取り組んでもらい、なかなか鋭い指摘をされる方もいて盛り上がる合宿だったように思えた。



外務省を退官したとはいえ、有能なこの2人に対ロシア交渉の一員に加わってもらえばいいのにと思えてしまった。

佐藤優氏は外務省に対しかなり恨みを持っているようで、協力を依頼するのは難しいかもしれないが(笑)

2019.09.01 Sunday

世界から戦争がなくならない本当の理由 池上彰

広島平和記念公園にある原爆死没者慰霊碑に「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれているが、この言葉には主語がない。

主語がないので、誰の「過ち」なのかがはっきりしない。

このようなあいまいな姿勢で、戦争をしっかりと反省しなかった日本の対応が問題なのではないかと、いきなり手厳しい。

このような序章から始まり、第二次世界大戦後の日本、アメリカ、ロシア(ソ連)、ヨーロッパ、中東、アフリカの紛争や、紛争の要因を解説してくれている。

ジャーナリストだけあり、戦争報道に関しても具体的事例を交えて解説してくれており、分かりやすかった。

戦争論を軸に、現代の国際政治を解説してくれており、国際関係を理解するのに大変役立つ。


2019.08.26 Monday

ロシアを知る。 池上彰 佐藤優

池上彰氏と佐藤優氏が、ロシアについて徹底的に解説した本。

この2人はとても気が合うのか、池上彰氏が佐藤優氏から多くのエピソードを引き出しており、ロシアという国の表と裏が見えてくる。

それにしても、ロシアというテーマで1冊の本にしてしまうのには驚いたが(笑)

日本とロシアと言えば、やはり北方領土問題であろう。

序章でいきなりこの北方領土問題からスタートするのだが、この交渉の当事者でもあった佐藤優氏の意見は「二島返還プラスアルファ」という考えである。

「歯舞群島、色丹島が日本領になり、国後島と択捉島については、ロシアの主権下にあることを認めたうえで、経済活動や訪問などで日本人特別の地位を認める制度をロシア側が作る」という考えで、“名を捨てて実を取る”作戦といったところか。

しかし今の外務省には、その能力と経験の不足が理由で難しいのではないかとのこと。

このような感じで、現在のロシア、ソ連時代、独裁国家、日本とロシアといったテーマについて触れられている。



こういう真面目な内容だけでなく

池上氏「革命は、起きればかならず行き過ぎる」

佐藤氏「安倍政権の人づくり革命は大丈夫ですかね?」

池上氏「真の保守主義者は、革命なんて言葉を使っちゃいけないですよね」

といったやり取りも多く、楽しくロシアを学べる本だったので、多くの人に読んでほしいオススメの本である。

2019.08.01 Thursday

政界版 悪魔の辞典 池上彰

池上彰流の政治用語の解説本。

と言っても、もちろん型通りではなく、ある程度の政治知識があれば笑えるブラックユーモアあふれる内容になっている。

少しだけ例を挙げると

●改憲勢力
とにかくどこでもいいから変えたいという人もいる。

●カジノ法
ギャンブル依存患者が出てもトランプ大統領の支持組織を儲けさせてトランプ大統領の依頼を実現させようとする壮大な計画。

●タカ派
自分は戦地に行かずに勇ましいことを言う。

といった感じの解説がなされている(笑)



1日で気軽に読める本なので興味がある方はぜひ手に取ってみてほしい。

2019.06.30 Sunday

官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪 森功

安倍政権の強さを考える際に、その理由として首相官邸が機能している点を挙げる専門家も多い。

その首相官邸を支えるのが、官邸官僚である。

首相の分身といわれる経済産業省出身で原発推進派の今井尚哉首相秘書官、菅官房長官が絶大な信頼を置き加計学園の獣医学部新設問題で文部科学省に圧力をかけたといわれる和泉洋人首相補佐官、内閣人事局長を務める元警察官僚の杉田和博官房副長官といった面々の働きを分かりやすく紹介してくれている。

森氏の徹底した取材力で、多くの関係者へのインタビューなども併せて掲載されており、とても興味深い内容となっている。



また第二次安倍政権における財務省や外務省の現状についても触れており、霞が関の力関係がよく分かる。

特に検察庁(法務省)の腰抜けぶりに愕然とさせられた。

2019.06.10 Monday

「安倍晋三」大研究 望月衣塑子&特別取材班

今年の秋には通算在職日数が歴代最長を越えてしまいそうな安倍晋三の研究。

幼少期から第一次安倍政権までのエピソードを紹介した漫画からスタート。

このエピソードがなかなか面白く、子ども時代からの「強情で我を通す性格」などが紹介されているのだが、なぜ漫画にしたのかが謎で、普通に文章で紹介してくれればいいのにと思えた。

第2章では、「最強首相・安倍晋三」と題して安倍晋三の歴史認識、ポツダム宣言や自衛隊そして核兵器などについて書かれている。

論理的思考力に欠けるということがよく分かる内容である。

また少しゴシップ誌的な内容になるのだが、山口県下関市での市長選の選挙妨害依頼の事後処理のもつれで、自宅に火炎瓶が投げ込まれた事件などについても書かれている。

第3章では、内田樹氏とともに「民主主義と安倍政権」について考える。

他の本でもそうなのだが、内田氏は斬新なモノの見方で、個人的に参考にさせて頂くことが多い方である。

この本でも「合意形成とは、みんなが同じくらい不満足な解を出すこと」とうアイディアは、「多数が満足する解を出す」ことと考えてしまいそうな民主主義を改めて考えなおそうと思うきっかけになった。

また安倍政権が官僚をコントロールする方法として「安倍マイレージ・システム」が採用されており、官邸の意向を反映した行動をすることでポイントが貯まっていき、そのポイントが貯まると優遇されるとのこと。

こういう上手い例えができるのも内田氏ならでは。



興味がある方はぜひ読んでほしい。

2019.05.20 Monday

反-憲法改正論 佐高信

澤地久枝氏、井上ひさし氏、宮澤喜一氏、城山三郎氏、佐橋滋氏、後藤田正晴氏、野中広務氏、三國連太郎氏、美輪明宏氏、宮崎駿氏、吉永小百合氏、中村哲氏といった方々の反-憲法改正論を、佐高信氏が紹介している本。

個人的には、宮澤喜一氏、後藤田正晴氏、野中広務氏という自民党の重鎮であった彼らが、憲法改正に大反対だった点が興味深い。

特に、後藤田正晴氏の章は印象に残った。

というのも、私は、初代内閣安全保障室長も務めた安全保障のエキスパートである佐々淳行氏の授業を受けていた経験があるのだが、この佐々氏の上司が後藤田氏だった。

海外派兵に賛成の佐々氏は、後藤田氏に相談に行くも、海外派兵に反対の後藤田氏には却下されてしまう。

意見が180度異なるのに、佐々氏はそんな後藤田氏を尊敬できる上司だったと仰っていた。

そのあたりのエピソードも、この本で紹介されている。



また何かと話題の(笑)佐藤浩市氏の父親である三國連太郎氏。

反体制のDNAは親子で受け継がれたんだなと妙に納得させられた(笑)

2019.05.16 Thursday

日本のいちばん醜い日 鬼塚英昭

8.15宮城事件をご存じだろうか?

宮城事件は、1945年8月14日の深夜から15日にかけて、皇居(宮城)で一部の陸軍省勤務の将校と近衛師団参謀が中心となって起こしたクーデター未遂事件である。

日本の降伏を阻止しようとしたクーデターなのだが、このクーデターには裏があるというのが著者の主張である。

その裏とは、皇室の某中佐が国体を維持するために、色々と暗躍したという驚きの内容になっている。
(本書を読めば某中佐が誰なのか分かるはず)

また終戦に際しての昭和天皇の言動が書かれており、100%この内容を信じる訳にはいかないが、これも驚かされる内容であった。

鬼塚氏の本は初めて読んだのだが、他の方が書いた本を色々と照らし合わせて引用し「ここに矛盾点がある」といった書き方で、私には新鮮に感じた。



後半では宮城事件を離れ、天皇家の血筋の問題や、そもそも太平洋戦争がどのような理由で始まったのか、そして原爆が投下された理由はといったことが書かれている。

ハードカバーの分厚い本なので読む気力が必要だが、読む価値はある本だと思う。

※ちなみに宮城は“みやぎ”ではなく“きゅうじょう”と読みます。

2019.05.04 Saturday

現代に生きるファシズム 佐藤優 片山杜秀

平成から令和にかけてファシズムがテーマの本を読んだのだが、意外にこの時期に読むには最適だった気がする。

まず多くの日本人がファシズムを正確に理解していない。

ムッソリーニが目指したファシズムは、国家の介入によって国民を統合し、資本主義が生み出す貧困や失業、格差などの社会生活を解決していこうとする政治体制であるとのこと。

つまりファシズムは、資本主義の矛盾を解決し、超克しようとする超資本主義の装いをとってイタリアでは現れたのである。

私は「あれっ?ファシズム自体は悪いものではないのでは?」と思えてしまった。

ファシズムと聞くと、どうしてもナチス政権のヒトラーを想像してしまい、深く知ろうとしなかった点を反省してしまった。

ただ、国民を統合することは“束ねられる”事の問題や、進むべき道を間違うこともあるので、そのような点は問題だと思える。



また天皇制のある“持たざる国”である日本でファシズムが成立するのかについても、詳細に解説しており、古い日本の象徴ともいうべき「玉砕思想」の歴史などにも触れている。

個人的に一番驚いたのが、片山氏の書籍を読むのは初めてだったのだが、“知の巨人”である佐藤優氏と互角にやり合えるすごい方でした。

2019.04.08 Monday

官僚たちの冬 田中秀明

「官僚たちの夏」という高度経済成長を推進した通産官僚たちの姿を描く城山三郎氏の名作があった。

だが、この本のタイトルは「官僚たちの冬」であり、迷走している霞が関の問題点を分かりやすく解説している。

著者である田中氏は元財務官僚で、現在は大学教授とのことだが、ご自身が出身の役所に対しても手厳しい。

官僚の問題点を指摘するだけでなく、行政組織の詳細を表面だけでなく実情も解説しており面白い。

大学で行政学を学んでいる方や、公務員志望者(特に霞が関を目指す方)には、参考になる点が多いと思う。



私も、巨大すぎる役所は再編する必要があると考えており、AI等で各国とのし烈な争いが予想される情報通信に関しては、プロ集団を集め1つの役所にして、できればITに関する知見がありエンジニアと対等にやり取りできるような政治家を大臣にしてほしい。

2019.03.25 Monday

株式会社化する日本 内田樹 鳩山友紀夫 木村朗

内田樹氏、鳩山友紀夫氏、木村朗氏による鼎談を収録した本で、名前が最初に書いてあるように内田氏が中心になり話が進んでいく。

第一章では、日本とアメリカとの関係を「対米自立」を中心に語っており、内田氏によると対米従属とならざるをえなかった理由は「(太平洋戦争で)あまりにもひどい負け方をした」からだと言う。

