2023.09.10 Sunday

教養としての「病」 佐藤優 片岡浩史

週3度の透析、前立腺癌、冠動脈狭窄と次から次へと襲い掛かる病に、佐藤優氏はどのような心構えで立ち向かっているのか?

佐藤氏は人生の残り時間が限られていると悟っており、冷静に残り時間で何ができるかを考えているようである。

自分の人生に限りがあるにもかかわらず、これだけ冷静でいられるのはキリスト教(プロテスタント)のなせる業で「使命を全うしたものはただちに天に召され、神に仕えるものとされている」とされているからに他ならない。

私はあまり病院にお世話になることがない身であるため、死について真剣に考えたことはあまりないのだが、ここまでの覚悟をすることは私には無理であろう。

いつもの政治問題や国際問題を解説する佐藤氏とは別の側面が分かり興味深い。

このような死生観に加えて、佐藤氏の主治医である片岡浩史医師との対談で「医師の在り方」「患者の在り方」について書かれているのだが、片岡先生はJR西日本勤務を経て医学部を志したような方で、大変人間味のある良い先生に思えた。




昨今のトップクラスの進学校では、ちょっと成績がいいと医学部を勧められ、それを学生も受け入れて、医学部に入学してしまう。

ただ「医者になりたいから」「人の命を救いたいから」という理由で医学部を受けるのではなく、「成績がいいから」「お金を稼ぎたいから」という理由で医学部を受けるため、そこでミスマッチが生じてしまう。

私が思うに、日本の経済成長が止まっている現状を見ていると、会社勤めに明るい未来を想像することができず、高校生には医師くらいしか魅力を感じる職はないのかもしれない。

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