2021.06.19 Saturday

危機の日本史 近代日本150年を読み解く 佐藤優 富岡幸一郎

さまざまな文学作品とそこから派生する思想から、危機の時代をどう生きるかを考える本。

と書いては見たものの、神学的視点から文学作品を吟味し、その時代背景などを考える本である。

「クロノス」…一方的に流れている時間
「カイロス」…決定的な出来事、歴史上の区切りとなる時間

この本では、この2つの視点で時間の経過を見ていくのだが、この視点は面白い。

昭和から平成への御代替わりの際には、左翼系の知識人は天皇制存続そのものを問題にし、天皇の戦争責任について言及し、保守派の論客も象徴天皇制を批判するような議論が起きたが、平成から令和への移行の際には全く起きなかったのは何故か?

こういう問題について本格的に考えるので、読み応えはあるが正直難しい。

天皇論、国体論にもかなり踏み込んでいて興味深い。





知の巨人とも言われる佐藤優氏と対応に渡り合える富岡幸一郎氏は、やはりただ者ではない。

ちなみに、この2人が過去に出した〈危機〉の正体も難解だった…

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