その負けから、アメリカに追いつき追い越せで経済復興し、アメリカを追い越そうとしたことでアメリカの逆鱗に触れ、バブルがはじけてしまった…

またアメリカに対してモノを言おうとすると、日本国内の「対米従属テクノクラート」からも総攻撃を食らうらしく、その例が鳩山元総理だとのこと。

その様子を見て安倍は学習し、対米従属路線をとっているらしい。

私には安倍はそこまで深く考えることができるとは思わないが(笑)

その対米従属路線によって、日本の国際的地位は低下し、オリンピック、万博、カジノといった時代遅れの打ち上げ花火的な公共事業で幻想を振りまくくらいしかできないとのこと。

鳩山氏の話で印象に残ったのは、日本の官僚とアメリカの軍人との間で日米合同委員会というものが行われており、この委員会がとても大きな力を持っており、鳩山氏はこの勢力の抵抗に遭い大変だったらしい。

天皇制に対しての3人の考え方が意外なところがあり興味深かった。



第一章だけでこれだけの内容なので、全部の章に触れるわけにはいかずこの辺で留めておくが、第二章で安倍政権をこの本のタイトルである「株式会社化する日本」ついて解説している。

その視点が斬新で的確なので、とても興味深く読ませて頂き、多くの人に勧めたい本であった。

2019.03.24 Sunday

わかりやすさの罠 池上彰

フェイクニュースが溢れる現代に、どのように情報収集し対応すべきかを池上彰さんがアドバイスしてくれている。

序章では、池上さんが「わかりやすさ」を強く意識するようになった経緯をご自身のキャリアを振り返りながら解説している。

ただ「わかりやすさ」にも注意が必要で「わかったつもり」の問題点も指摘しており、「知る力」を鍛える重要性を説いている。

第一章では、テレビ業界の裏話や問題点を指摘しながら、「わかりやすさ」とは何なのかを解説してくれている。

第二章では、ネットの問題点を厳しく指摘しており、ネットはあまり信頼していないようである。

第三章では、新聞や本の重要性について語っており、多くの新聞を購読し読み比べしているとのこと。

「これって佐藤優氏と同じ情報収集だ!」と思ってしまった。

また出張の移動時間には3冊を用意するとのことで「あっ私と一緒だ!」と思ったのだが、池上さんと違って、私は仕事より本を重視してしまうところがダメなところである。

また本屋のメリットや、お勧めの書店といった話についても触れている。

ちなみに池上さんがLINEやSNSを使わない理由には納得させた。



最後の章では、今までの取材時のエピソードを紹介してくれている。

あまり日本人がいかない国々の我々のイメージと異なる違う意外なエピソードが面白かった。

私には、この本はビジネスマンより、もっと若い大学生や高校生に読んでもらいたい本に思えた。

2019.02.25 Monday

世界史の大逆転 国際情勢のルールが変わった 佐藤優 宮家邦彦

外務省出身の佐藤氏と宮家氏が対談形式で現代の国際情勢を解説している。

同じ時代に外務省で働いていた2人が、お互い担当領域が違っていたらしく、現役外交官時代は接点がなかったらしい。

佐藤氏がヨーロッパ、ロシアを担当し、宮家氏はアメリカ、中東を担当していたので、見事なまでに接点がなかったようである。

アメリカのトランプ大統領を軸にして、北朝鮮外交、中国外交、ロシア外交を分かりやすく解説している。

神学的視点で見た中国人の考え方、ロシアがトランプをどう見ているかといった点が、とても興味深い。

また核抑止から核拡散へと進んでいる現在の国際情勢に警鐘を鳴らしており、素人の私から見てもトランプ大統領が何をやらかすか分からないので、今後が怖い…
(ロシアゲートからの目くらましで、大使館をエルサレムに移してしまう大統領ですから)



IT業界で働く私からすると、AI(人工知能)に高い関心(懸念?)を抱いている点が、自分の専門外の分野に関しての知的好奇心のすごさに感心させられた。

2019.02.24 Sunday

自民党という病 佐高信 平野貞夫

自民党政治家の悪口を凝縮した本(笑)

クリーンなイメージで売っていた政治家の意外な裏の顔を知れたり、その逆もあったりと面白い。

また男性政治家の女性スキャンダルも実名で書かれており、今の時代だったら絶対にアウトだろうなと思うエピソードが数多く出てくる。

とは言え、ただのスキャンダル本ではなく、平野氏が衆議院事務局の経験を活かし、様々な知恵を出して問題解決に尽力したエピソードは面白い。

中曽根元総理の権力を手にする手法には、恐ろしいものを感じてしまう。



安倍政権に関する話題は第1章で触れるくらいで、全体としては少ないようで感じられた。

過去の自民党大物政治家に比べて、安倍晋三には薄っぺらいエピソードしかないから?

2019.01.06 Sunday

官房長官と幹事長 橋本五郎

内閣のナンバー2である官房長官と、自民党のナンバー2である幹事長。

歴代の官房長官と幹事長の実績を振り返りながら、それぞれタイプ別に分類している。

やや政権寄りに思える橋本氏であるため、自民党に甘いかと思いきや、意外に厳しいことも書いており好感が持てる。

歴代の官房長官では、中曽根政権の際の後藤田官房長官について、就任のいきさつから実績までを解説してくれている。

2世、3世の政治家ばかりが目立つ今日では、こんな大物政治家は出てこないだろうと思う。

また悪い例としては、細川総理と武村官房長官の不仲を挙げている。



幹事長としては、意外な人物を評価しており、そういう一面もあるのかと感心させられた。

私は、現在の安倍政権は、菅官房長官と二階幹事長の2人で成立していると思っているので、現政権を攻撃するには、この2人の弱みを握ることが最重要だと思う。

2019.01.01 Tuesday

官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態 佐藤優

官僚の言動が何かと問題になった2018年。

2019年の最初は、官僚について考えてみようと思い購入。

元外務官僚であった佐藤優氏が解説してくれているのだが、「自殺の大蔵(財務省)、汚職の通産(経産省)、不倫の外務」ということばがあるらしく、各省庁で文化が異なるらしくそのあたりも分かりやすく解説してくれている。

また森友・加計学園問題なども踏まえて、官僚の背後にある存在である政治家の問題についても言及している。

佐藤氏のいた外務省については、かなり詳しく現状分析しており、在外勤務手当がかなり恵まれている役所で20代で2,000万円貯められるとのこと。

また40代で無能とみなされたノンキャリアがいちばんいい身分で、たいした仕事はないのにお金だけは入ってくるらしい(笑)

外務省の不祥事としては、覚えていらっしゃる方も多いと思うが、機密費の流用の件を佐藤氏の視点で解説してくれている。





TVドラマ化もされた高度経済成長時代の官僚を描く作品である「官僚たちの夏」という城山三郎氏の小説があるのだが、この中で政治家の「分かった」という言葉が重要な意味を持つ。

実際の世界でも、政治家の「分かった」は要注意で、「聞き流す意味」なのか「了解の意味」なのかを判断する必要があるようである。

法の下の平等を基本とする官僚であるはずが、特定の人や団体のために働く官僚が出てきており、それを「第二官僚」と名付けており、そのルーツは竹中平蔵であるというのには納得させられた(笑)

総理に様々な肩書で登用された官僚OBや財界人なども、「第二官僚」と言ってよいらしい。

現在の官僚を理解するには最適の本だと思うので、多くの人に読んでほしい。

2018.10.08 Monday

憲法の良識 長谷部恭男

憲法学の第一人者である長谷部教授が、憲法について平易な言葉で分かりやすく解説してくれている本。

そもそも憲法とは?といった感じの憲法の定義から、立憲主義について、緊急事態条項について、一般の方に理解しやすいような言い回しで説明してくれている。

普段から、憲法に関する本を読んでいるような方には、すこし退屈かもしれない。

私は1日で読み終えてしまったのだが、長谷部教授の考え方を理解できた点は良かった。

高校生あたりに読んでもらい、憲法をしっかり考えるきっかけになるような本だと思う。



「日々憲法について発言する人々の顔ぶれを見ると、その大部分は、憲法の専門家でない人たちです。専門外の問題について大声で発言する…」には色々な方の顔が浮かび、笑ってしまった。

2018.08.28 Tuesday

知らなきゃよかった 予測不能時代の新・情報術 池上彰 佐藤優

池上彰と佐藤優の共著で、世界が抱える様々な問題を徹底解説している。

私はこの2人の本をよく読むのだが、普段から読んでいる身からすると、日頃から解説してくれている問題を、最新版にアップデートしてくれるような感じの本である。

PCでwindows updateをかけて最新版にするような感覚である。

また、いつもの本と比べて口語体の感が強く、本を読んでいるというよりTVで解説を聞いている感がある。



北朝鮮問題、日本人の劣化、トランプ、独裁下といったテーマで語られており、今日の世界を理解するにはお勧めの本である。

北朝鮮問題で、拉致問題に関してトランプに委ねると、トランプが納得して持ち帰った返答を無下に否定することができず、日本にとって受け入れられない返答だった場合どうするのか、という点は考えさせられた。

やはり自国民の生命に関することは、他国任せではなく、日本で交渉すべきである。
普段勇ましいことを言っている方から、こういう声があまり聞こえないのは何故!?

またカジノは賄賂を渡すには最適の場所らしく、そりゃあ政治家の皆さん法案を通したがるのよく分かりました(笑)

日本人の劣化の章で、金環蝕という汚職事件を題材にした作品で、総理夫人によって追い詰められた官僚が死ぬというシーンがあるとのこと。

どこかの総理夫人と似てないか…

最後に何かと最近ブームなAIについても書かれているのだが、今後AIビジネスを引っ張る国に関しては、佐藤氏の見立てはやや違うかと思えた。

もちろんお勧めの本である。

2018.07.16 Monday

知らないと恥をかく世界の大問題9 池上彰

池上彰氏の本は色々と読ませてもらったが、この“知らないと恥をかく世界の大問題”シリーズは実は初めての購入。

世界の大問題と書いてあるだけあって、内容の大半が世界情勢で、最後に少しだけ日本のことが触れられている。

エルサレムへの大使館移転問題、イラン核問題、米朝問題、EUの今後とタイムリーな国際情勢を分かりやすく解説してくれている。



日本人が苦手な地域である中東近辺の状況は、かなりかみ砕いて解説してくれており、分かりやすい。

2018.05.24 Thursday

情報隠蔽国家 青木理

青木理氏が、この国の様々な情報隠蔽に切り込む。

1章で1テーマを扱うこともあれば、小ネタ集ではないが2ページ程度で、様々なタイムリーなネタに触れる章もあり、雑誌のコラムを読んでいる感じで読みやすい。

もちろん、ないと言っていた文書が出てきたり、あるはずの文書がなかったりと、今の政府の数々の大人げない対応について触れられている。



また公安調査庁や警察の不祥事や、過去の問題点が列挙されている。

読みやすい本なので、ぜひ手に取って頂きたい。

2018.05.13 Sunday

一気にわかる! 池上彰の世界情勢 2018 国際紛争、一触即発編

各テーマごとに、世界情勢を池上彰が分かりやすく解説してくれている本。

初心者でも読みやすい本で、国際政治の知識が豊富な方には、やや物足りないかもしれない。

とは言え、日本人になじみが薄い中東情勢の部分は、とても分かりやすく、人に説明しなくてはならない時の参考になった。



ただ、この本は2018年1月発行の本であるため、その後急速に進展した北朝鮮問題が解説されていないため、改訂版を期待したい。

2017.12.04 Monday

ナチスの「手口」と緊急事態条項 長谷部恭男 石田勇治

憲法や近現代世界史の知識がないと、やや難しいかもしれないが、とても興味深いテーマの本である。

安倍晋三や麻生太郎のような知的水準の低い方々には、理解が難しいかもしれない(笑)

この本は、ナチ・ドイツ研究の第一人者である石田氏と、国会での発言でも有名になった憲法学の長谷部氏の共著である。

序盤はワイマール憲法下において、ヒトラーがどうやって政権を奪取したかを、歴史を振り返りながら憲法を中心とした視点で解説されており面白い。



ヒトラーに悪用された「緊急事態条項」だが、戦後ドイツもボン基本法で「緊急事態条項」を盛り込んでいる。

その背景に冷戦があったことや、乱用を防ぐための制度設が、過去の過ちを二度と繰り返してはならないというドイツという国の気概を感じる。

それに比べて日本の「緊急事態条項」はどうだろうか?

