2022.02.27 Sunday

激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972 池上彰 佐藤優

池上彰氏と佐藤優氏が、対談形式で左翼の歴史をさかのぼるシリーズの第2弾。

(第1弾の「真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960 池上彰 佐藤優」はこちら

1960年から1972年という純粋な学生運動から、過激派の象徴的な事件である"あさま山荘事件"あたりまでを振り返る。

TVで芸能人向けに穏やかに分かりやすく解説している池上氏が、学生運動が盛んな時期の話になると、ご自身の学生時代の大変なども交えて熱く語りはじめる。

私も含め、落ち着いた学生時代しか知らない身からすると、当時の学生の熱さはなかなか想像しづらい。

本の内容は

・序章 「60年代」前史
・第1章 60年安保と社会党・共産党の対立(1960~1965年)
・第2章 学生運動の高揚(1965~1969年)
・第3章 新左翼の理論家たち
・第4章 過激化する新左翼(1970年~)

となっていて、1960〜1972年の間の社会党と共産党との左翼内での主導権争いの歴史、そこから派生してきた新左翼とその分裂について語っている。

各種レビューなどでも指摘されているように、佐藤優氏は共産党に関してかなり手厳しい。

佐藤優氏と共産党との対談などを見てみたいと思ったのは私だけ?

ところで1973年以降に関しては、左翼は急速に力を失っていく時代なのだが続編は出版されるのだろうか?(笑)

2022.02.26 Saturday

阪神・四番の条件 掛布雅之

ミスタータイガースである掛布さんによると、我々のタイガースが優勝できなかったのは「真の四番打者」不在だったからとのこと。

ヤクルトの村上宗隆、巨人の岡本和真、広島の鈴木誠也の存在がいないとのこと。

またヤクルトに競り負けた要因の1つとして打力を挙げており、チームの勝ち負けを背負う四番打者、そこから派生してミスタータイガースになるための条件などを解説してくれている。

その教えの1つに、相手エースのウイニングショットを打つ重要性が紹介されており、これは落合博満さんも同様のことを語っており、超一流の打者は同じようなことを考えるんだと妙に納得させられた。

あと掛布さん流の阪神と巨人の対比で、巨人は「チーム力」で勝ってきたチームで、阪神は「個の力」で勝ってきたチームで、その「個」がまだ小さいとのこと。

そりゃあバース・掛布・岡田って打順で四番打っていた掛布さんから見たら小さく見えてもやむを得ない気が…



この本は、私のようなファンではなく、大山悠輔や佐藤輝明といったチームの背負える存在の選手が読むべきかもしれない(笑)

ちなみに掛布さんは2人のことを「まだまだこんなもんじゃない!!」と高く評価してくれており、彼らの2022年シーズンの活躍に期待したい。

(※掛布さんの考え方やエピソードをもっと知りたい方はJR甲子園口駅からすぐのここへ!)

2022.02.13 Sunday

無敵の読解力 池上彰 佐藤優

池上彰氏と佐藤優氏という大物2人の対談形式の本という事で期待したのだが…

各章で注目すべき本を取り上げ、その本を解説していく形式の本。

例えば

・斎藤幸平『人新世の資本論』
・グレーバーの『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」
・白井聡『主権者のいない国』

第1章では上記の本を読み、その注目点を解説していくのだが、それだと新聞の書評のコーナーとあまり変わらない気がしてならない。

雑誌みたいな感覚で読み終えたのだが、あまり印象に残らなかった。

個人的には「どうやれば読解力が身につくのか?」「本を読む際の注意点」などを2人が解説してくれた方が、読者は喜んだのではないだろうか?



また政治家の読む本のレベルの低さについても触れており、小泉純一郎、枝野幸男、菅義偉など与野党を代表する政治家にも手厳しかった(笑)

2022.02.12 Saturday

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか 藤井聡

現代貨幣理論、いやMMT(Modern Money Theory)と言った方が馴染み深いだろうか。

この本の著者の藤井先生はMMTを支持派の第一人者であり、デフレ脱却のために日本がとるべき施策を分かりやすく解説してくれている。

MMTとは、Wikipediaによると「政府に通貨発行権があれば、政府の決定に基づき通貨発行で支出ができる。政府が通貨発行で支出できるのだから、政府が自国通貨財源の不足や枯渇に直面することはありえない」とのことである。

より分かりやすく口語体で表現すると「政府は自分でお金を作れるので、(いざとなればお金を作ればいいから)破綻することはない」とのことである。

ドルで借金をしていたアルゼンチン、ユーロで借金をしていたギリシアのように、自国で発行できない通貨での借金は危険なのだが、日本の国債はほぼ100%円建てなので何ら問題ないとのこと。

ただプライマリーバランスを重視する財務省が積極財政に否定的で、国民を惑わす情報、例えば「国民1人当たりの借金が膨らんでいる」「次の世代に借金を残すのか?」などをマスコミを通じて訴えかけることで国民を誤解させているとのこと。

この理屈の問題点を、藤井先生が対話形式で分かりやすく解説してくれており、大変面白い本である。



個人的に、藤井先生は分かりにくい理論を分かりやすく伝えるのが上手く、他の本も読んでみたくなった。

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