2022.03.27 Sunday

砂まみれの名将 野村克也の1140日 加藤弘士

今までノムさんご本人の著作を数多く読んできた。

関係者が野村監督について語っている本もそれなりに読んだのだが、それらはプロ野球時代の活躍、特に南海ホークス、ヤクルトスワローズ時代のものが多かった。

この本では今まであまり世に出ていない社会人野球のシダックス監督時代の日々について書かれており、知らないエピソードばかりで面白い。

サッチーの脱税問題で阪神タイガースの監督を辞任するところから話は始まる。

1999〜2001年の3年間はずっと最下位だったのだが、私はこの時代は結構楽しませてもらっていた。

戦力的に劣っているチームではあったが、新庄剛志の投手への挑戦、遠山奬志VS松井秀喜、「遠山→葛西→遠山の継投」など他のチームにない面白さがあったのと、ノムさんが監督になってくれたおかげでメディアの取り上げられ方が大きくなったのも嬉しかった。

こういうメディアの活用法を一番受け継いでいるのは、ノムさんの遺した人材では間違いなくこの人だろう。

私の前置きが長くなってしまったが、阪神タイガースの監督を辞めた後にシダックスの志太会長から社会人野球の監督の話を受け、サッチーの「アンタやんなさいよ」の後押しで監督に就任する。

少し失礼な言い方になるが、社会人野球でそこまで実績のなかったシダックス野球部が、野村監督とともに闘うことで名門社会人野球チームを倒し勝ち上がっていく。

それはシダックス野球部の選手たちの努力の成果でもあり、2月の伊豆のキャンプ時に雪が舞う中を誰一人練習を辞めるどころが掛け声が大きくなったそうで、それにはノムさんも驚かされたらしい。

そんなチームに投手の軸になれる逸材で、甲子園でも活躍した野間口貴彦投手が入団するのだが、その際のエピソードが面白い。

野村監督の指導を受け、エースへの階段を着々と上がっていく。

この時期になるとサッチーも応援に駆け付けるようになり、その際に選手たちに煮物を振る舞ってくれたりと意外な一面も買いまみれる。

社会人野球の監督を楽しむノムさんに、球界再編の波が押し寄せ、東北楽天イーグルスの監督としてプロ野球界に復帰することに!



その際のノムさんの対応は泣ける!!

1人の人間・野村克也としての普段のエピソードも多く、メディアではあまり見せない意外な一面も!!

2022.03.25 Friday

スリルライフ 新庄剛志

"BIGBOSS"こと新庄剛志監督の考え方が面白い。

口語体で書かれており、インタビューを文字起こしして書籍化したものだと思うのだが、意外に読みごたえがある(笑)

2022年シーズンを「思いつき作戦」をどんどん実戦で試してみる年だと考えているようで「9回を9人の投手で回したら相手は混乱するのではないか?」などと言った事が書かれている。

本日3/25の開幕戦でも、9人とまではいかないが先発ローテーション投手も含めた細かい継投を行っており、この本で書かれたことを実行しており面白い。

残念ながら最後の最後で逆転されてしまったが…(阪神も日本ハムも詰めが甘すぎた!)



ただ面白いだけでなく、少し泣かせるエピソードも書かれており、2021年12月に神宮球場で開催された野村監督を偲ぶ会に、ノムさんの形見のヴェルサーチのジャケットで参加したのは有名な話だが、さらに続きがある。

これから監督をしながら悩み苦しむことがある際に、このヴェルサーチのジャケットを羽織って野村さんの助けを借りたいとのこと。

また野球選手の力は「技術6+メンタル2+ファン2」と考えているそうで、確かな技術を身に着けることが最も重要なのだが、その技術を本番で出せるメンタルとファンの力が重要なのだ。

そういう真面目な考え方も含めて、野球好きな方には楽しめる本だと思うので、多くの方に手に取ってほしい。

2022.03.05 Saturday

地政学入門 佐藤優

佐藤優氏による地政学に関する講義をテキスト化したもので、口語体で話しかけるようで読みやすい。

ちなみに2021年11月に発売された本と思って購入したのだが、2016年7月に晶文社より刊行された『現代の地政学』を改題のうえ、再編集を行い加筆修正したものとのこと。

そのためここで取り上げる事例が少し古いものなのだが、地政学の考え方を理解するには有益な本だと思う。

地政学というのは基本的にユーラシアの話で、もっと言うと東欧の話。

東欧を抑えることができればユーラシアを抑えることができ、ユーラシアを抑えれば世界を抑えることができるとのこと。

また現代の世界で地政学を基本として国家を動かしている国は、ロシアとドイツではないかとのこと。

そう聞くとロシアのプーチン大統領がウクライナ侵略するのも頷ける…

ナチスドイツも地政学を重視していたようで、少し恐ろしい考え方なのかもしれない。

イギリスの政治学者で地政学の発展に大きな影響を与えたマッキンダーによると、「ハートランド」という地政学上の要となる場所が2つあるらしい。

1つはユーラシア、もう1つはサハラ砂漠の下の南アフリカ。

このような理由から、ナチスドイツもロシアも東欧を抑え込もうとするのだが、東欧の国々からするとたまったものではない…

地政学からは話が少しそれるのだが、ロシア流の歴史教育は自国をかなり美化した教科書を完全丸暗記されるらしい。



ウクライナの宗教についての情報など、現在の国際情勢を理解するために読んでおいたほうがよい本だと思う。

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