その危険性を「統治行為論」と絡めて問題点を指摘している。

憲法学などを学ぶ方が読んでも、面白いと思える内容のある本であった。

2017.11.29 Wednesday

核大国ニッポン 堤未果

堤未果さんの本は、何冊か読ませて頂いており経済がテーマの本が多いので、核というテーマに少し驚き。

そして「核大国ニッポン」というテーマに、さらに驚き!

とは言え、この方の本は価格以上の価値がある本ばかりで、興味深い。

オバマ大統領(当時)の「核なき世界」演説を聞き、世界は平和への一歩を踏み出したかと思えたが…

軍事予算、核関連予算は増えている現状。

何の規制もないまま使用されている劣化ウラン弾と、その後遺症に悩む元軍人。

メディアがあまり取り上げない隠された真実がよく分かる本。



考えされられるテーマが多いのだが、明るい話題も紹介されている。

日本のNPOが菜の花を使ってチェルノブイリの放射性物質を取り除くプロジェクトを実施しており、現地の人たちにも喜ばれているとのこと。

武器支援などではなく、こういう支援こそが日本に求められている役割なのではないだろうか?

2017.09.24 Sunday

脱 大日本主義「成熟の時代」の国のかたち 鳩山由紀夫

民主党政権時に内閣総理大臣を務めた鳩山由紀夫、改め鳩山友紀夫氏の一冊。

「脱」大日本主義という「日本は政治大国を目指すのではなくミドルパワーを目指し、アジアにおける枠組み作りに全力せよ」といった主張が書かれている。

私は、これは正論だと思うし、高齢化や人口減少が急速に進んでいくこの国が覇権を求めるのは正直厳しい。

それに鳩山氏も指摘しているが、アメリカの意見に追随する子分体質がしみ込んだこの国が「政治大国」を求めること自体がおかしいと、国連の常任理事国入りを目指した際のエピソードなども交えて書かれている。

またアジアにおいて共同体を作ることが、アジアの平和につながり、これこそが「友愛」とのこと。

これにも私は納得できる。



このように内容としては興味深く、もし国際政治学者が書いた本としてみれば良い本だと思う。

ただ鳩山氏は元総理なのだから、ここに書かれた内容を実行するのが役目だったはず。

官僚の抵抗はあったのだろうが、やはり政治は結果責任。

2017.07.24 Monday

小池百合子 偽りの「都民ファースト」 片山善博 郷原信郎

「都民ファースト」を公約として、都知事に就任した小池百合子。

小池都知事の誕生で、都政に注目が集まる中、何が問題かを分かりやすく解説している本である。


最初に出てきた話が、都議会の自民党会派内に「政策推進総本部」というものがあり、都庁各局がここに案件を持ち込み、ここで同意が得られた後で知事に了承を得るという流れである。

予算案や条例案は、知事が議会に提出する物なので、この流れはおかしく、今までは知事と議会がなあなあになっていたようである。

こういう所にメスを入れる小池都知事を想像していたのに、何がやりたいのかよく分からないという点が問題点であるとのこと。

私もこの点には同意でき、何を改革したいのか正直よく分からない。


また前任の知事や役人の責任追及に躍起になっている点も問題だと指摘している。

私は、場合によってはこの責任追及は必要だという考えなのだが、優先順位が間違っていると思う。

責任追及は後でやるとして、真っ先にやることは実際に市場で働く方々と、その関係者の方々のために市場をどうするかを早く決めることである。

それに、市場を移転するかどうかは、知事の独断ではなく議会にも諮る必要があるのに、法的根拠のない専門家集団とやらにだけ諮られている。
(だって豊洲移転は、知事が案を議会に出し議会で可決したんでしょ?)

そのことを主張しない議会も情けないとのこと。





こんな感じで、片山氏と郷原氏が切れ味鋭く、小池都知事だけでなく都議会も含めた現在の都政の問題点を指摘している。

都民の方や、豊洲問題に興味がある方はぜひ目を通して頂きたい。

※ここではネタバレになるのを避けるため、豊洲問題について書きませんでしたが、本の中では片山氏も郷原氏も問題点を熱く語っております。

2017.07.13 Thursday

なぜ、世界は“右傾化”するのか? 池上彰 増田ユリヤ

池上彰氏、増田ユリヤ氏が、アメリカとヨーロッパの現状(2017年6月発行)について分かりやすく解説している本。

特にヨーロッパに関しては、フランス大統領選挙からマクロン大統領誕生までの背景や、イギリスのEU離脱(ブリグジット)といった最新のテーマに関して解説しており分かりやすい。

イギリスとポーランドの意外な関係が、私は勉強不足でまったく知らなかったのだが、意外な事実が多く勉強になった。

そのポーランドも右傾化するのかが、話題になっているらしい。





難民がヨーロッパを目指す際に、ドイツかイギリスを目指すらしい。

“受け入れ態勢が進んでいる”ドイツ
“年金等の福祉制度が整っている”イギリス

ヨーロッパの各国の難民に対する姿勢が、お国柄を表しているようで興味深い。

イギリスはユーロも使わず、シェンゲン協定にも参加せず、腰掛け的なEU加盟だった気がする。

2017.02.27 Monday

安倍三代 青木理

安倍寛(あべかん)安倍晋太郎(あべしんたろう)安倍晋三(あべしんぞう)という安倍家の系譜を辿った本。

この3人の名前を見て「あれっ?安倍晋三の祖父は岸信介では?」と思う方が多いかもしれない。

確かに岸信介も安倍晋三の祖父だが、こちらは母方の祖父で、こちらの方が話題になることも多く、多くの人がこちらの祖父をイメージするのだと思う。

この本では安倍家のルーツを辿っているので、父方の祖父である安倍寛のことについて記載されている。



この安倍寛という方は、正直私は知らなかったのだが、誰からも信頼し愛される人格者であったようである。

「大政党の金権腐敗を糾弾」「東條英機らの軍閥主義を鋭く批判」といった行動を行っていたらしい。

格差を是正したいといった今の時代であってもマニフェストになるようなことを、戦前から主張しており、先見の明がある素晴らしい方に思えた。

ただ体調面に不安があり、志半ばでこの世を去ってしまう。

その際に、多くの政治家(その中に岸信介もいるのが何とも不思議)が「安倍寛がもっと生きていれば日本は変わったであろう」と悲しんだそうである。



安倍寛の息子である安倍晋太郎は、バランス感覚に優れ外交の分野で活躍した政治家であった。

意外なことだが、幼少時代はガキ大将的な少年だったようで、勉強だけじゃなく野山を駆け回り遊んでいたようである。

また父親である安倍寛が若くして亡くなったため、安倍晋太郎は孤独な青年期を過ごすことになる。

ただそのことが様々な階層の方々に優しい政治家になる土台となったのであろう。

外務大臣や自民党幹事長などを歴任し、総理大臣の椅子が目前の状況で亡くなってしまう。





そして現在総理である安倍晋三についてなのだが、正直これといったエピソードがないのである。

多少は著者の作為的なところもあるのだろうが、学生時代の恩師や同級生のインタビューでも「特に印象がない」といった感想なのである。

唯一面白いエピソードと言えば、社会人時代に上司のパシリとして牛乳を買いに行くエピソードで、上司が小銭を持って近づいてくるだけで、買いに行く準備をしたそうである。

そういう話を聞くと、本来は憎めない性格の方なのかもしれない。

ただ安倍寛や安倍晋太郎であれば、もう少し思慮深いだろうし、国有地を森友学園が買う際に特別な配慮などしないだろうと思うのは私だけだろうか?

2017.01.31 Tuesday

野党協力の深層 平野貞夫

小沢一郎氏の「懐刀」として知られる平野貞夫氏が、自由党(と言うか小沢氏)について、共産党について語る本である。

小沢氏と平野氏の対談では、米ソ冷戦が終了後の世界混乱を予期していた話などがあり興味深い。

日本共産党に関しての話では、平野氏の意外なルーツや、以前から個人レベルでは議員同士で親しくしていた話などが数多く聞けて面白かった。



また、この本では平野氏の国会職員時代のエピソードが数多く書かれており、あまり世間一般に知られることのない国会職員の姿が手に取るように分かる。
(平野氏の業務内容は、やや特殊なのかもしれないが…)

この本を読めば、国会の見方が変わるかも!?

2016.11.17 Thursday

これが「日本の民主主義」! 池上彰

池上彰が日本の民主主義を解説、いや日本の民主主義の問題点を批判している本。

第一章では「安全保障」について書かれているのだが、日米安保条約の締結といった戦後から、今日までの日本について書かれている。

この章では、内閣法制局長官を集団的自衛権の行使を認める官僚に変更するという手法で、憲法解釈を変更することの問題点を指摘している。

また2012年の「アーミテージ・ナイ・レポート」でアメリカが提案した要求を、忠実に実行している点も暗に否定している。

第二章では「TPP」について書かれていて、TPPそのものの問題点を指摘というより、TPPに関しての自民党の公約違反の問題点を指摘している。

2012年の選挙で「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」と選挙ポスターに書かれていたのに、まさかの手のひら返し。

これが日本の政治の水準ですと嘆いています…

第三章では「原発政策」についての問題点を指摘しており、メディアによる原発PRや、補助金による過疎地を合法的に買収する手法を批判している。

また高浜原発の運転を差し止めた大津地裁の仮処分に対し、裁判所の判断を批判した某関西の経済人の話など呆れるしかない。

その経済人はこのブログの運営会社グループのトップだったりして…

第四章の「税制」に関しては、減税をアピールして票を得ようとしている政治家の態度を批判している。

池上彰氏は、有権者を説得してでも増税し、国家の赤字を何とかしたいと思っているようである。

私もその部分は理解できるのだが、まずは赤字を生み出した政治家や官僚が責任を取ったのちに増税すべきだと思う。

第五章は「メディア」に関してで、当然ながら高市早苗総務大臣の脅しとしか思えない問題発言を「ここはどこの国なのでしょうか?」と皮肉っている。

またテレビで政権の政策を解説すると、政府の担当部局から「ご説明に上がりたい」と連絡が来るとのこと。

これって「監視してますよ」ってことでしょうかね?





