2022.05.03 Tuesday

最高のコーチは、教えない。 吉井理人

日本プロ野球界で一番注目されている選手である佐々木朗希投手の指導にもあたり、現在は千葉ロッテマリーンズのピッチングコーディネーターを務める吉井理人氏。

メジャー経験もあり、体育学修士(筑波大学大学院)の学位も持つ吉井氏が、自らも経験も踏まえ「コーチング」とは何かを分かりやすく解説してくれている。

現役時代はやや血気盛んなところがあり(ご本人も著書の中で認めている)気合で投げ込むタイプだったのだが、コーチとしては完全な理論派でその代わりっぷりに驚きを隠せない。

吉井氏がコーチ稼業を開始するきっかけのエピソードが、現役続行か引退して指導者の道の岐路に立った際に、本人は現役にこだわったのだが、当時代理人だったダン野村さんがコーチ就任を強く勧められたとのこと。

ダンさんが特別なだけかもしれないが、プロ野球選手の代理人って存在感があってカッコいい!

投手コーチを引き受けたものの、選手に上手く指導することに苦労して、コーチングを本格的に学ぶ必要を悟り、筑波大学大学院に入学したらしい。
(同級生は工藤公康氏と仁志敏久氏)

肝心の中身はと言うと、第1章で「コーチは教えてはいけない」という考え方と、その理由を具体的な例を交えながら分かりやすく解説してくれている。

その1例を紹介すると、自分は瞬発力をつけたいからダッシュをしたいのに、指導者は一方的にスタミナをつけるための長距離走を指示するなどである。

ここで話し合いがあればまだいいのだが、それ以前に話し合いができる関係性が必要で、コミュニケーション能力も求められる。

私は、保守的な日系企業で働いているのだが、これって日本社会ではよく見る光景だなと思えてしまった。

ここから先はコーチングについて、専門的な内容を解説してくれているのだが、プロ野球チームだけではなく若手の指導に苦労している中間管理職の方にも役に立つように思える。



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