2019.05.04 Saturday

現代に生きるファシズム 佐藤優 片山杜秀

平成から令和にかけてファシズムがテーマの本を読んだのだが、意外にこの時期に読むには最適だった気がする。

まず多くの日本人がファシズムを正確に理解していない。

ムッソリーニが目指したファシズムは、国家の介入によって国民を統合し、資本主義が生み出す貧困や失業、格差などの社会生活を解決していこうとする政治体制であるとのこと。

つまりファシズムは、資本主義の矛盾を解決し、超克しようとする超資本主義の装いをとってイタリアでは現れたのである。

私は「あれっ?ファシズム自体は悪いものではないのでは?」と思えてしまった。

ファシズムと聞くと、どうしてもナチス政権のヒトラーを想像してしまい、深く知ろうとしなかった点を反省してしまった。

ただ、国民を統合することは“束ねられる”事の問題や、進むべき道を間違うこともあるので、そのような点は問題だと思える。



また天皇制のある“持たざる国”である日本でファシズムが成立するのかについても、詳細に解説しており、古い日本の象徴ともいうべき「玉砕思想」の歴史などにも触れている。

個人的に一番驚いたのが、片山氏の書籍を読むのは初めてだったのだが、“知の巨人”である佐藤優氏と互角にやり合えるすごい方でした。

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