2022.12.29 Thursday

ウクライナ「情報」戦争 佐藤優

ウクライナ「情報」戦争というタイトルなので、ウクライナ視点でのインテリジェンスについて本かと思うかもしれないが、そこはやはり佐藤優ということでロシア視点、クレムリンから見たインテリジェンスについて書かれている。

日本に住んでいると、どうしても欧米視点のウクライナ情報ばかりに触れることになるが、そこは冷静に見る必要があるとのこと。

とは言え、佐藤氏のようにロシアのメディアからの情報や、クレムリン筋からの情報を得ることは難しいので、ややタイムラグは生じてしまうが、こういう本で情報を入手するしかない。

佐藤氏によると、当たり前といえばそれまでなのだが、ロシアはアメリカの言動をかなり意識していて、アメリカによって「管理された戦争」という言い方を用いている。

アメリカはアメリカで、この紛争がウクライナの外に及んで、ロシアとNATOの紛争にならないように腐心していて、長距離兵器の受け渡しには細心の注意を払っている。

それに加えて、アメリカ国内ではウクライナ問題より中絶問題の方が重要マターと思われているようで、そのあたりの状況を打開するためにゼレンスキー訪米を強行したものと思われる。

今回の件でロシアから日本に向けて様々なシグナルが発信されているそうなのだが、外交センスのない岸田首相はとんちんかんな対応をしてしまっているようで、今まで積み上げてきた北方領土返還交渉などが台無しになってしまいそうでならない。



今回の戦争の背景を理解するために、2014年のクリミア併合について解説しているのだが、ウクライナの対ロシアの挑発的な行動からミンスク合意までの流れがさすがに分かりやすい。

最後に日本とロシアの今について解説していて(この本のタイトルはウクライナ情報戦争なんですけど…)その内容を見ると外交をとはいかに相手のシグナルを理解するかが重要だということがよく分かる。

2022.12.28 Wednesday

日本を腐らせたいかがわしい人々 適菜収

新書というより雑誌のような本で160ページしかないので、あっという間に読み終えてしまう。

ちょっとした空き時間、移動時間などに読むのがいい。

内容は自民党とそれにすり寄っている面々を楽しく紹介してくれている(笑)



「国葬は葬儀じゃない」ということと、統一教会に関わっていたのにあれこれ言い訳している人達のことがよく分かりました。

2022.12.25 Sunday

野村克也解体新書 完全版 ノムさんは本当にスゴイのか? 江本孟紀

エモやんこと江本孟紀氏がノムさんについて語る本で、以前出たものに加筆修正をして出したものなのだが、野村監督への本音がよく出ていて面白い。

「南海で野村監督にお世話になってから50年近い付き合いになった。野球に関してはもちろん尊敬しているが、ひがみ根性や冷たさ、いじめなんかがきらいでしょうがなかった」と厳しい記載からこの本は始まる。

そう聞くと批判的な内容ばかりかと思いきや、野村監督の生い立ちを紹介したドキュメンタリー番組を見たり、故郷である京都の網野町を訪れたことで、少しは野村監督を理解できたとのこと。

それどころか、野村監督は現役時代の実績を自慢せず目の前の現実しか口にしない点が偉大、ふつうの人には見えなくても野村監督の屈折した性格から通して見ると見えるものがある、重要な場面において心のこもった態度を見せたり、繊細な言葉をぽつりと言ったりするなど、毒舌の中に所々に野村監督への愛のある言葉が出てきて面白い。

個人的に一番笑えたのが、どのポジション出身者が監督に向いているかというところで、外野手は野球理論やチームプレーにあまり関心がなくバッティングのことばかり考えているので、もっとも適していないとのこと。

この理論っていつもノムさんがいつも主張してたことだ(笑)

何だかんだ言って野村監督の教えに忠実な江本さんは師匠想いなんでしょうね。



巻末に江本孟紀×江夏豊の結構本格的な対談があるのだが、よくよく考えたら阪神タイガースの江夏と南海ホークスの江本がトレードされたのだから、2人は同じチームでプレーしていない。

とは言え、同じノムさんの下で再生した二人、そしてノムさんと深く付き合いのあった者同士で意見が合うのか、今まであまり表に出ていないエピソードも出てきて面白かった。

2022.12.24 Saturday

グローバリズム植民地ニッポン 藤井聡

現代貨幣理論(MMT)の論客として有名な京都大学大学院教授である藤井先生。

例えば「なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか」といった本で、不況を打開するための積極財政を主張している。

そのような藤井先生が、反グローバリズム(反新自由主義)というテーマで、現在の日本の危機的状況を解説しているのがこの本である。

戦後の日本はグローバリズムの名の下でアメリカから搾取され続けられていて、さらに最近では中国から搾取され始めているとのこと。

アメリカからの搾取は太平洋戦争で負けたため、そして中国からの搾取は経済面で負け始めたからで、中国の経済的地位が上がり日本の経済的地位が下がり続ける限りこの状況は続くのである。

本来ならば、これを打破するための施策を講じる必要があるのだが、それを邪魔しているのが「反成長」と「平和主義」らしい。

えっ?何故に平和主義が?
と思うかもしれないが、まずは藤井先生の考え方を聞いてみてほしい。


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