このように今日の日本の民主主義の問題点を皮肉っているので、多くの方々に読んでもらいたい。

2016.11.16 Wednesday

新・リーダー論 池上彰 佐藤優

池上彰氏と佐藤優氏の共著の第3弾。

「大格差時代のインテリジェンス」というサブタイトルがついている通り、リーダー論を軸に世界情勢を語っている。

プーチン、エルドアン、金正恩といった既存のリーダーから、アメリカ大統領選挙に関してトランプを中心に書かれている。

イギリスのEU離脱が、スコットランドとアイルランドに与える影響は、とても興味深かった。
ヨーロッパの今後の動向を考えるうえで大変勉強になる内容であった。

他にも国家VS資本というテーマで、パナマ文書についても触れられている。
多くの多国籍企業が、タックスヘイブンを求めていて、高額所得者が住民税等の税負担が軽い地域を求めているという問題を指摘している。





またネタバレになるが面白いエピソードとして、日本大使が申し出てもなかなかアポイントがとれないソ連の高官に、アントニオ猪木が表敬訪問を申し込んだら二つ返事でOKで、佐藤優氏が通訳を担当した話が面白かった。

「元気があれば何でもできる」というのは、あながち間違ってないようである(笑)

2016.11.01 Tuesday

変貌する自民党の正体 田原総一朗

田原総一朗が、終戦からの自民党結党から今日の安倍政権までを解説。

よくよく考えたら、終戦後の日本は自民党政権だった時代が大半だったため、自民党政権を通して日本の戦後史が分かる本。

戦後の日本の歴史(政治史)を知りたいと思う方にはお勧めの本だと思う。



ただ、普段の司会者としての役割からか、田原総一朗ご自身の率直な意見というのが思ったより少ない気がした。

その点は購入時の予想と違って、私としては残念だった。

2016.05.03 Tuesday

世界を動かす巨人たち <政治家編> 池上彰

池上彰氏が、現代社会の重要な鍵を握る世界の政治家を解説している本。

プーチン、メルケル、ヒラリー、習近平、エルドアン、ハメネイの6人を取り上げている。

確かに、この6人を抑えておけば、世界情勢の大まかな流れは理解できるように思う。

この本に取り上げられた政治家で、プーチン、習近平、エルドアンの3人に共通する点がある。

彼らは、過去の古き時代の栄光、例えばロシアのプーチンは、ソ連時代の栄光を夢見ているのである。

そういう考えであれば、当然拡大路線になり、国家間の衝突は増えていき、戦争の危険性は高まる。

憲法記念日の今日、日本人はどう考えるか?





ちなみに、ヒラリーの章は「ビル・クリントンの不倫スキャンダル」の話が大半を占めている(笑)

2016.01.24 Sunday

大世界史 池上彰 佐藤優

池上彰氏と佐藤優氏が、再びタッグを組み本を出版。

その名も「大世界史」、サブタイトルが「現代を生きぬく最強の教科書」ということで、今日の世界情勢を踏まえた内容となっている。

「中東こそ大転換の震源地」「オスマン帝国の逆襲」と、序盤でイスラム圏を取り上げているのだが、この部分が内容が最も深い。

なおこの部分は、日本においては新聞やテレビ等で扱いが小さく、なかなか理解しづらい部分だと思う。

これは私の私見だが、このエリアは国だけでなく、宗教が密接にかかわってくるので理解しづらいのだと思う。
(もちろんヨーロッパ等も、宗教のかかわりはあるが、今日においては宗教を理由とした争いは以前より少ない)

学生時代に世界史を真面目に勉強した方や、国際政治に詳しい方でないと、理解するのは難しいように思う。





とは言え、難しい内容を池上彰氏が詳しく解説しているので、興味がある方には読んでほしい本である。

世界史が好きな高校生などが読んで、その奥深さを学べると成績アップにつながる!?

2015.12.17 Thursday

ルポ橋下徹 朝日新聞大阪社会部

朝日新聞が橋下徹のルポを書くと言う一見すると偏見満載の本(笑)

しかし手に取って読んでみると、意外とまともで橋下徹、大阪維新の会の主張が書かれている。

当然なのだが政治生命までかけた「大阪都構想」に関しては事細かに書かれている。

どうしても関西以外に住んでいると、断片的にしか分からない大阪の状況が分かる点が興味深かった。





また個人的に理解できていなかった「橋下徹と公明党&創価学会との関係の紆余曲折」が理解できたのも良かった。

新聞記者が書いただけあって、内容も深く価格以上の価値がある本だと思う。

2015.10.16 Friday

私を通りすぎたマドンナたち 佐々淳行

この本は、昨年発売された「私を通りすぎた政治家たち」の番外編(女性編)と言う感じの本。

読み終えた感想を正直に言えば、ちょっと物足りない…

これは佐々氏が悪いわけではなく、やはり日本には女性の政治家の数が圧倒的に少ないのである。

取り上げようにも、そもそもの母数が少ないのである。



ちなみに「国益を損ねたマドンナ政治家たち」として田中真紀子氏、辻元清美氏、福島瑞穂氏の名前を挙げている。

「誰ですか?ああ納得なんて言っているのは(笑)」

2015.07.22 Wednesday

アベノクライシス 川内博史

私は民主党にあまり良い印象を持っていない。

と言うのも、政権を取った時にも野党時代と変わらない評論家みたいなスタンスに思えたから。
机上の理論だけでなく、実際にやってみろよと思ったものである。

そんな民主党において、自ら身体を張って問題に取り組んでいると思える数少ない政治家である川内氏の本である。

タイトルは「アベノクライシス」なのだが、サブタイトルにある「そこまでして原発を続けますか?」とあるように、原発の問題点を体当たりで解説している本である。

私は文系人間であるため、原発の技術論が書いてあるのであれば、理解できないかもしれないと思いつつ、この本を手に取った。

だが私のような人間が読んでも、理解しやすい内容で意外だった。

と言うのも、川内氏辞退もゼロから原発について勉強されたようである。
(私は原発の専門家だと勘違いしていた)





1950年代の日本において、湯川秀樹のような専門家が警告したにもかかわらず、経済発展を優先し今日まで来てしまった。

そのような日本において、福島原発事故が発生してしまった。

当然、原因究明を試みるが、東京電力は「福島第一原発だけデータバックアップができていない」と子供のような言い訳。

業を煮やした川内氏は、自ら福島第一原発一号機原子炉に突撃することに(それも訳あって2度も!)

これ以上書くとネタバレになってしまうので、興味がある方は手に取って読んでみてほしい。



原発に反対派の方はもちろんのこと、原発に賛成派の方にも読んでもらいたい本であった。

2015.07.05 Sunday

外交の大問題 鈴木宗男

いきなりで恐縮だが、私が最も嫌いな政治家の一人が鈴木宗男氏であった。

ただ逮捕や収監、大病を患う等を経験したのちに、普通の人になった鈴木宗男氏は、意外と興味深い。
そう言うわけで、この本を購入してみることにした。


第1章から、いきなりイスラム国(IS)を取り上げており、ご自身の経験も踏まえ、日本政府の対応の問題点を指摘している。

私には、鈴木宗男氏の指摘は、まっとうなものに思えた。


第2章では、田舎で生まれて、政治家を目指すまで(中川氏の秘書時代も含む)が書かれている。

若い頃の苦労した生活や、和田アキ子との意外なエピソードが面白かった。


第3章では、政治家・鈴木宗男として、外交という分野へ興味を持った経緯、そして政務次官として、どのような仕事をしたのかが書かれている。

この時に、ソ連時代のモスクワ大使館に勤務していた佐藤優氏と出会ったようで、その後の盟友となっていったのは周知の事実である。

また杉原千畝さんの名誉回復にも注力したようで、この点は評価できる。


第4章では、北方領土問題すなわちロシアとの外交問題がテーマである。

ここで橋本首相時代、森首相時代に、北方領土返還の大きなチャンスがあったこと、ただ詰めが甘く、最後の最後で成功しなかったとのこと。

実際にどのような交渉をしていたかが書かれており、興味深かった。


第5章では、今後の外交についてで、ロシアの重要性が書かれている。

鈴木宗男氏は、どうしてもロシア外交に携わっていた人間なので、ロシア贔屓な感は否めない。

ただロシアと仲良くすることで、中国や韓国への大きな牽制になるというのは事実だと思う。





最後に鈴木宗男×佐藤優の対談があるのだが、とても内容が濃い。

この対談で印象に残ったフレーズが「オバマは詰め将棋ができない」という言葉で、妙に納得してしまった。

この本を読めば、どういう意味か納得できるはずである。

2015.07.01 Wednesday

沈みゆく大国アメリカ(逃げ切れ!日本の医療) 堤未果

堤未果さんがアメリカの問題点を解説しているシリーズの最新刊。

前回の本に続き、アメリカの医療制度の問題点を鋭く指摘している。

馬鹿なアメリカ国民を上手く騙して(ブレーンだった教授曰く)、オバマケアが成立。
そして成立後に、様々な問題点が明るみになるが、時すでに遅し…

日本のように、政府に薬価交渉権がないので、製薬会社はぼったくり状態…

このようにアメリカの医療は、強欲すぎる企業に毒されている。





そして今、日本の国民皆保険制度が、アメリカの外圧によって危機に晒されていると指摘している。

私たち日本人が当たり前のように保険証を使い、3割負担(基本)で医療機関で診察してもらえている。
そこにアメリカの民間保険会社が参入しようと、様々な手を使い、虎視眈々と狙っている。

そうなれば、日本でもちょっと病院にかかるだけで、数百万かかってしまうような状況が生まれるかもしれない。

日本人は、国民皆保険の素晴らしさをもっと理解し、これを絶対に守らなくてはならない。

2015.02.14 Saturday

白熱講義!集団的自衛権 小林節

慶應義塾大学名誉教授で憲法の第一人者である小林節氏が、「日本における集団的自衛権の問題点」および「解釈改憲」の問題点を指摘している。

はっきり言ってしまうと、当たり前のことを当たり前に書いている本である。
何故に安倍晋三は、この程度のことが理解できないのか、私には不思議で仕方がない…

政府が掲げている集団的自衛権の具体例が、その大半が個別的自衛権で対応できる点など、本当にわかりやすく解説している。
アメリカ云々関係なしに、邦人危機的状況であれば日本国が救出するのは当然だし、日本国周辺の島々で他国が不法行為を行っていれば排除するのは当然のことである。



解釈改憲に関しても、そもそも国家(施政者)を縛るべきルールである憲法を、その当事者が解釈で変更するのは明らかにおかしい。
そもそも安倍首相は立憲主義を分かっていないようで…

