2020.10.04 Sunday

長期政権のあと 佐藤優 山口二郎

安倍内閣は9月16日午前の臨時閣議で総辞職し、長かった安倍政権についに終止符が打たれた。

それを予想していたのか、佐藤優氏と山口二郎氏という意外に思える組み合わせの2人が、安倍政権後のさまざまな問題をテーマにしたのがこの本である。

対談形式ではなく、それぞれが1つのテーマに関して小エッセイのような感じで執筆しており、それが交互に続いていくような形式をとっている。

第一章では「安倍政権の正体」というテーマで、安倍政権の権力構造や、他の長期政権との比較をしており興味深い。

また面白い発想として「天皇機関説」ならぬ「首相機関説」といった考えを佐藤優氏はお持ちらしい。

第二章では「長期政権が変えた世界」として、民主主義から見た安倍政権や、新自由主義について解説している。

第三章では「なぜ、自民党は強いのか」で、中曽根政権が「生活保守主義」として生活水準を維持するような政策を勧めたため、支持層をリベラルな市民層にまで広げることに成功。

山口二郎氏に言わせると、自民党の賞味期限が伸びたとのことである。

第四章、第五章では、「安倍政権後に訪れる国難」「もはや先進国ではない」として、今後の日本が抱える厳しい現実を解説しており、ちょっと暗い気分になってしまうが、国難を乗り切るために色々と考えなくてはならない。

とてもタイムリーなテーマで、ぜひ読んでみてほしい本である。



この2人でも“踏みつけられたパンケーキみたいな顔をした人”が総理になることは、さすがに予期できなかったようである(笑)

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