2021.10.09 Saturday

ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」 平井一夫

ソニーのニュースと言えば、数年前までは赤字の大きさばかりが話題になり、建物や事業部を売却したというニュースばかりを聞いていた気がする。

そのようなソニーを蘇らせ、KANDOを生み出したのが平井氏である。

この平井氏の経歴が異色で、ソニーグループの音楽会社に入社し、久保田利伸さんのアメリカ進出を手掛けたり、プレステの販売を担当したりと、ソニー本流のエレクトロニクス部門に携わらないまま社長の地位まで登りつめた方なのである。

私の勤めている会社も日系大手だが、うちの会社の場合は新卒で本体(当社では持株と呼ばれる)に入社し、入社と同時に幹部候補生と認められ、そのまま失策がないまま登りつめないと社長にはなれない。

生え抜きじゃないと社長はおろか、役員のポジションすらほぼ不可能な会社なので、ソニーの開かれた社風というか実力主義の会社に思える内容に羨ましいとも思える。

平井氏の文章を目にしていると、偉ぶらないオープンマインドな姿勢が、部下からの気軽さ相談や提案を可能にし、それがソニー再生を成し遂げたということがよく分かる。

また平井氏自身も、意見が出やすい環境づくりに尽力されていたようで、そのあたりの手法は部長や課長クラスでも、マネジメントの手法としては良い参考になる。

中間管理職以上で仕事をされている方には、参考になる点が多い本だと思う。



また外部からコンサルタント出身でMBAを持っているプロ経営者を招聘して企業を立て直そうとする企業も多いが、ソニーのような企業だと社内に有能な人材も多いと思うので、会社に愛着を持っている人間をトップに据えるほうが上手くいくのだろうなとも思えた。

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