またグレーのものを白とする、もしくは黒とするという解釈なら理解できるが、黒のものを白と解釈するもしくはその逆は明らかにおかしい。

このような姑息なやり方ではなく、必要であれば適切な憲法改正の手続きを経て、住民投票で決定するべきであるとのことである。


この本の最初の章で「集団的自衛権に関して、安倍政権はわざと分かりにくくしているのではないか?」と書いてあったのが、的を射ているように思え印象に残った。


意外だったのが、小林節氏は物事を分かりやすく伝えるのがとても上手い人のようで、とても読みやすい本だった。

2015.01.24 Saturday

田中角栄 権力の源泉 大下英治

昨年末に発売された大下英治氏による田中角栄に関する本。
大下氏の本らしく新書のレベルを超えた分厚さで、いかにも読み応えありそうな本。

田中角栄の人生に、小佐野賢治の人生を交えたような形で話は進んでいく。

第1章は、幼少時代から国会議員になるあたりまでのことが書いてあるのだが、幼少時代のエピソードが事細かに書かれており、大下氏の取材力には驚かされる。
「真横で見てたんかい!」と言いたくなるような細部まで書かれており、読んでいる者も田中角栄を知り合いかと錯覚しそうになるくらいである。

また当時の人にしては珍しく、自分のキャリアアップのためなら、スパッと職を辞め次の職に移るといったことをしており、意外な一面に思えた。

第2章は、大臣から幹事長までの時代が書かれている。
田中角栄は選挙に強い人なのだが、自分自身が経営する会社を挙げての選挙活動、有権者を新潟から東京の目白へある田中邸へ招待といった、今の時代では考えられない手法がとられている。
あれっ?最近、群馬の有権者を東京に旅行に連れていったことが問題で辞任した女性大臣がいたような…w

また小学校しか出ていない田中角栄が、大蔵官僚をどのようにして味方にしていったか。
お金を使った手法は真似しづらいが、細かい気遣いは上に立つ者の心得として興味深い。

第3章は、内閣総理大臣田中角栄。
総理として最大の功績は、やはり日中国交回復であろう。
中国との交渉の席でのやり取りは、やはりさすがとしか言いようがない。

しかし栄華は長くは続かない…
(そのためこの章は短い…)





第4章は、ロッキード事件。
内容はご存じだと思うが、田中角栄がアメリカのロッキード社の代理店である商社丸紅の請託を受け、全日空にロッキード社の新型旅客機であるトライスターの選定を承諾させ、その謝礼として5億円を受け取ったとされた、受託収賄罪事件のことである。
この事件は「アメリカが嗾けたことによる検察の暴走?」とも思えない事もないのだが、起訴されても田中派の結束は固く、さらに選挙にも勝ってしまう田中角栄の人気はすごい。

第5章は、田中派のお家騒動。
他の派閥の人間を担ぐことで、キングメーカーとして影響力を行使したい田中角栄と、自派閥から総裁(総理)を出したい若手議員との対立。
この若手の中に、竹下登、橋本龍太郎、小渕恵三、梶山静六、小沢一郎、羽田孜といった首相クラスの錚々たるメンバーがいた。

対立したとはいえ、これらの大物を育てた田中角栄恐るべし。

この本を読み終えて、もう少し田中角栄のことを知りたくなってしまった。

2014.12.29 Monday

新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 池上彰 佐藤優

池上彰氏と佐藤優氏という発言力のある2人の共著。

池上さんが1話せば、佐藤さんが3〜5話すといった感じで進んでいく(笑)
(とは言え、池上さんは難しい内容を解説する役割も担っているのだが)

戦争論と言うより、各地域の政治状況分析という感じで、サブタイトルでもあるインテリジェンスの本と言う印象を受けた。

イスラム、ヨーロッパ、北朝鮮、中国など世界を網羅しており、各地域の実情がよく分かる。

とは言え、一定レベルの世界史や政治経済の知識がないと、読み解くのは難しい。





この本がよく売れているらしいのだが、このレベルの内容を理解できる人が結構いるということなのだろうか?
世界史の偏差値が70以上ないと、なかなか理解しづらいと思うのだが…

総選挙の投票率が50%ちょっとしかない国で、不思議な気がするのは私だけ?

2014.12.28 Sunday

沈みゆく大国アメリカ 堤未果

日本に住んでいると、保険証さえ出せば安価で診察を受けることができる。

これは国民皆保険体制が確立されているからで、日本の国民は何らかの保険に加入しているということが前提になっているからである。

ところがアメリカには、このような制度はなかった。
それをオバマ大統領が「オバマケア」と呼ばれる医療保険制度を導入。

これだけ聞くと、アメリカの保険制度が良い方向に進んだように思うのだが現実は…





まさかの中流階級の自己破産といった信じられない状況になっている…

ではオバマケアの問題点は、どこにあるのか?
裏の目的があるのではないか?

重いテーマだが、読みごたえのある本であった。

堤さんの本は、結構読ませて頂いているのだが、関係者からはきっちり自分でインタビューをとっており、取材力が素晴らしい。

2014.10.04 Saturday

私を通りすぎた政治家たち 佐々淳行

初代内閣安全保障室長、防衛施設庁長官等を務め、「危機管理」「安全保障」のエキスパートとして活躍された佐々淳行氏の本。


私は以前に佐々氏の授業を受けていたことがあり、その佐々氏が「最後の手記」という形で本を出すとなれば買うしかない。

本の始まりは祖父(佐々友房氏)や父(佐々弘雄氏)といった佐々家のルーツ(?)といったところから、少年時代の出来事や、東京大学時代を経て警察官僚になった時代のことなども語られている。

警察官僚となったことで、政治家との公私での交流が始まるのだが、いわゆる「政治家(ステーツマン)」と「政治屋(ポリティシャン)」という区別で、尊敬に値するか否かを判断されている。





評価できる政治家として吉田茂氏、岸信介氏、佐藤栄作氏、中曾根康弘氏、石原慎太郎氏といった名前を挙げている。

とは言え、佐々淳行氏を知っている方であれば、佐々氏が最も評価している政治家は間違いなく後藤田正晴氏であろう。
この本にも、後藤田氏との面白いエピソードが書かれており、後藤田氏の指示で、中曽根総理に意見を述べに行ったエピソードが個人的には興味深かった。

また評価できない政治家として三木武夫氏、小沢一郎氏、田中角栄氏、加藤紘一氏、河野洋平氏といった名前を挙げている。

特に、加藤紘一氏と小沢一郎氏に関しては私怨もあり酷評している(笑)

意外なところでは、憎めない政治家として不破哲三、上田耕一郎といった日本共産党の政治家を挙げており、主義主張が相反する政治家でも、信念を持っている政治家のことは高く評価している。


政治に関心がある方には、絶対に読んでほしい本である。

2014.06.16 Monday

日本共産党の深層 大下英治

大下英治氏には以前から興味があったのだが、なかなか読むタイミングが合わなかった。

最近ちょっと時間ができたので、読む本を探していたら大下氏の本を発見。
その名も「日本共産党の深層」という外部の方が共産党を語るという主旨が面白い。





第1章は「日本共産党の現在」というテーマで、ブラック企業対策を中心に、特に力を入れているテーマについて語られている。
この問題に積極的に取り組んでいる吉良よし子氏の活動を紹介している。
またSNSを上手く活用しているという、新しいメディアを積極的に使っている点が興味深い。

第2章は「日本共産党秘録」という日本共産党の昔ばなし。
戦前からの活動が紹介されているのだが、よく考えたらそんな時代からあったというのはすごいことである。

第2章後半から第3章では市田忠義氏、穀田恵二氏などの生い立ちからの紹介。
これが意外と面白かった。

第4章では「しんぶん赤旗」を中心とした党組織の紹介なのだが、山本記者という敏腕記者の活動には目を見張るものがある。

第5章では吉良よし子氏、小池晃氏の生い立ちからの紹介を交えつつ、日本共産党が目指す社会について語られている。
小池晃氏の項目が少ないのはやや不満…

他の新書と比べて内容も厚く、読むのに時間がかかるかもしれないが、読みごたえのある本であった。

特に20代、30代で苦労している人たちに読んでほしい。

2014.01.19 Sunday

名護市長選、稲嶺氏が再選確実

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設計画への賛否が最大の争点となった沖縄県名護市長選は19日、投開票され、同市辺野古への移設に反対する現職の稲嶺進氏が、移設推進を掲げた末松文信氏を破り、再選を確実にした。
安倍政権は移設方針を堅持する考えだが、反対派の勝利で道のりは険しくなった。

名護の方々は良識のある方が多いようである。


来月の東京都知事選はどうなることやら。
東京都民は、良識のある判断ができるのだろうか?

2013.10.23 Wednesday

官房長官を見れば政権の実力がわかる

総理大臣や各大臣に焦点を当てた作品は色々とあると思うが、官房長官に焦点を当てた作品は珍しいと思い購入。

私は学生時代に諸般の理由で「行政学」を勉強したのだが、内閣における官房長官の役割は大変重要で、他の国務大臣とは違う特殊なポジションである。
その実務経験者の、官房長官としての役割に対する考え方を知りたかったので、私には役に立つ本であった。

菅義偉、枝野幸男、野中広務、後藤田正晴、福田康夫という5人の官房長官をそれぞれのタイプ別に解説している。
スポークスマンとして会見をしている表の顔と、普段なかなか分からない裏の顔が書かれてあり面白い。

また官房長官を通して、歴代の内閣、特に内閣総理大臣の姿が映し出されており、興味深かった。





個人的には、野中広務と後藤田正晴に特に興味があったのだが、野中広務が意外に気さくで記者にもファンが多い点などが意外だった。

ちなみに後藤田正晴はイメージ通りの切れ者という印象を受けた。

2013.09.02 Monday

(株)貧困大国アメリカ 堤未果

岩波新書から出版されている「アメリカの貧困」 をテーマにしたシリーズの完結編。
異様な怖さを感じてしまう本で、考えさせられる一冊。

第1〜3章では、企業による農業の破壊、企業による食の破壊、そしてその破壊がアメリカの外にも飛び出していることを指摘している。
具体的事例を色々と紹介してくれているのだが、企業の横暴には怒りを抱かずにはいられない。
もう少し詳しく書きたい気もするが、ネタバレになるので…

ただ一言だけ言わせて頂くと、食や農業は、ある意味最強の兵器になるので、日本のようにその兵器を持ち合わせていない国は、アメリカに取り込まれないようにしないといけないと思えた。



第4章では露骨な公共サービスの民営化が招く大きな弊害、第5章では州議会が大企業に牛耳られている点を指摘している。

アメリカという国の怖さを実感することになった…

2013.08.19 Monday

防衛省と外務省 福山隆

サブタイトルが「歪んだ二つのインテリジェンス組織」ということで、両者のインテリジェンス組織としての特徴を中心に述べられている。

防衛大学出身の幹部自衛官が、外務省への出向、駐在武官としての経験を踏まえ、防衛省と外務省のインテリジェンスの特徴を述べながら、個々のインテリジェンスの内容を解説している。
比較的平易な言葉で説明されており、読みやすいと思える。

日本は、アメリカと中国との間でどのように生き延びるかといった点は、考えさせられる。



ちなみに、この本の中に色々と叩かれているプロ野球機構コミッショナー・加藤良三がちょくちょく顔を出している。
 

2012.05.24 Thursday

財務省のマインドコントロール 江田憲司

みんなの党幹事長である江田憲司氏による財務省の“権力掌握術”暴露本。
(個人的には江田氏は無所属の頃のほうが好きだった…)

第1節は、日本の財政に関する江田氏の見解が記載されている。
「増税の問題」「国債の問題」などについて語られているのだが、これは私個人の考えに近いものがあり共感することができた。
「今の景気で消費税増税しても、税収が増えるわけがない!」と、消費税を3%⇒5%に上げた張本人が言っているのだから間違いない。
国債に関しても、資産の部分を無視して借金の部分のみで見るからフェアではない。

第2節は、政権中枢に入りこむ財務官僚(大蔵官僚)のしたたかさが記載されている。
私は行政学を勉強していたので、ある程度の事は知っていたが、それでも経済産業省(通商産業省)の官僚として実際に体験したエピソードを交えて語ってくれていたので興味深かった。

第3節は、経済成長の必要性が記載されている。
TPPや東電問題(原発問題)とタイムリーな話題について、テーマごとに語っているという感じであった。




ちなみに、私はこの著者の江田氏や代表である渡辺氏は嫌いではないのだが、他のみんなの党の面々はあまり好きではない。
政治理念というより、勝ち馬に乗るという点でのみ集まっている集団に見えるのは私だけだろうか?

