2022.01.15 Saturday

オリックスはなぜ優勝できたのか-苦闘と変革の25年-喜瀬雅則

前年の最下位ということで下馬評は低かったが、2021年のパ・リーグを制したオリックスバファローズ。

そのオリックスの以前の栄光、つまり仰木監督がイチローや田口を率いて優勝した時代から2021年の優勝までを振り返る。

実は最初はオリックスが優勝したことで出版された便乗本かと思ったのだが、著者は低迷期からオリックスを担当していた番記者さんということで、過去のエピソードもなかなか面白い。

2010〜2012で監督を務めた岡田監督とは、私自身も何度かお話させて頂いたことがあるのだが、口調までそのままで原稿になっており、個人的に面白かった。

そんな話はさておき、多くの方は「なぜ急にオリックスは強くなったのか?」を知りたいからこの本に興味を持つと思う。

2014年に加藤康幸氏という野球選手上がりでないどころか、本格的に野球に取り組んだこともない方が球団本部副本部長という要職に就く。

そこで「東京オリンピックにオリックスから選手を送り込む!!」という号令をかけて、編成などのスカウティングを改革していく。

その結果送り込んだ選手というのが吉田正尚選手と山本由伸投手という投打の柱なのだから大したものである。

なおこの加藤氏だが、野球経験はない方だが順天堂大や筑波大大学院体育研究科などで学んだ経験があり、王貞治監督や星野仙一監督など超大型監督の下で働くことで野球を見る目を養ったそうである。
まあこの両名を納得させられる方ならば、他の野球関係者を説き伏せるのも可能だろうと思える。

実際スカウトの方々と、時には喧嘩しながら、自らも選手の発掘に明け暮れたらしく、宗佑磨選手の獲得の経緯などもとても興味深い。



オリックスと聞くと、我々野球ファンは宮内オーナーの威光が強く、それが原因で組織がうまく回っていないような印象を持ちがちだが、その点についても想像通りのことが具体例なども交えて描かれており興味深かった(笑)

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