2020.12.02 Wednesday

知事の真贋 片山善博

前鳥取県知事で総務大臣も務めた片山氏が、日本の新型コロナ対策の問題点や、各知事の言動を評価している。

他の方が言うと「後出しじゃんけんじゃないか!」となりそうなのだが、片山氏の場合はTBSの「ひるおび!」などでリアルタイムでコメントなされており、それらをまとめた感じの本になっている。

また自治省(現総務省)の官僚だった方なので、法解釈に関しては厳しく、安倍首相が行った一斉休校の要請には法的根拠がなく、これは教育委員会に権限があることである。

にもかかわらず、この件に関して「何の根拠があるのですか?」と言える知事さんがいなかったことが残念とのこと。

これは会社でもよくあることで、経営企画本部長に決裁権があるのに、社長が「いいからやれ!」とやらせてしまうのは誰でも想像できるのではないか。

法解釈に関して、12月となり感染者が増加しており、都道府県によっては飲食店などに自粛要請を出しているのだが、この自粛要請ってどういう法的根拠があるのだろうか。

新型インフルエンザ等対策特別措置法の第24条9項では、

「都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。」との条文がある。

ただこの条文の前後を読めば、これは医師会や感染症の専門家への協力の要請のことであり、飲食店への休業要請のことではないのである。

飲食店の方々からすると「え〜!間違った法解釈で自粛要請されているのか!」と愕然とするのではないだろうか。

官僚の方々にも、この問題点に気づいている方もいるのだろうが、その旨に関して声を上げられないのだろうなと想像してしまった。



法解釈に関しての部分が長くなってしまったが、各知事さんたちの新型コロナウイルス対策に関して、片山氏が良い点や悪い点を解説しているのだが、断トツの高評価なのは和歌山県の仁坂知事で、県内の病院で発生したクラスターを国の基準ではなく、独自で戦略をたてて迅速に行動した結果、県内での新型コロナウイルスの拡大を防いだのは確かにお見事だった。

また和歌山県と和歌山市の連携もスムーズにできている点も素晴らしいとのことだが、私からするとパフォーマンス型の知事ではなく、実務スキルの高い知事を選んだ和歌山県の有権者も立派である。

逆にあまり評価が高くないのは、東京都の小池都知事と大阪府の吉村知事なのだが、どういう所が問題なのかはぜひこの本を読んでほしい。

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