2012.05.04 Friday

政権交代とは何だったのか 山口二郎

民主党政権のブレーンであり、“自民党から民主党へ”の政権交代を支持していた山口二郎・北海道大学教授の本。

民主党のブレーンなのだから、民主党政権のふがいなさへの言い訳がメインかと思いきや、民主党政権の問題点をきっちり指摘している点はさすがである。



鳩山政権〜菅政権〜野田政権と続く民主党政権を、時系列で語っており分かりやすい。
私が“最初”の失敗でかつ“最大”の失敗であったと思っている「政権交代直後の自民党政権下で作られた予算の凍結と再編成」に関してなどは、まさにその通りである。
自民党政権下で作られた予算を、予算編成能力がないのにもかかわらず、一から作り直そうとするから無理があるのである。
(元経済産業省の古賀茂明氏も、この点を指摘していたはずである)
これは仰る通りなのだが、山口教授の立場なら、鳩山政権が予算再編成を試みた時に、止めることができたのではないか?

また政党のベクトルとして“最重要”である外交・防衛に関する考え方で、大きな隔たりがある民主党政権では、外交面で話がまとまらないのは無理もない。
「政権交代」という旗印の下に集まり、それだけを目指していた集団が、目的を達成してしまうと脆いものがある。

「税制」「社会保障」「沖縄基地問題」「マニフェスト政治」と、それぞれのテーマごとに問題を指摘している点なども興味深かった。

後半では「自民党へのエール(らしきもの)」「ねじれ国会の問題点」「政治学論」と、本のタイトルとは若干離れてしまっていた気がする。

とは言え、読んでもらいたい本であることは間違いない。

2012.01.13 Friday

官僚を国民のために働かせる法 古賀茂明

経済産業省の官僚であった古賀氏による本。
経産省はOBを含め、本を出す人多いな(笑)

ご本人も本の中で述べているように、中学生にでも分かるような書き方で書かれている。
大人でも、政治が分からず大人になったような人にオススメ♪



ただ政治に関しての知識がある人、古賀氏のほかの本を読んだことある人には退屈かもしれない…

2011.09.06 Tuesday

招かれざる大臣 長妻昭

昨日のTVタックルで久々に長妻氏の姿を見ることができた。
鳩山内閣で厚生労働大臣を務めたが、志半ばで役所を去ることになった長妻昭氏の本。
大臣を辞めた後なんとなく干されているように感じるのは私だけだろうか?

私は正直言って厚生労働分野はあまり得意ではないのだが、そんな私にも分かりやすく元厚生労働大臣が解説しておられる。

実際に長妻大臣が厚生労働省の官僚とどのように戦ったか、国の機関で我々国民が一番接するのが厚生労働省の出先機関(ハローワーク、旧社会保険庁等)であるはずなのにアカウンタビリティ(説明責任)の欠片もなく自分達しか分からない文言しか使わない面々。
そのような部分を改善したのと同時に、今までの不正を謝罪そして社会保障費の今後の増大等を踏まえて厚生労働省が率先しての天下り禁止といった点は評価できる。
個人的には、たとえ官僚と激突することが多くなっても、もう少し厚生労働大臣を務めて欲しかった気がする。



また個人的には学生時代の話、会社勤め時代の話といった今まであまり語られていない点が記載されていて面白い。
ちなみに私も職を与えられてすぐはなかなか結果が出せず、自分なりのやり方を確立した後に成果を出し始めるタイプなので長妻氏と似ていると思った。

それと意外だったのが、今後の社会保障費の増大を鑑み消費税アップ等による増税の必要性を主張しており、どじょう総理の考えにも近いように思えた。
私はこの本を野田総理の組閣時期に読んでいたので、長妻氏の入閣はあるのではないかと思っていた。

2011.09.01 Thursday

日本中枢の崩壊 官僚の責任 古賀茂明

経済産業省大臣官房付の現役官僚である古賀茂明氏が、日本の現状を語った本。
私は2冊とも読んだのだが正直内容はかぶっている。
どちらか片方だけ読めば良いと思う。







現みんなの党の代表である渡辺喜美大臣とともに行った公務員制度改革、民主党政権の問題点(特に仙石氏)、霞が関の問題点といった点を中心に語られている。
具体的事例を実名で語っているので臨場感があって読み応えがあった。
国会議員が行政府に乗り込むにあたって有能なブレーンがいるという点はその通りだと思う。
有能な官僚と政策を議論する際に政務三役だけでは難しいものがある。
しかし民主党の議員達は今まで何をやってたんだろうか?
議員として真面目に活動していれば、大学教授やコンサルタント等で自分の力になってくれるような人を見つけられそうなものなのだが…

そう言えば明日は野田新政権が組閣される日である。
閣僚に就任される方々についてもそのうち語ってほしいと思う。

2011.07.11 Monday

悪党〜小沢一郎に仕えて〜 石川知裕

民主党の小沢一郎氏の元秘書で、現在は政治資金規正法違反事件で公判中の石川知裕議員が小沢一郎をテーマに語っている。



秘書、小沢邸の住み込み等も経験している石川氏。
間近で見た人間しか知らないエピソードも多く結構面白い。

届いたばかりで私自身まだ読んでいる途中なのだがお勧めできる本である。

意外に売れている本のようなので店頭で見かけたらそこで買う方が良いと思う。

ちなみに悪党の意味に下記のようなものがあるのをご存じだろうか?
「中世、特に南北朝時代、荘園領主や幕府に反抗した荘民とその集団」
正直私は知らなかった…

この売り上げが石川氏の裁判費用になるんでしょうかね(笑)?

2010.10.04 Monday

小沢一郎・強制起訴へ

小沢さん、改め小沢被告どうするんだろう?

2010.09.17 Friday

菅改造内閣って地味じゃない?

 ◆総理=菅直人(衆)

 ◆総務=片山善博(民間)

 ◆法務=柳田稔(参)

 ◆外務=前原誠司(衆)

 ◆財務=野田佳彦(衆・留任)

 ◆文部科学=高木義明(衆)

 ◆厚生労働=細川律夫(衆)

 ◆農林水産=鹿野道彦(衆)

 ◆経済産業=大畠章宏(衆)

 ◆国土交通=馬淵澄夫(衆)

 ◆環境=松本龍(衆)

 ◆防衛=北沢俊美(参・留任)

 ◆官房=仙谷由人(衆・留任)

 ◆消費者・少子化・国家公安=岡崎トミ子(参)

 ◆金融・郵政改革=自見庄三郎(参・留任)

 ◆経済財政=海江田万里(衆)

 ◆国家戦略=玄葉光一郎(衆)

 ◆行政刷新・公務員改革=蓮舫(参・留任)

この顔ぶれを見て、ちょっと期待したいと思えるのは片山総務大臣、馬淵国土交通大臣くらいかな。
海江田経済財政大臣あたりもちょっと期待できるかな?

私はもう少し年代が下で、メディアによく出ているような人たちも閣内に加えるべきかと思うのだが…
あと小沢派はこれだと怒るよね。

2010.06.02 Wednesday

鳩山首相辞任へ

鳩山由紀夫首相は2日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐる混乱や、社民党の連立政権離脱を招いた責任を取って、退陣する意向を固めたとのこと。

営業をやったことがある方なら分かると思うのだが、クライアント(鳩山さんの場合は国民)に期日を約束する際には、ある程度余裕を持って期日の約束をするのが基本である。

“5月末”という、おそらく参院選前までにという意向が働いたと思うのだが、厳しすぎる期日を公表してしまったことで墓穴を掘った間は否めない。

人としては憎めない方なのだろうが、様々な問題を抱える国の首相は荷が重かったか…

しかし鳩山首相が辞めたところで、この国が抱える様々な問題はなくならない。
次の総理にも、様々な問題を解決することが求められるのだが、果たして適任者はいるのだろうか?

意外と大穴で“亀井静香内閣総理大臣”とかありえるかも!?
危機的状況のこの世の中では、あの人のような“突破力”が必要不可欠にも思える。

間違っても、小沢一郎内閣総理大臣、鳩山由紀夫幹事長とかは勘弁してね(笑)

まあ順当に菅直人内閣総理大臣で落ち着くのかな?

2010.05.04 Tuesday

「最低でも県外」⇒「すべて県外は難しい」

選挙前に「最低でも県外」と、住民を喜ばせるような内容の発言をして選挙で勝利。

選挙後に、事前に住民を喜ばせるような発言をした内容を反故にしてしまう。
内閣総理大臣がそんなことをしてしまっては、モラルも何もあったものではない。

そういえば、国際会議で「1990年比で2020年までに(CO2を)25%削減することを目指す」といった発言で驚かせたこともあった。
これも実現不可能な気がして仕方がないのだが、こちらも「難しい」で済ませてしまうのだろうか?
まあ2020年には、鳩山政権どころか民主党すらどうなっているか分からないが…

先日紹介した舛添要一氏の本「内閣総理大臣」で、首相に求められるものとして10の要素が挙げられていた。
【ヴィジョン提示力】【歴史と哲学の素養】【人心掌握力】【組織力】【経験】【危機の認識と危機管理力】【カリスマ性】【テレビポリティクス】【国際性】【IT適応力】といった要素である。

舛添氏の提唱する要素がすべてではないと思うが、鳩山首相には当てはまる要素が1つもないように思える。

実現できないヴィジョンを提示されても仕方ないので。

2010.05.02 Sunday

【内閣総理大臣増補版】舛添要一

自民党時代に厚生労働大臣を務め、現在は新党改革代表である舛添要一の本。

・鳩山政権の検証
・政治とは?
・首相に求められるもの
といったテーマで、自らの厚生労働大臣時代の逸話等も交えて語られている。

現在の鳩山政権と対比しながら読むと大変面白い。

ちなみに首相には下記の10の要素が必要とのこと。
鳩山首相には…(笑)

【普遍的要素】
・ヴィジョン提示力
・歴史と哲学の素養
・人心掌握力
・組織力
・経験

【今日的要素】
・危機の認識と危機管理力
・カリスマ性
・テレビポリティクス
・国際性
・IT適応力



2010.03.24 Wednesday

前田日明、民主党と決裂!!

今春の参議院議員選挙に民主党からの出馬が内定していた前田日明が、民主党からの出馬を辞退したとのこと。
理由としては、「外国人参政権に関しての考え方の違い」や「選挙費用負担を反故にされた」事等を挙げている。

「外国人参政権」に関しては、前田は反対の立場でその点で政策面での相違があったとのことである。
私はこれを聞き、スゴいと思ったものである。
今の日本の政治家で、「政策が違うので、この政党からは出馬できない」と声を大にして言える政治家が何人いるのだろうか?
郵政民営化が争点だった小泉内閣時の郵政選挙で、“郵政民営化反対”という信念を貫き、自民党を離党した骨のある人は数えるほどしかいなかったはずである。
その点、やはり日明兄さんすごいよと思ってしまう。
どんな相手に対してでも意見を主張する点はやはりこの人のスゴいところである。
私も性格的にどんな相手に対しても意見を主張するのだが、まあ敵の増えること、増えること(笑)

また「選挙費用負担を反故にされた」に関しては、それでこそ今の民主党である(笑)
だってマニフェストどれだけ反故にされたか…

ちなみに一部報道によると、小沢一郎とも確執があるようである。
そのあたりのことも是非ぶちまけて欲しいものである。


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2010.03.15 Monday

鳩山邦夫、自民党離党!!

自民党の鳩山邦夫元総務相が党執行部に離党届を提出したとのこと。

鳩山氏は、前日のテレビ番組で新党結成をほのめかしており、夏の参院選は新党で戦うことになりそうである。
しかし、新党結成となると一番必要になってくるのが【お金】

そういえば、与謝野馨前財務相が邦夫氏から聞いた話として「兄貴がしょっちゅう母のところに行き、子分に配る金をもらっていた」と話していた。
弟も子分が出来る事になるので、母親の所に行かなきゃ(笑)

鳩山母ってドラえもんみたいな役回りに思えるのは私だけ?

2010.02.21 Sunday

大仁田厚長崎県知事誕生ならず!!

任期満了に伴う長崎県知事選が本日投開票され、自民、公明両党が支援した前副知事の中村法道氏が当選確実となった。
注目の大仁田厚氏や、民主、社民、国民新の与党3党が推薦した前農水省室長の橋本剛氏は及ばなかった。

鳩山首相の母親からの子ども手当の問題や、小沢幹事長の政治資金規正法関連の問題等もあり、民主党の失速を如実に表した結果となった。
というか、そもそも「脱官僚」を掲げている政党が前農水省室長を担いだ時点でダメなんじゃないのかと思う。

自民、公明が推す候補が当選したのは微妙な感はあるが、大仁田知事よりはマシなのかもしれない。
某知事を選出した千葉県より民意が高いのかもしれないが(笑)

しかし知事選で敗北するという事は、民主党は参院選大丈夫なんだろうか?
参院選の直前で、小沢幹事長辞任するようなサプライズがない限り、民主党は参院選で勝てそうに思えないのだが。


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2010.02.15 Monday

石井浩郎参院選出馬!!

元プロ野球選手で近鉄や巨人、ロッテ、横浜でもプレーした石井浩郎が参議院選挙に出馬するとのこと。
本来の打撃はもちろん、職人的(野武士的)なキャラクターもあり人気があった選手である。

自民党から出馬するようで、県連は参院選対策会議で、出馬を要請していた石井氏の意向を最終確認した。
石井氏は会議終了後、記者団に「自分を育ててくれた秋田は今、元気がない。何とかしたいとの思いを(県連幹部らに)伝えた」と出馬に強い意欲を示したとのこと。

しかし選挙のたびに思うのだが、マニフェスト云々といったところで、この国の選挙はなんだかんだで人気投票。
与党も野党も、人材を育てようとせず手っ取り早く「知名度のある有名人」を担ぎ出す戦略ばかり。

もう少し人選をまじめにやる気はないのだろうか?

2010.02.02 Tuesday

小沢一郎、不起訴の方向で…

「なんじゃこりゃぁ」
という結果で事態が終息しそうである。

民主党・小沢一郎幹事長の資金管理団体による土地購入をめぐる事件で、東京地検特捜部は小沢一郎幹事長を不起訴処分とする方向で最終検討に入ったとのこと。
理由としては、小沢氏の元秘書達が「小沢氏の直接の関与を否定している」からとのことである。

ヤクザの組長が主犯の事件を、捕まった若い衆が「組長は無関係だ」と言われて「はい、そうですか」と納得するような人達しか特捜部にいないのであろうか?
無罪の人間を起訴して有罪にしてしまうは、限りなく黒に近いグレーの人をあっけなく不起訴にしようとするは、呆れてものが言えない。

しかしこれだけ与党の幹事長に嫌疑をかけてマスコミを巻き込み大騒ぎさせて、検察はただで済むのだろうか?
小沢幹事長から予算大幅カット等の手痛いしっぺ返しが待っているのではないだろうか?

それか逆に起訴しないことを条件に、検察が小沢幹事長から何らかの利益を引き出したのだろうか?
2回目の事情聴取あたりでそのあたりが“落とし所”として話し合われたのかもしれない。

2010.01.29 Friday

「労働なき富」

本日の衆参両院の本会議であった施政方針演説で、鳩山由紀夫首相が「労働なき富」を「日本と世界が抱える諸問題」と批判した。
この「労働なき富」は、元々はインド独立の父マハトマ・ガンジーが指摘した「七つの社会的大罪」のうちの1つらしい。

しかし母親から毎月高額な“子供手当”をもらっていた首相が「労働なき富」を批判するのは…(笑)

案の定、野党から野次られたり、会見で批判されたりする始末(笑)
幼稚な演説に思えるのだが、小沢一郎幹事長への批判をそらすための陽動作戦だったりして。

まあ由紀夫ちゃんは、そこまで考えてないだろうな(笑)

2009.12.02 Wednesday

検察、鳩山首相を不起訴の方向で…

鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書をめぐる偽装献金問題で、検察は、鳩山本人が虚偽記載などに直接関与した証拠は見当たらないとして、嫌疑不十分で不起訴処分にする方向で検討しているとのことである。

ただ実母から直近5年間で「貸付金」として提供を受けた9億円が実際は贈与として課税対象となる可能性は残っている。
国税当局と首相側は今後、修正申告が必要かどうか判断するとみられる。

「不起訴かよ!?」というのが私の第一印象で、検察が首相との争いを逃げたなという感は否めない。
これが首相ではなく、野党の党首だったら同じ結果になっていただろうか?
この件での対応が理由で、検察の来年度の予算がアップしたりして(笑)

また実母からの9億円貸付って、鳩山家にとってはお小遣い程度のものなんでしょ?
どこの家庭でも、「ちょっと経済的にピンチだ」という時に、援助を受けることはあるわけで。
我々一般の家庭と【0】の数がちょっとばかり違うだけなのである。

しかし鳩山首相は、実母から9億円の貸付があるのだから、これを内閣官房機密費(内閣官房報償費)として使ってはいかがだろうか?

蓮舫さん、内閣官房機密費は廃止の方向でお願いします(笑)


2009.12.01 Tuesday

大仁田厚 長崎県知事選出馬表明!!

元参議院議員である大仁田厚が明日の午後記者会見を開き、来年2月の長崎県知事選に出馬する意向を正式表明するとのこと。

宮崎、大阪、千葉に続き長崎にもタレント知事が誕生するか!?
宮崎県知事と大阪府知事を、千葉県知事と同列に扱うのは失礼かな(笑)

しかし大仁田が知事となると、その下で働く面々は大変である。

知事のパフォーマンスで、その県が注目されるという素晴らしい利点はもちろんある。
だが、それ以上に“知事の人気取り”のための無謀な施策に付き合わされたりするのはたまったものではない。
無謀な施策は、その下で働く者のモチベーションを削ぐだけでなく、我々の税金を無駄に浪費するのである。

東京都のオリンピック招致等を考えれば容易に想像できるはずである。

まあ今の大仁田が当選するとは限らないが(笑)


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2009.11.17 Tuesday

年収1600万? 医者なみの年収かよ!!

【年収1600万】と聞いて何を想像するだろうか?
「医者」「外資系金融機関」、はたまた「1軍半クラスのプロ野球選手」などを想像するかもしれない。

でも私が今見ているのは上記のいずれでもない。
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の求人表である。
その詳細を見てみると、

(1)総務担当理事
総務・管理部門を統括する。
特に、独立行政法人通則法に基づく中期計画、年度計画及び業務実績報告書の策定、法令に基づく高速道路に係る道路管理者(国等)の権限(行政処分)代行並びに主務省等との適切な調整等を担当。

(2)経理担当理事
経理部門を統括する。
特に、債務の確実な返済を確保するため、適切な予算の策定、執行管理及び決算に係る財務諸表の作成、資金調達の多様化及び確実な資金調達の実施並びに主務省や財務当局等との適切な調整等を担当。

(3)企画担当理事
企画部門を統括する。
特に、債務の確実な返済を確保するため、高速道路に係る貸付料の設定、新設・改築・修繕の実施等に係る関係6会社との調整及び会社との適切な協定の締結・変更並びに主務省等との適切な調整等を担当。

※3ポストの任期は全て、平成22年1月1日から平成23年9月30日までになります。

とのことである。

今までこれらのポストは天下りポストだったようだが(実際に国交省、財務省出身者が現在理事をしている)、民主党政権になり【公募】になったらしい。

こりゃ応募するしかない(笑)
まあ書類選考で落ちるだろうが…

しかし理事ってこんなにもらってたんだね(怒)

応募したい方はこちら!


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2009.09.08 Tuesday

民主党マニフェストの目玉 【国家戦略局】?

鳩山由紀夫新政権の目玉の一つである国家戦略局。
この国家戦略局担当の大臣に菅直人民主党代表代行の起用が内定しているようである。

しかしこの「国家戦略局」って何をするのだろうか?
予算の骨格などを定めるのであれば、「経済財政諮問会議」と同じじゃないの?

経済財政諮問会議の構成員も、閣僚と日銀総裁、民間だったと思うのだが…

また「国家戦略局」を一段格上の位置づけとし、各省庁をコントロールするとのことなのだが、ということは国家戦略局担当相が、行政をコントロールすることとなる。
菅直人の行政手腕に注目が集まる。

しかしここで疑問が1つ。
小沢一郎が幹事長として【選挙】を、菅直人が国家戦略局担当相として【行政】を仕切る。
となると民主党党首で総理大臣になるであろう鳩山由紀夫は一体何を仕切るのだろうか?

そんなことだから政治評論家・三宅久之に「ぬけがら」と言われてしまうのである(笑)

でも民主党政権期待してます(笑)


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2009.09.02 Wednesday

【政権力】 三宅久之著

「ビートたけしのTVタックル」等で有名な政治評論家である三宅久之さんの政治への提言が書かれている本である。
自民党、民主党から、共産党の議員まで黙らせてしまう三宅さんのお話は必見!!

次期首相である鳩山由紀夫氏に関する記述は…(笑)




しかし三宅さん、もうじき80歳なのに元気だなぁ

2009.08.30 Sunday

官僚たちの夏

ご存じ城山三郎の名作。
普段は小説は読まないのだが(登場人物が覚えられないので…)、TVドラマを見てついつい購入してしまった。





結構読みやすいので、小説好きな方も、小説はちょっと苦手な方も読んでみてはいかが?

2009.03.04 Wednesday

【国策捜査!?】小沢一郎の公設秘書逮捕…

小沢一郎の公設秘書が逮捕された。
容疑は政治資金規正法違反(虚偽記載)とのことである。

西松建設のOBが代表を務めていた政治団体「新政治問題研究会」(95年設立、06年解散)と、「未来産業研究会」(98年設立、06年解散)から、西松建設からの献金だと知りながら献金を受け取ったとのこと。

政治資金規正法を見てみると、第22条の6に 
1 何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政治活動に関する寄附をしてはならない。
3 何人も、第1項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。
という記述がある。

小沢一郎の秘書はこの3項に違反した容疑で逮捕されたものだと思われる。

この逮捕を行ったのが、警察ではなく東京地検特捜部。
しかし、政治資金規正法の第26条を見てみると、この違反に対する罰則は【3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金】とのこと。
これは公妨(公務執行妨害)レベルの罰則である。
それで東京地検特捜部が動くのはおかしいのではないか?

また逮捕された西松建設のOBの供述で、「献金はダム受注目的」などと語っている。
小沢一郎は東北の出身ではあるが、野党なのだからダム受注に大きな影響力があるわけではない。
当然だが、私が同様の目的でやるのなら国土交通大臣&知事に献金を行う。
その両者が一番影響力があるのだから。

検察が政治資金規正法違反⇒収賄に持っていきたい匂いが充満している。

P.S. 昨日のblogに関して色々とコメントをくださった皆様、ありがとうございました!!


2009.03.03 Tuesday

小沢一郎の会計責任者立件へ!

西松建設がダミーの政治団体経由で、民主党小沢一郎代表関連の政治団体に違法献金していた疑いが強まった。
東京地検が、小沢一郎の政治団体の会計責任者と、西松建設の関係者を政治資金規正法違反容疑で立件する方針を固めた。

いつもながら、“大豆”な場面でやってくる民主党のスキャンダル…
ナットーマンより“大豆”な場面でタイミングよくやってくる。

こうやって民主党がダメージを受けた時こそ、衆議院を解散するチャンス!
いやぁ与党にとっては出来すぎの筋書き。

これこそが国策捜査だ!

2009.01.06 Tuesday

まじめに働こうとしている人なのか!!

坂本哲志総務政務官が総務省の仕事始めのあいさつで、東京・日比谷公園の【年越し派遣村】について「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのかという気もした」と述べた。

私も「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」と思う。
【年越し派遣村】に対してではなく、【国会】に対してだが。

アホな仕事始めのあいさつなんかやってる暇があったら、雇用対策の施策でも考えろ!
このような政務官こそ切り捨てられるべきである。

2009.01.04 Sunday

Obama is so much talked about in JAPAN!!

In Japan,Mr.Obama is so popular and much talked about.
Because we “Japanese" are also looking forward to the Obama's CHANGE.

But, in fact, there is another reason!
In Japan, there is the comedian who looks like Mr.Obama.

He has shaken hands with real Obama.

If you think it is not true, please watch these movies!!

movie.1
movie.2
movie.3


☆日本語訳☆
日本でオバマ氏はとても人気があり話題になっている。
なぜならば、我々日本人もまたオバマ氏が実行するであろうチェンジに期待しているからである。

しかし実はそれ以外にも理由があるのだ。
日本にはオバマ氏によく似ているコメディアンがいる。

彼は本物のオバマ氏と握手をしたこともあるのだ。

嘘だと思うならmovieを見てくれ。

2008.09.06 Saturday

福田総理辞任記念!?あなたとは違うんですTシャツ(笑)

これ欲しいんですけど…(笑)


またポスト福田の大本命・麻生太郎のTシャツも今のうちに買っておいたほうが良いかも!?

2008.08.01 Friday

内閣改造といわれても別に…

本日発表させた福田改造内閣の顔ぶれ。
派閥のトップや有力者を配置した安定感はあるが面白みのない面々である。
官房長官のような主要ポストは留任だし…
まあ福田首相らしいと言えば、そうなのだが。

ちょっと驚いたのが郵政解散で刺客を放たれた野田聖子が入閣した事くらいか。

【官   房】町村 信孝 63 町村派(留任)
【外   務】高村 正彦 66 高村派(留任)
【財   務】伊吹 文明 70 伊吹派
【厚   労】舛添 要一 59 無派閥(留任)
【環   境】斉藤 鉄夫 56 公明党
【経済 財政】与謝野 馨 69 無派閥
【総   務】増田 寛也 56 非議員(留任)
【経済 産業】二階 俊博 69 二階派
【法   務】保岡 興治 69 山崎派
【農   水】太田 誠一 62 古賀派
【文部 科学】鈴木 恒夫 67 麻生派
【国土 交通】谷垣 禎一 63 古賀派
【国家公安・防災】 林 幹雄 61 山崎派
【防   衛】林  芳正 47 古賀派
【消費者行政】野田 聖子 47 無派閥
【金融・行革】茂木 敏充 52 津島派
【少子化・拉致】中山 恭子 68 町村派

閣僚にはサプライズはなかったが、麻生太郎が自民党幹事長になるのはかなりの驚き。

2008.01.28 Monday

選挙はやっぱり人気投票!?〜橋下徹氏の圧勝に思う

ある知事選でタレント弁護士がダブルスコアに近い得票数で当選した。
言うまでもなく橋下徹氏のことである。
弁護士ということで、ロジカルシンキングができ知的水準も高く、さらに言えば地方自治体の活動を制約する法律・条例といったものにも一般人より詳しいであろう。
そのあたりを鑑みると、適性はないとは言えないかと思う。
しかしニュース等を見ていると、あまり深く考えずに“テレビに良く出て有名である”というような理由だけで投票した方が多いように思えてならない。

同様に八戸市で騒がれている市議会議員がいる。
藤川優里さんという市議会議員なのだが、“美人過ぎる”ということで注目されているのである(笑)
この藤川優里さんなのだが、初めての市議会議員選挙出馬でぶっちぎりのトップ当選を果たしているのである。
確かに見た目はいいのだが、それで選んじゃって良いのか!?

ちなみにこの藤川優里さんの公式サイトなのだが、まるでアイドルの公式サイトのようで、このページなんかもう…

思わず見入ってしまったじゃないか(笑)
しかしこんな選挙で良いのだろうか?この国ヤバいんじゃないのか?
そういうことだよ、バッドラック!!

2008.01.06 Sunday

“国家の謀略”佐藤優

外務省でロシア問題のスペシャリストとして従事した(現在起訴休職中)佐藤優の“国家の謀略”を今読んでいる。
佐藤優という名前だけではピンと来ない方には、“鈴木宗男の側近”“外務省のラスプーチン”と言えば、分かってもらえるだろうか。

諜報工作について非常に詳しく書かれており、非常に興味深い。
特に自分の場合は、この方の書いた他の著書を読んでいなかったので特に新鮮であった。
ちなみに他の著書を読んだ方は、内容が一部ダブっているようである。

ただ外交問題に興味がある方はもちろん、スパイ映画(CIA等がテーマになるようなもの)に興味があるような方にもオススメである。
また当然ではあるが、謀略とは世界各国が自国に有益な情報を引き出すために秘密裏に動くことであるから、世界情勢に関して最低限の知識が必要であることはいうまでもない。



余談だが、猪木のおかげでロシア外交が上手くいったエピソードが書かれてあった。
ただ張り手をしたり、1!2!3!ダァー!!をやるだけの人ではないのである(笑)

2007.09.14 Friday

勝ち馬に乗る!? 福田康夫VS麻生太郎

安倍晋三が辞任したことで、自民党の総裁選が行われることとなった。

福田康夫元官房長官と、麻生太郎幹事長が立候補することとなったのだが、福田康夫のほうが優勢というのが各種メディアの見方である。
しかし考えてみてほしいのが、福田康夫は安倍晋三の政治理念とは相反すると言っても過言ではない。
むしろ麻生太郎のほうが安倍晋三に考え方は近い。

ということは自分の政治理念で総裁選に投票するのであれば、安倍晋三を“総裁=総理”にした人間は、麻生太郎に投票するべきではないのか?

ところが前回の総裁選で安倍晋三に投票した人間は、“勝ち馬”に乗ろうとしただけで安倍晋三に投票し、政治理念の共有などはまったくできていなかったのではないか?
だから今度行われる総裁選では“新たな勝ち馬”福田康夫に投票しようとするのである。

この国の政治家のレベルが顕著に現れている。

2007.04.18 Wednesday

伊藤一長・長崎市長、ご冥福をお祈り致します

本日未明に伊藤一長・長崎市長がお亡くなりになられた。
民主主義国家では考えられない銃撃を受けたのである。

こういう事件を聞くと、この国は本当に先進国で法治国家なのかと思ってしまう。

実は自分はこの人とずいぶん前に会ったことがある。
10年ぐらい前のことであるのだが、まだ学生であった選挙権があるかどうかも分からない若輩者の自分に対して、人がまばらな場所で、すごく丁寧に話をしてくださった事を覚えている。
いい意味で政治家らしくない人だという印象を受けた。

なかにはパフォーマンスの一環で、群衆の中で敢えて選挙権があるかないか分からないような学生に積極的にアピールし、それを見ている観衆にアピールするような政治家もいるのに…
(ちなみにこの手の政治家は人気がなくなると、選挙権がなさそうな人間相手には態度が豹変します。実際経験あり)

日本のために有益で失ってはならない人間を亡くしたように思う。

2007.01.21 Sunday

そのまんま東が宮崎県知事に当選確実

そのまんま東が宮崎県知事に当選確実となった。
やはりタレントとしての知名度、官僚出身の候補者よりもしがらみがなくクリーンなイメージを持った結果と言えるのではないか。

知事や政令指定都市の市長といった首長は、国会議員や地方議会議員よりやりがいがあるように思える。
というのも、日本という国は議院内閣制を取っている。
そのため、内閣総理大臣は議会の信任を基に成り立っている。
ところが知事をはじめとする首長は、議会から選ばれるのではなく住民の投票によって選ばれ、議会の信任を基に成り立っているわけではない。
そのため地方においては、大統領制のような政治形態が生まれる。
石原慎太郎東京都知事などを見ていればよく分かるかと思うが、強力なリーダーシップを発揮できる、また発揮しなければならない役職である。

その重要な役職を、元タレントに一任した住民の判断が正しかったかどうかは数年後に現れるはずである。
知事に選んでおきながら、その知事が失政を行ったら手のひらを返したかのごとく批判する住民は数多い。
ただ選んだのは住民だということを忘れないで欲しい。

ちなみに、エビちゃんは宮崎出身なんだね♪

2006.09.15 Friday

竹中平蔵総務大臣、参議院議員辞任。繰上げ当選はなんと…


女子プロレス最強の男・神取忍(笑)

自民党がSHINJOに参院選出馬要請したり、この国の政治はいつから人気投票になったんでしょうか?

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